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残ったものから気づく
「残ったもの」とは何なのか。
「それでも残っている」
小さな、それこそ私が
片手で握ったら壊れそうなほど小さな器に、
こぼれる寸前まで茶を注ぐ。
あぁ、もうこぼれてしまうというまさにその時、
すっと注ぐのをやめる。
そこには
完全に満たされている器。
私はそれを飲み干す。
ほらまた、
器は空になってしまった。
いや、よく見ると、
底に少し残っている。
空になったわけではないのか。
そうか、そうだったのか。
「春:子どものつぶやき」
小さな子どもが小さくつぶやく。
はるもかなしいのかな。
こんなにさむいなんて…。
私は何故かその子どもの言葉が、今もまだ。
耳に残っている、ずっと。
春はあたたかいだけではない。
イメージが強すぎたのだろうか。
ならば、いつも笑っている春のようなあの人も、
今日はどこかで一人、泣いているのかもしれないな。
私は彼女の顔を思い浮かべ、
あたたかくなれるよう祈った。
二つの詩を読んだ後に、再度「それでも残っている」を読んだら、二つの詩がつながっているような感じになりませんか?




