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49.白い飛竜

レストは卵が欲しいと言って、俺の上に跨りズボンを下げようとしてくる。


レタに良くない教育されたんだ!あいつめ…後でお仕置きしてやる…と喜ぶから何もしない!変態を叱るなんてどうすりゃ良いんだ!誰か教えてくれ!


そんなこと考えている内にもレストはズボンを半分くらい下げて、パンツにまで手を伸ばしている。


「待ってくれ!せめてなんで俺との卵が欲しいのか教えてくれ!」


「私のママに、パパにママにして貰いなさいって言われたから。」


は!?分からん!やっぱりレストの説明だと要領を得ないな。


「レストのママはアディで合ってる?」


「ママはレストのママじゃないよ。レストのママとパパは龍だもん。」


「じゃあなんで俺をパパって呼ぶんだ?」


「レストのパパは一年前くらいから帰ってこないの。それで寂しいってレストのママに言ったら、パパを探してレストがパパの卵をいっぱい産めば寂しくないって言われたから。」


ぶっ、ぶっ飛んでる!自分の子供が寂しくない様に子供を沢山産みなさいっていう親がいるなんてこの世界はぶっ飛んでやがる!


「れ、レストのママだけじゃレストは寂しかったのか?」


「寂しくなかったよ?でもレストのママもレストのパパが居なくなってからすぐに帰ってこなくなったの。それで寂しくなってレストはお家から出てきたの。」


そっか…龍だけど孤児みたいなものなんだな…。


「そうだよな。レストは一人で寂しかったよな。」


「うん。だから私はパパの卵を産むの!」


「…レストは俺とママとお姉ちゃんだけだと寂しいか?」


「寂しくない。パパ達優しいし一緒にいると凄く楽しい!」


「だったらレストが卵を産む必要は無いんじゃないか?」


レストは少し考えて、


「…そうだね!卵はまだいいや!」


ほっ。良かった!これでレストに卵を産ませてヴァルディ領に帰ったらとんでもないクズ野郎と思われるからな。え?二股野郎が何言ってんだって?存じ上げないです。


「でもやっぱり後でパパの卵は欲しいな。」


「後10年くらい経ったらな。」


「そんなに待てない!」


「パパは我慢できる子が大好きだなー。」


「我慢する!」


うん。しっかりいい子だ。


俺はパンツにしがみ付いているレストを横に寝かせてズボンとパンツをしっかり上げてらもう一度レストの横に寝た。


「明日もレストに頑張って貰うから早くお休み。」


「じゃあ頭を撫でて?」


俺は言われるままにレストの頭を撫でた。五分位するとレストは寝息を立てて寝てくれた。


やっぱり子供だなぁ。こんな子供を野放しには出来ないし…なにより凄く懐いてるから俺が育てて良いよね?パパの卵が欲しいって言う子供を育てる…なんかこう…来るものがあるなぁ。


レストの寝顔を見ながら俺も眠りについた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「お兄ちゃん起きて。」


…レタ。もうそんな時間なのか。


俺はレタに起こされて身体を起こし、横で寝ているレストに視線を落とす。


「レストちゃん良く寝てるね。そんなとこ悪いんだけどお兄ちゃんの見張りの時間です。」


「そうか。レタがこのままレストを観ててくれるか?」


「分かった。レタの好きなように育てるから任せて。」


「…一緒に寝て欲しいってこと。」


レタの好きなようにするって何する気?ヴァルディさん家の教育方針を俺はあんまり信用してないよ?


「え!この子を食べちゃってもいいってこと!?」


「普通に横で寝ててください。」


本当にこの子はダメな子だと思う。レタの親御さん空で泣いてるよ?ほら。俺も一緒に謝るから親御さんのお墓の前でごめんなさいしようね?


「お預け…んっっ!はぁはぁ。」


…同じ空間の空気を吸ってレストに悪い影響がないかパパは心配です。


俺はレタにレストを任せてテントから出て見張り役に就いた。


外は静かでまだ空も暗い色をしている。


はぁ。夜は寒いな。宝物庫に毛布あったかな?


俺は宝物庫に毛布がないかを探すために懐から宝物庫を取り出した。その瞬間に空の色を更に焦がすような火球が空から飛翔してきた。


!。火を全て防げ!


俺は咄嗟にそう宝物庫に命令すると宝物庫から大量の鎖が出現し、俺たちのテントを全てカバーする大きさの細かい網目状のドーム形に鎖が展開される。


火の玉は全て鎖に阻まれて霧散した。


「みんな起きろ!」


俺が大声でそう叫ぶとエナとアディがテントから飛び出し、少し送れてレタもテントから出てきた。


「兄さんどうしたんだい?」


「攻撃された。空から火球が大量に降ってきたんだ。」


その言葉を聞いたアディは剣を抜き、エナは闘気を手足に纏わせてそれぞれ戦闘態勢をとった。


「レストは?」


最低限の言葉だけでレタに問いかける。


「起きてるけどテントの中に居てって言い聞かせた。」


「ありがとう。でもレタもテントの中でレストを守ってて欲しい。」


「で、でも!レタだって…」


「お願いな?」


「…分かった。」


そう言ってレタはテントの中に入ってくれた。本当に物分かりの良い子で助かるよ。


レタがテントに入った後すぐに火球がもう一度降り注ぐが俺たちを大きく覆った鎖にまた炎は霧散させられる。


炎が音を立てて霧散した直後に空から白い物体が鎖のドームの外側に落ちてきた。その物体は龍の姿のレストよりもかなり小さいが大きな翼を持った白い飛竜だった。


「さすが蔵の大英雄が作った遺産だな。弱い炎魔法じゃ全く通らないな。」


白い飛竜はそう言ってレストやエナと同じ様な光を放ち光が消えるとそこにはほとんど白に近いネズミ色の髪の男が立っていた。


「アンタ誰だよ。いきなり火球をぶつけるとか何考えてんだ?」


「名前なんて教えるかよ。俺の主から蔵の大英雄が持っている宝珠の一つを回収して来るように言われたからな。別に蔵の大英雄が死んでようが宝珠が回収できればそれで良いからな。」


