ダンジョン【竜の巣】
冒険者としてパーティー活動を始めるウォルフとクリス。
早速チートな能力も…
『さて……作ってみるかな』
商会で買って来た、腰に付ける小物入れと旅中に手に入れたゴブリンの魔石を前に少し楽しみな気分になる。
小物入れはポーションが2本入るくらいの大きさで、普段腰のベルトに付けておくタイプの物だ。
先ずは魔石に【異空間収納】の魔方陣を付与する。
ゴブリンの魔石なので大きな魔力、魔方陣を付与することは出来ないが、今回は付与魔法を初めて試すことが目的なので全く問題無い。
ローレンスが【異空間収納】とは別に使っていた方法なのでやり方は解っている。
まず、魔方陣を付与した魔石を【再構築】を使って小物入れと一体化させる。
革のホルダーの内側に魔石を融合させると小物入れの容量がこの部屋位の容量になるはずだ。
『出来た…かな?』
試しに部屋のベッドを収納してみると……片手が入るくらいの大きさしかない小物入れの口にベッドが吸い込まれていく。
普段使っていた【異空間収納】は空間に直接穴を開けるので気にしてなかったが、この小物入れに大きな物が吸い込まれる様子は非現実的な光景だなぁ……。
これが有れば、魔力の消費無しで色々な装備の持ち運び、獲得した魔石や素材の持ち運びが出来る様になるな。
もう1つ……クリス用も作っておくか。
クリスは【付与魔法】のスキルを持っているから、その内にこんな魔道具も作れる様になると思うけど、今の魔法レベルじゃ無理だしね。
【再構築】は魔力操作が繊細なだけでなく、物理的な構成の知識も必要になってくる。
俺が使うローレンスの回復魔術は普通の回復魔法と違って怪我、病原を【再構築】するものだ。
人間の身体に比べると革の小物入れや魔石の【再構築】はかなり単純な作業になる。
『よし、出来た』
明日からは近くにある大型のダンジョン【竜の巣】で魔石、素材を集めてギルドに買い取って貰う、一番スタンダードな冒険者の稼ぎ方をしながら鍛練しようとクリスから提案されている。
旅中、ゴブリンに苦戦した自分が冒険者として力不足だと思ったみたいだ。
『俺がチートなだけで、普通だと思うけどねぇ……』
翌朝、
「なっ何ですか? これ?」
「勘当されたけど……俺【スヴェイン伯爵家】の三男だから、ダンジョンで発掘された魔道具も少しは持ってたから使って」
「【スヴェイン伯爵】? あの剣聖の?」
小物入れ型の魔道具を自分で作ったことは隠して、ダンジョンの発掘物ってことにしておく。
「あの剣捌きも…14才でC級なのも……納得ですね」
「冒険者ランクはちゃんとF級から始めて上げたよ?」
クリスは冒険者のマナーを守って勘当された理由には踏み込んで来ないが、貴族特権なんて思われたくはない。
スパルタな育成方針のおかげで10才からダンジョンに放り込まれていたんだから……
普通は12才から冒険者登録出来ることを考えると、やっぱり特権なのか?
……イヤ、あの地獄は特権なんかじゃない!
命懸けで剣を上達させられてたんだから……
「とりあえず、ダンジョンに入ろうか?」
「はい!」
【竜の巣】って名前のダンジョンだけど、本当に竜が住んでいる訳ではない。
深層になると判らないけど……
冒険者が到達出来る範囲で竜[ドラゴン]が発見されたことはない。
この世界で竜を見たことある人間なんていないんじゃないかな?もし、見た人がいれば竜に殺されてるだろうし。
俺はローレンスの記憶にある竜の戦闘力を知っているので、今の俺では勝てないことを理解している。
今の俺ではね……
何時かはローレンスの様に竜と戦える様になってやる。
「竜が発見されたことは無いって云われてるのに、どうして【竜の巣】って名前なんですかね?」
「最深部に到達した冒険者がいないダンジョンだから、最深部には竜クラスの魔物がいるかも……ってことじゃないかな?」
ダンジョンは内部の魔力で絶えず成長すると云われている。
魔物、魔獣……そして冒険者の死体を吸収し、魔力に変換することで新しい魔物、魔獣を産み出している。
階層毎の特徴の違いや、ダンジョンによって魔物、魔獣の種類に偏りが出ることから『成長』という表現をされている。
このダンジョンは初めてなので、慎重に特徴を分析していかないと、油断はそのまま命取りになるな…
冒険者は冷静な状況把握が生命線だ。
至らない点が多いと思いますが、よろしければ感想、ご指摘をお願いしますm(__)m




