episode27
「ただいま。」
「お、おじゃまします。」
新の家に着くと、若葉は久々過ぎて心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらい緊張していた。家に入ると、バタバタと2つの足音が聞こえてきた。
「おかえりなさい!若葉君久々ね!まぁまぁ!少し男の子らしさが増したんじゃない?」
「久しぶり若ちゃん!唯のこと覚えててくれてる?会いたかったよ!お兄のせいで会えなくなって...寂しかったんだよ?」
怒涛の勢いで、新母と唯が詰め寄ってきた。久しぶりにも関わらず、2人とも歓迎してくれているようで若葉は喜んだ。
「お久しぶりです...おばさん、唯ちゃん。」
「ちょっと2人とも...詰め寄りすぎ、近すぎ。離れて。」
「んもぅ。いいじゃない。」
「そーだよ。お兄ばっかり若ちゃん独占してズルい。」
「当たり前だろ。"恋人"なんだからな。」
「若ちゃん!お兄でホントにいいの?唯のが絶対幸せにしてあげられるよ?!」
「唯ちゃん?!」
唯も新に負けず劣らずで若葉のことが好きであった。巴家で唯一、若葉と新の交際に文句を付けたのが唯である。
「若ちゃんはねー、唯にとって王子様なんだよ!イジメられてた唯をカッコよく庇ってくれたの!」
「その後にソイツらのことボコったのは兄であるオレだぞ。」
「それでも!あの時の若ちゃん、カッコよかったなぁ...」
「唯ちゃん、オレは何もしてないよ?」
「そーだそ唯。それにこのままオレ達の関係を素直に認めれば、大好きな若葉はお前の兄になる。」
新の言葉に唯は一瞬考えたように固まったが、意識を取り戻すと、「でも!」と声を上げた。
「唯は若ちゃんのお嫁さんになりたいのー!」
「まぁまぁ。その話は置いといて。2人とも上がりなさいな。」
「いーやー!若ちゃんは唯のー!」
「いいえ。オレのです。唯のじゃありません。」
「ぶー!」
賑やかな巴家の様子に、若葉は「フフッ」と笑みを零した。
「オレは新も唯ちゃんも大好きだよ?」
「若葉...」
「若ちゃん...」
「だからケンカしないで、ね?」
「ほらほら。夕飯まで時間あるから新の部屋でゆっくりしていて?唯も若葉君困らせてないで準備手伝って。」
そうして若葉と新は夕飯まで新の部屋でゆっくりして、夕飯をいただき、時刻が21時を回る頃に若葉は巴家をお暇することにした。
「夕飯、ご馳走様でした。美味しかったです。」
「いえいえ。また来てね。」
「はい。お邪魔しました。」
「オレ送ってくる。」
「若ちゃん!またねー!」
「ありがとう唯ちゃん。」
そうして若葉は巴家を後にし、新と共に家へと帰った。




