彼らは、
好き勝手に、自分の頭の中にある物語を書き出してます。誤字脱字あったら、「あっ、間違ってるなぁ」と思いながら、温かい目で見てください。
水で満ちた星。この星には、三つの大陸がある。その、ある大陸にある街に彼女、桜がいた。
彼女は、CLOSEと書かれた札が下がるカフェから、ナンデモ屋としての依頼で、違う星までの買い物依頼を受けており、その依頼を終えたところだった。
そのカフェのソファに腰をかけて、目の前にある机にナンデモ屋のタブレットを置き、画面に表示されていた【依頼完了】ボタンをポチっと押した。
タブレットへの用事を終えると、すぐにそれを鞄に仕舞う。
カフェの窓から見える海を、桜がボーッと眺めていると一人の女性が桜の元にやってくる。
「おまたせ、桜ちゃん」
女性はお盆を持っており、上には、紅茶の入ったティーポットにティーカップとソーサーが乗っていた。
彼女の名は【 浅間】。このカフェは、夫婦で経営しており、彼女は皆から浅間の奥さんと呼ばれる時もある。
桜は、彼女の夫を【 旦那さん 】と呼んでいる。
桜にとって、浅間夫婦はお得意様で、よく違う星に買い物をするという仕事を受けている。浅間も、桜に対しての信用が強く、よく仕事を依頼している。
浅間は、桜の前にある机の上に、ソーサーとティーカップを置く。お盆に乗せていたティーポットを持ち、ティーカップに紅茶を注ぐ。注ぎ終えるとティーポットをカップの横に置き、ティースプーンと砂糖とミルクも傍に置く。
「今日はダージリンだよ。ケーキも持ってくるね」
「ありがとう、浅間さん!」
浅間は桜に微笑むと、キッチンにケーキを取りに戻っていく。
桜は、紅茶に砂糖とミルクを入れて、ティースプーンでかき混ぜる。ミルクティーが出来ると、ティースプーンを置く。ティーカップを持ち、ミルクティーを一口飲むとソーサーにカップを戻す。
「(やっぱり、ここの紅茶は美味しいなぁ)」
のんびりとしていると、浅間がケーキを持ってくる。
紅茶の横にケーキが乗った皿が置かれる。
チーズケーキ、チョコレートケーキの二種類のケーキが皿に乗っていた。
「おぉ、チーズケーキとチョコケーキだ!」
二種類のケーキに目を輝かす桜に、ふふっと笑う浅間は、桜の座る席の向かいに座った。
「ねぇ、桜ちゃん?」
「ん?なに?」
「毎回思うんだけどさ?本当に報酬は、ここのケーキとかアフタヌーンティーとかで大丈夫?ちゃんとした報酬払うよ?」
浅間は、心配そうに桜のことを見る。桜は、そんな浅間に対してニコッと笑う。
「大丈夫だよ!浅間さんの作るケーキ大好きで、報酬と同じくらい買っちゃうんだよ?だったら、報酬としてケーキご馳走してくれるだけで、私としては、ちゃんとした報酬になるよ!」
「そう?ならいいんだけどね」
桜の言葉に少し照れる浅間。
ケーキをモグモグと食べている桜は、ふと、今日の買い物リストについて浅間に聞く。
「そういえば、今日の買い出しリストに、この辺でも買えそうな物が珍しく載ってたね?」
「え?あぁ、そうだねぇ・・・」
少し返事がぎこちなくなる浅間に、彼女は疑問を持つ。
「なんかあったの?」
「・・・実は、ココ最近、この辺でも、貨物列車を狙う海賊が出るようになっちゃったんだよね」
「ほう。海賊が・・・」
「そのせいで、普段買える物が仕入れできなくて、今回の買い物リストに載せたのよ」
困ったものよねぇと、眉をひそめる浅間。だが、すぐに表情を明るくした。
「でも、市長がね?海賊討伐依頼をしたって言ってたね」
「討伐依頼ってことは、ナンデモ屋に依頼したのかな?」
「そうみたい!その、ナンデモ屋の人が、海賊のことを聞きにココにも来たよ!相棒の子、可愛い子だったわ!」
「カワイイ?」
「そうなの!」
可愛い子が相棒・・・、その言葉に桜は、ある考えが過ぎり、浅間に問いた。
