勘当された剣士5
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序章の完結となります。
「うっ……」
どのくらい意識を失っていたのか…俺は周囲の状況をまず確認する。
「この記憶は……」
現在自分のいる場所、そして此処が安全だということ、何故こんなことになってるのか……全て理解出来る。
あのダークエルフの名は【ローレンス=エーデルハイド】
魔獣に襲われ天涯孤独になった子供時代にエルフの里で保護されて育ったが、ダークエルフという種族の壁から迫害されながらも里のエルフ達の為に尽くして来たこと……
エルフの里が竜に襲われた時、殿となり身を呈して里のエルフを守った時に瀕死の重症で意識が朦朧とする中、里のエルフ達の研究していた魔法の実験場として、自分の産まれ故郷の里が魔獣に襲われ……自分を除くいて里のダークエルフは全滅したことを知った。
その復讐の為に孤独の中、千年以上も個人で里のエルフ達を殲滅する為の魔法を研究し続けていたこと……
その研究の集大成として、不死の若い身体を手に入れる為、ギルドで依頼を出し冒険者を引き寄せ吟味していたこと……
剣術を叩き込まれた俺の身体を狙ったが、たまたま買ったばかりの剣がダンジョンから発掘された非常に厄介な剣だったこと……
そして【ゾーン】のスキルがあの戦闘で発現したこと……
本来、俺の自我はあの時消えるはずだった。
【ゾーン】の効果である『思考能力の超高速化』のおかげで実力的にはかなり上位の存在であるローレンスに勝つことが出来た。
あの時ローレンスが言ってた『運が良い』とは、【ゾーン】の超高速化は思考能力だけでなく、精神力が大きく作用する【魔力操作】も超高速化する効果のことだ。
その効果のおかげで俺の【身体強化】はローレンスの想像を超える速さで使えたみたいだ。
ローレンスの記憶の最後は、信じられない速さで迫る俺の剣だった。
俺の身体を乗っ取る為に融合した後、俺の自我を殺す予定だったが……
結果的に、自我が消えたのはローレンスになってしまった。
此処はローレンスがダンジョン内に結界魔法で造った空間なので、結界を解けば外に出られる。
その前にローレンスのローブは持って行こう。
ローレンスの身体はその魔法で魔力に変わり、俺に吸収されたのでローブだけが残っている。このローブはかなり魔法耐性、物理耐性が高い。
……元々俺の? 持ち物ってことで持っていっても良いよね。
依頼主はいなくなったが、とりあえずスケルトン10体分の魔石を集めて街に帰ることにする。
依頼未達成の罰金なんてゴメンだ……
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