もしかしなくてもあの怪しい真珠のことだろう。怪しいと思ってたけどまさか七宝だったなんてな。


「悪いけど七宝を集めているんだ。これは返せないからお引き取り願おうか。」


「断る!」


そう言って白い男は俺の展開している鎖を両手で掴み引き千切り、その穴からドームの中に侵入してきた。


「ご主人様とアディ君は援護をお願い。」


「任せろ。」


その言葉を聞くとエナは白い男に高速で間合いを詰めて闘気を纏わせた拳を振るった。


が、白い男は素手でエナの拳を掴んで止めた。


「っ!うそっ!」


「エリアーナ・ヴァルディ。白だとしてもお前みたいな弱い種族でしかも混じり者が、同じ混じり者でも上位の種族に勝てるわけないだろ?」


「エナ姉さん!」


アディはエナを掴んでいる腕を目掛けて剣を振るう。俺もそれに合わせて白い男の横に剣を展開しアディと挟撃する様に剣を振り下ろした。


「ちっ、めんどいな。ほら返してやるよ。」


そう言って白い男はエナの拳を離すと同時に蹴りでエナを吹き飛ばし自身も大きく跳び退いて俺とアディの剣を躱した。


俺は宝物庫からアスパラさんを呼び出しエナを優しく受け止めた。


「大丈夫かエナ?」


「う、うん。それよりアイツ!私の闘気を手で止めたんだけど!」


宝珠を渡したら許してくれないかな?エナが負けるような奴だともうどうしようもないしな…


「なあ!宝珠を返すから帰ってくれないか?」


「兄さん!?」


「それで許しても良いが白は多い方が良いからな…さっきは返すって言ったけど、宝珠とソイツをくれるんだったら帰っても良いぞ?」


白の男はエナを指差す。


そっか…またエナを御所望の奴なんだな…。


「じゃあ良いや。宝珠だけならまだしもエナを連れて行こうとするなら話は別だ。力尽くで帰ってもらうよ。」


「後悔すんなよ?」


その言葉を発した白い男はエナよりも速い速度で俺との間合いを詰める。


俺は咄嗟に白い男の進行方向に剣を配置して間合いを詰められのを拒もうとするが、白い男は剣の上を大きく跳躍し俺に目掛けて展開していた魔法陣から火の玉を複数放つ。


危ねぇ!けど火の玉は防ぎ切った!でもエナを庇いながらじゃどうやっても捌き切れない!


「アディ!エナを投げるぞ!」


俺はそう言ってアスパラさんで掴んでいたエナをアディに向かって放り投げた。


「随分と余裕だな。俺の攻撃を受けながら自分の女の心配か?」


「嫁候補が二人も居るとこの程度は余裕で捌けないと、色んなところで反感を買って嫁に殺されちまうからな!」


そう言いながら白い男が振り下ろした氷の剣を展開した剣で防ぎ、続いて飛んできた火球も盾で防ぐ。


お引き取り願いたいと言ったが、俺から攻められる様な攻撃手段がないからアイツの攻撃を全て防いで諦めて貰うしかない!


「守りしか出来ないなら俺もやり易い。」


白い男は一旦俺から距離をとり、赤黒い光を纏わせて飛竜に変身した。


か、カッケェ〜!俺も変身してぇ〜!


しかしそんなことを考えるのも束の間、白い飛竜は空中に大量の魔法陣を展開し、自身も俺に向けて突進してくる。


ちょ、ちょっと待ってくれ!そんな量は流石に受け切れない!


俺は防ぎ切れないのを分かっていたが、それ以外に方法がないので盾を展開させる。と、


「また新しいのが増えてる!」


「レスト!?なんでテントから出てきた!」


「これ以上はパパの周りに要らない!」


そう言うとレストは白い飛竜と同じ光を発して龍の姿に変身し、白い飛竜の展開した五倍くらいの量の魔法陣を展開しそこから様々な種類の魔法を白い飛竜に放った。


白い飛竜は最初のうちは防いでいたが徐々に捌き切れなくなり、レストの魔法の半分くらいを身体に食らった。


「な、なんで白がもう一体居るんだ!しかも混じってない純粋な龍だと!?くそっ!」


レストの魔法を食らってボロボロの身体でそう叫ぶ。


「こんな奴が居るなら主が絶対に必要だな…おい!蔵の大英雄!宝珠は必ず返して貰うからな!」


そう言い残し白い飛竜は鎖のドームに自分で開けた穴から出て行った。


「待てー!パパに近づかないように退治してやる!」


「レスト。追わなくて良いよ。」


「でも!」


「大丈夫だから。パパはレストを一人にしないよ。」


「分かった。」


そう言うとレストは青白い光を放ち幼女の姿に戻る。


さっきの白い飛竜やレストやエナ…分からないことが多すぎる。剣のおじいさんなら何か知ってるんだろうけど…。どちらにせよ一旦は危機が去ったことを喜ぶべきだな。

今日ら投稿を一回にすると書きましたが、自分の気分が盛り上がっちゃったので、もう一回投稿します。(しょうがないよね?)


そちらの方も見ていただきたいです。よろしくお願いします。

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