「どんな人達だったの?」
「そうねぇ、一人は高身長の男の人で、帽子を被って、長髪の髪に瞳が橙色。相棒の子は、ちっちゃい子どもで、赤、というより茜色?のフードを被ってて、瞳が向日葵色だと思うけど・・・変わった瞳の色をしてたから、上級魔法使いの人達じゃないかな?」
「橙色の瞳と向日葵色の瞳か・・・」
桜は、とてつもなく思い当たるなぁと、感じながら紅茶を飲む。
「もしかして、桜ちゃんの知り合い?」
「多分・・・。ちなみに、ここに来たのはいつ頃?」
「二日くらい前だったかな?」
「そっか・・・」
その後、桜は、ケーキと紅茶を完食すると、ホールケーキを一つ頼む。
「今日の夜は、ここ開いてるよね?」
「開いてるよ」
「じゃあ、夕飯また食べに来るから、ホールケーキ預けてて良いかな?」
「大丈夫だよ」
「ありがとう!」
桜は、ホールケーキを預けて、カフェを後にした。
〈 彼らは、 〉
「あの辺りかな?」
桜は、立ち並ぶ建物の屋根の上にいた。
望遠鏡を使って見ていたのは、街から離れたとこにある、貨物列車が通過する場から直ぐの小さな森林だった。
「(あそこに、昔使われてた貨物列車の荷物を保管する倉庫、があるはずなんだよね)」
アジトにするならあの辺かな?と思いながら、様子を伺っていると、爆発した時にできる煙が上がっているのが見えた。
「・・・絶対あそこだわ」
桜は屋根から降りて、煙の上がる場所に向かった。
***
今は使われていない、古い倉庫。ここは今、海賊たちのアジトと化していた。
そんな倉庫で、海賊たちは子どもを捕まえよう奮闘していた。
「待ちやがれッ!クソガキッ!」
武装した海賊達に追われている子どもは、海賊達がビームライフルを撃つ中、それを華麗に避けながら走り回っていた。
海賊達が子どもを壁に追い詰めると、子どもを捕まえようと手を出すが、子どもは海賊の手をスルリと躱して上に高く飛ぶ。
そのまま子どもは、海賊達を踏み台にして逃げていく。
踏み台にされてブチギレる海賊達は、子どもを追いかけようと走り出すと、目の前にコンクリートの破片が落ちてくる。
そのコンクリートからは、カチッカチッと、時計の音がするのに気づいた頃、その場で爆発して海賊達を吹き飛ばす。
「なんだッ!?どこから爆弾がッ!」
「上だよ。上」
混乱する海賊達は、〈上〉という言葉を聞き、思わず上を向く。
海賊達の視界には、宙に浮く帽子を被った長髪の男と複数のコンクリートの破片が落ちてくるのが見えると、爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされていく。
宙に浮いていた男が、地に降りてくると、まだ残っていた海賊達が、男に襲いかかる。
男は、左右のホルスターから二丁の拳銃を取り出し、襲いかかってくる海賊達を次々と撃ち抜いていく。
海賊達が全員倒れると、男は拳銃をクルッと回しながらホルスターに戻し、帽子を被り直した。
その様子を、物陰から見ていた子どもは、周りの様子を確認してから男に駆け寄る。
男は、駆け寄ってきた子どもに問いかける。
「スズ、怪我はないか?」
「うん。大丈夫だよ。とと《・・》は大丈夫?」
自身より高い男を心配そうに見上げて、彼の様子を伺う。
そんな子どもに、男は微笑みかける。
「あぁ、大丈夫だ」
そう言いながら、子どもの頭を撫でる。
そんな二人の様子を、木の物陰から、スコープで覗いている海賊の一人が、男に照準を合わせていた。
すぐに銃声が鳴り響く。
男と子どもが、音のした方向を向くと、海賊の頭を撃ち抜いた桜が、リボルバーを片手にして立っていた。
「いやぁ、間一髪だったね」
男と子どもに対して、ニコッと笑う桜。
そんな様子の桜に、彼らは驚いていた。
「な、なんでココにいるんだ??」
