勘当された剣士3
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王都を出たウォルフは早速【身体強化】を使い走り出す。
平均程度の冒険者ならダンジョンに着く頃には疲労困憊になる距離だけど、厳しい鍛練で身に付いた魔力消費量の軽減のおかげでダンジョンに入る前に少し休めば大丈夫だろう。
【死者の迷宮】に足を踏み入れると直ぐにスケルトン2体と遭遇する。
まず、手前のスケルトンを胸の部分を横薙ぎに両断し、返す刃で残りの1体を頭から両断する。
振り返ると胸から両断されて動けないスケルトンが俺を襲おうと両手をバタつかせているが、足がないのでその場から進めずにいる。
これも頭から両断するとやっと動かなくなった。
人間と違い腕や足を切り落としても怯まず襲いかかって来るので、アンデット系の魔物はそれなりのランクの冒険者でないと危険度が高い。
割れた頭から魔石を取り出し腰の袋に入れる。
「後、8体か…」
その後もグール、スケルトンに遭遇しながら進んで行くが、どことなく違和感を覚える。
道が別れる様な場所で遭遇するからだ。
マッピングしながら進んでいるので迷うことは無いが、まるで俺を誘導するかの様な意志を感じる。
「スケルトンに意志が有る訳ないよな…」
独り言を呟きながらも警戒しながら進んで行く。
実際、複数の魔物と戦うことも何度か有ったが、知性の有る魔物と違い連携のとれた戦術的な戦闘にはなっていない。
此が狼型の魔獣やオーク、ゴブリン等人型の魔物なら、他の個体と連携しながら襲いかかって来るので非常に厄介になる。
魔物の気配が無い1本道を歩いていると、不意に足元に光る魔法陣が現れた。
『ヤバい!』
本能的にそう思った次の瞬間、俺の身体は光の中に吸い込まれていく……
眩しさの薄れていく中、目を開くと……
黒いローブ姿の老人が俺のことをじっと見ていた。
体が動かない。
圧倒的な魔力を前に、俺は『蛇に睨まれた蛙』状態になってしまっている。
こんな不気味な気配は味わったことがない……
『死ぬっ、身体が動かない……』
決して友好的に感じることは出来ない魔力を前に……
俺は死を覚悟した。
初めての作品になりますので、拙い所も多いと思いますが、宜しければ感想を頂けると嬉しいです。