38.七宝の噂
馬車で進むこと二週間程、ようやくアディの国に到着した。
「レタちゃん達は久々だけど兄さんは初めてだから改めて紹介するよ?ようこそグローレス王国へ。」
「ほぇーっ!でっかい国だなぁ。ヴァルディ王国の二倍くらいでかいな!」
「まぁね。この国は武力で成り上がった国だから他の国に支援してもらい過ぎて、ここまで大きくなったんだけどね。」
「脳筋にはこんな国作れなそうだもんな?」
「兄さん喧嘩売ってる?僕の剣技もおまけで付けて買ってあげるよ?」
アディが自分の故郷を馬鹿にされたと思ったみたいで怒っている。そんなつもり無かったんです。
「やめて下さい。死んでしまいます。」
「ご主人様は考えなしに喋るのをやめた方が良いよ?ただでさえいつも脊髄で会話して人を不快にさせるんだから。」
え?俺の脊髄が素晴らしい反射をしてるって?そんなに褒めるなよ照れるだろ?
「はぁ。兄さんが変態で鬼畜で馬鹿なのは知ってるよ?そんなことより七宝の噂について聞きに行こうよ。」
俺としては七宝も大事だけど、変態で鬼畜で馬鹿な兄さんはみんなの俺に対する認識が気になるなぁ。気になり過ぎて兄さんは夜しか眠れないよ?
アディに引き連れられ俺たちは王都の商店街へと向かった。
「僕が出発する前にこの辺りで七宝について噂をしていた人が居たんだ。」
俺は近くの出店の店主に七宝についてなんでも良いから見たり聞いたりしたことはないか聞いた。
「にいちゃんはなんで七宝のことを知りたいんだ?」
「えぇっと…、興味本位です。やっぱり男なら大英雄に憧れるじゃないですか?」
「わかるぜぇ、にいちゃんよ!よし俺の知ってる情報を教えてやるよ耳貸しな。」
俺は出店の店主に言われたとおりに耳を店主に近づける。
「あんまり大きい声じゃ言えないんだが、この国のある貴族様の一人が七宝を使って人を操ってるんじゃないかって噂だ。さっきは分かるって言ったが悪いことは言わねぇそこのねぇちゃん達が大事なら関わらない方がいい。」
「分かりました。貴重な情報ありがとうございます。お礼に何か買って行きますよ。」
「おっ!ありがたいねぇ。ウチの物を使ってにいちゃんの連れのねぇちゃん達を楽しませてやりな!」
そう言われたので出店の商品の品揃えを見る。
その一!精力剤
その二!精力剤
その三!精力剤
わぁお!驚く程少ないラインナップ。自販機にサイダーしか売ってないみたいな感じで商品が精力剤しかない。
「ご主人様?何を買おうとしてるの?」
店頭の商品を見ようと覗き込むエナの前に立ち塞がり誤魔化す。
「栄養ドリンクだよ!」
「ふーん?買い終わったら教えてね?」
あぶねぇ。また変態それで私に何するつもり!とか何とか言われて蹴られるところだった。
「それにしてもにいちゃんの連れは美人さんばかりだな。白い獣人種の姉妹か?それと金色の髪の…って!ブラスプ家の一人息子様じゃないか!」
え?誰?男は俺だけだよ?
「ブラスプ様!気づかずに申し訳ありませんでした!」
その謝罪にアディが反応する。
「あぁ、いや気にしなくていいから頭を上げてくれ。」
「申し訳ありませんでした。お詫びにこちらの品をお持ち下さい!」
え?それをアディにあげるの?そのブラスプ様は女の子だよ?
アディは受け取ったビンが沢山入った箱の中からビンを一つ取り出しパッケージを見た。
「あ、あ、ありがとう。き、今日にでも使わせて貰うよ。」
本当に今日それを使うの?アディが?あ!なる程!
俺たちは店主にありがとうとお礼とタダで貰うのは気が引けたので代金をしっかり置いて出店を後にした。
「兄さん?なんで親指を立ててウインクしてるんだい?気持ち悪いからやめて欲しいな。」
「だってその精力剤今日使うんだろ?使うに値するの俺だけだし…、」
「な、な何を考えているんだ!あの店主のご好意を無駄にしないための口合わせだよ!」
え?アディが今日俺としたいんじゃなかったのか?ヤダ恥ずかしい!
「取り敢えずこれは俺が預かっとくから。」
「そう言って回収して後でレタちゃんとよろしくするんだろう!?兄さんには絶対渡さない!」
しねぇよ!よろしくしたら金髪の鬼人に、無理やり頭と胴体をお別れさせられちまうからな!
「と、取り敢えず僕が預かっておくから!」
「心配しなくても奪おうとなんてしないから剣を振り回すな!通行人に当たったら危ないだろ!」
そう言って箱を担いで行ったアディの脇からレタが手を伸ばしてビンを一本盗んだのが見えた。やっぱりシーフなんだなぁと染み染み思った。
続きを書いてたら新作のアイディアが浮かんできたのでそっちを書いてたらボリュームが薄くなってしまいました。ごめんなさい。
新作はこっちが50話くらいになったら投稿します。こっちと違いシリアス多めで書こうかな?と思ってます。気になる方はぜひご覧下さい。