「ん?たまたま、近くの街にいたら、海賊討伐依頼で君たちが雇われたって聞いたから、様子を見に来たのよ」
彼女は訳を説明しながら、リボルバーを魔法収納で消し、彼らの傍まで行く。
「久しぶりだね。桜姉ちゃん」
「久しぶり、スズ!元気だった?」
向日葵色の瞳の子どもに【鈴】と名を呼びながら、頭を撫でる。
「コウキも、相変わらずかな?」
【光騎】と呼ばれた橙色の瞳の男は、まぁな。と答えた。
「海賊は全員討伐したの?」
「お前が殺ったので、最後だったぜ」
「なら良かった!この後、報告でしょ?」
「おう」
「それ終わったら、夕食、食べに行こうよ!オススメの店あるからさ」
桜は、彼らを夕食に誘うと、様子を伺う。
彼らは、直ぐに返事をくれた。
「いいぜ。久しぶりに話もしたいしな」
「よし!じゃあ、さっさと報告しに行こう!」
桜と光騎の会話に、鈴も元気よく頷いた。
***
報告と後処理を終えた頃には、もうすっかり日も落ち、空には星が輝いていた。
夕食時というのもあって、浅間のカフェは地元住民だけではなく、観光客も多くおり賑わっていた。
三人で店に入ると、浅間の旦那さんがすぐに桜に気づき、席に案内してくれる。
「桜さん!昼間はありがとね!助かったよ!」
「いーえ!こちらも、いつもありがとうございます!」
「そっちのナンデモ屋さんも、討伐の話聞いたよ!ありがとな!」
「いえいえ」
「同業者同士の夕食なら、個室に案内しようか?」
桜達の様子を伺いつつ、旦那さんは個室の提案をしてくる。
「え?ありがたいけど、いいの?個室って予約制でしょ?」
「今日は一つ予約入ってないから良いよ!」
「なら、有難く個室にさせてもらおうかな?それでいいかな?」
桜が、光騎に問うとコクっと頷く。
桜達は個室に案内されると、すぐに桜が料理の注文をする。
すると、注文した飲み物はすぐに届いた。
桜と光騎は酒、鈴はりんごジュース。
彼らは、料理が届く間に雑談を始めた。先に口を開いたのは光騎だった。
「夕飯を誘うってことは、何か聞きたいこととかあるのか?」
「いや、まぁ、あるにはあるけどね?その前に、一つ」
「ん?」
「最近、遥花達のところ顔出してないでしょ?」
「あー・・・、忙しくて行ってないな」
「この前、将風達とご飯食べに行ったら、遥花に光騎達のこと聞かれたんだよ」
「うわマジか」
「どれくらい行ってないの?」
光騎は手を出し、指で数を数える。
「・・・1ヶ月くらいか??」
光騎が首を傾げると、鈴はコクッと頷く。
「そんなに行ってないのか。そりゃ、様子聞きに来るわ」
「近いうちに行くか」
な?と、光騎は鈴に言うと、彼女は元気よく頷いた。
「久しぶりに、遥花姉ちゃんのオムライス食べたい」
鈴は目を輝かして言った。
「美味しいよねぇ。遥花のオムライス」
「うん!」
ニコニコと答える鈴に大人二人が癒されていると、浅間さんが料理を運んできた。
「おまたせ!ゆっくりしてってね!」
「ありがとう!」
彼女は、料理を置いていくと直ぐに別のテーブルへ行く。
「このカフェ、人気なんだな」
「そうだね。ここのピッツァは美味しいからね!」
「おいしそ!」
「鈴、切るからちょっと待てな」
「うん、ありがとう!とと!」
一人一枚のピッツァが並んだテーブルで、談笑をしながらナイフとフォークで食べていく中、光騎は何かを思い出したようで桜に尋ねる。
「なぁ、桜?」
「ん?」
「この前、ナンデモ屋の掲示板に書いてあった元施設のデータの話。あれ、桜達のことだろ?」
元施設のデータ。少し前に起きた、スイを連れ出した時の話だと、すぐに桜は気づいた。
「そうだよ!よく分かったね?」
「やっぱりか。大事が起きた時は、桜が関わってることが多いからな」
「まぁ、たまたまね。なんか知らないけど、よく巻き込まれるんだよね」
遠い目をする桜に、苦笑いをする光騎。
「でも、光騎だって人の事言えないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけどよ・・・」
「今回の依頼の前、大変だった」
「そうなの?」
「あぁ、依頼主の倉庫を爆発させたからな」
「ええ????」
光騎と鈴が揃って遠い目をする様子を見て困惑する桜。
「何があったら依頼主の倉庫を爆発させるのさ!」
「まぁ、色々な。あんまり詳しいことは言えないんだが、依頼主を助けるにはそれしか無かったんだ」
「えぇ・・・」
うんうんと頷く鈴。
そんな談笑を続けながらピッツァを食べ終えると、浅間が空いたお皿を持っていき、食後のエスプレッソとバニラアイスを机に並べると、行ってしまう。
アイスとエスプレッソに疑問を持つ鈴を見て、光騎は鈴に教える。
「鈴、アイスにエスプレッソをかけて、食べるんだ」
「そうなの?」
「そう」
「ぜ、全部溶けない?」
「溶けないよ」
頷く光騎を見て、鈴は自身で、エスプレッソをアイスにかける。
「ほんとだ、溶けない」
おぉと驚く鈴に桜は、
「このデザートは、アフォガートって言うんだよぉ」
と教えると、鈴は興味津々そうに、ほうっと頷く。そんな鈴に大人たちは微笑みながら、アイスにかけ始める。
それを横目に鈴は、エスプレッソに沈むバニラアイスをスプーンで掬い、口に運ぶ。
それを一口食べた鈴は、目を輝かした。
「おいしいか?」
光騎に聞かれると、鈴は何度も頷く。
その様子を見て、良かったなっと言いながら、彼は優しく微笑み、鈴の頭を優しく撫でる。
そんな様子を目の前で見ている桜は、微笑ましく感じた。
「(父親らしくなったなぁ。昔は、少し近寄り難い雰囲気、漂わせてたのにぃ)」
そう思いながら、彼女はアフォガートを食べた。
▽▽▽
デザートを食べ終えた三人は、会計を済ませる。
桜が浅間から、持ち帰り用のケーキを受け取ると、店を出た。
「じゃあ、私はこっちだけど、光騎達は?」
「あぁ、俺らは・・・ん?」
光騎の横にいる鈴が、彼の服の裾を持ち、ウトウトしていることに大人二人は気づく。
光騎は屈むと、鈴を抱きしめて、そのまま立ち上がる。
彼は、鈴を抱きかかえながら、桜に向き直す。
「疲れちゃったんだねぇ」
「あぁ、しばらく忙しかったからな。じゃあ、俺らは逆側だから」
「わかった。またね、光騎。ちゃんと、遥花と恵の店にも行くんだよ?」
「分かってるよ。またな」
「またね、桜姉ちゃん」
ウトウトとしながらも、桜に手を振る鈴に、ニコニコしながら桜も振り返す。
「またね、鈴」
別れの挨拶を済ませると、お互い帰路につく。
少し歩いた桜は、振り返り、彼らを見る。
「とと。鈴、歩くよ?」
「ん?眠いんだろ?」
「うん・・・でも、」
「俺がこうしたいんだよ。な?」
「とと《・・》が良いならいっか」
「ありがと」
そんな会話が微かに聞こえてきて彼女は、ふふっと笑う。
そんな時、桜のイヤーカフ型通信機が鳴る。
すぐに出ると、彼女にとって、よく知っている声が聞こえてくる。
『こんにちは、いやこんばんは、かな?』
「あれ?レオさん、どうしたの?」
『スイさんのことで、連絡したんだよ』
桜は、レオと会話しながら自身の宿へと歩き始める。
「どうなりそうかな?」
『桜の保護下なら、保安局から出て良いって話になったよ。スイさんも、それで良いって』
「そっか、良かった!」
『明日、零さんが、スイさん用のタブレットを持ってきてくれるから、明日、彼女の迎えに来てくれる?』
「わかった。明日の午後に行くよ」
『よろしく。じゃ、また』
そう言うと、レオは通信を切る。
通信が切れたことに気づいた桜は、そのまま歩き続け、宿に戻っていった。
〈 彼らは、親子 〉
続きは近いうちに。




