18.私の願い。
予告通りエナさん視点です。
この時間が心地が良かった。もしかしたら私の主かもしれない人の声を聴いているだけで、心が躍った。嬉しくて仕方がなかった。
最初は宝物庫を奪って、宝物庫を使いこなせる人を見つけ、その人に主になって貰うつもりだった。でも彼はそれを使いこなして、私を倒してみせた。
一緒に行動するようになり、初めの内は求め続けていた主かもしれない人が居る、それだけで気分が高まりうまく話せていなかったと思う。
彼のことをもっと知りたくなった。もっと長い間彼のことを観て確かめたいと思った。
彼に自分の家に来て欲しいと告げた。彼は二つ返事で承諾してくれた。
嫌われたかな?そう思うような行動を取ったこともあった。でも彼は、そんな私のことをしっかりと観てくれていた。本当に困っていることにはしっかりと真摯に応えてくれた。
数ヶ月、一緒に過ごすうちに私の本当の主になって欲しいと思うようになった。勿論、主としての素質も十分にある。
しかし、長い時間一緒に過ごして気付かされる。
多分、彼は私の主にはなれないと。
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「ねぇ、ご主人様?宝物庫は自由に使いこなせるようになった?」
「いや、あれ以来は道具自動使用どころか他の能力とやらも見たこと無いかな。まぁ道具袋としては十二分に使えてるから問題ないけど。」
「……そう。練習したら使えるようになるかも知れないから頑張ってね?」
「おう、任せとけ。この最強の宝物庫を使いこなす俺の勇姿をそのうち見せてやるぜ!」
宝物庫を左手に乗せて、本人はカッコいいつもりの決めポーズを取ってみせる。
「期待してるね。」
「そういえば、エナの手のカウント増えることなくなったね。」
そう言ってコージは、目線を下に移す。
「っな!どこ見て言ってんのよ!」
「あぁ、あの柔らかすぎず硬すぎずないお尻の感触と随分ご無沙汰だなぁって、冗談、冗談。」
私はエロ親父のような感想を、述べるコージの足を蹴り続ける。
「もう忘れなさい!手をいやらしく動かさないで!」
そんな下らないやり取りが出来るほど、最近の警備はすることが無かった。最初の内は開拓のために森の伐採を続けて、魔物や魔獣なんかがよく出て来たが、最近は伐採をやめ広げた土地の整備が主なため、めっきり警備が楽になっていた。
「グヘヘッ、いいじゃないか?減るもんじゃないし少しくらい触らせてくれよ?」
私はそう言って近づいて来るコージから距離を離す。
が、すぐに手に闘気を纏わせ臨戦態勢を取る。
「はぁっ!」
気合い入れの掛け声と同時にコージの方に向け拳を振るう。
「ちょっ!そこまでしなくても!」
コージは咄嗟に手を前に突き出す。
ガリッ!と硬い物が砕ける音を立て、コージの後ろから迫っていた角ウサギが地面に落ちる。
「気を抜きすぎよ?」
「すまん……。でも助かった。ありがとう。」
そう言って私の頭に手を伸ばし頭を撫でる。その手の心地よさに目を細める。
本当に頭を撫でるのだけは上手ね!これのせいでティアもレタも褒めて欲しい一心で頑張ってるし…。私は別にそんなことないんだけどね!
「取り敢えず今日は戻ろうか。」
「そうねまたご主人様が発情する前に早く帰りましょう。」
「頭撫でられてモジモジしてた奴が何言ってんだか。お相手して発散させて上げましょうか?お嬢様?」
「ご主人様は言い方がいっつも下品すぎるのよ!もう少し女の子に気を遣った言い方とか無い訳?」
そんな下らないことを言い合いながら家に帰る。
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「あ、おねぇちゃん、お兄ちゃんお帰り。レタね今日もいっぱい頑張ったよ?褒めて。」
レタは主に開拓の指示を出す作業、ティアは人やお金に関する作業と分担を行い役割を分けて王家の復興に取り組んでいた。
「レタよく頑張ったわね。」
「おねぇちゃんよりお兄ちゃんに褒めて貰いたい。」
「…。」
そう言ってレタはコージに飛び付き頭を撫でて貰っている。
「……♩」
なんとも満足そうだ。おねぇちゃんは複雑です。本来ならどこの馬の骨とも分からない男に、頭を撫でられただけで満足して仕事を頑張っちゃうように調教されて、おねぇちゃんはレタの将来が不安です。
レタも大分コージに懐いてきたみたいだけど、コージはレタのことを妹としてしか見てないと思うから大丈夫だと思う。多分。
「はぁはぁ、ンッっ、んンッ!」
レタが足をすり合わせるようにし下腹部の辺りを押さえて悶えている。そしてバッとコージを床に押し倒してこう言った。
「お兄ちゃん、子供は十人くらいでいいよね?///」
「ちょ、ちょっと何言ってんの!いいから離れなさい!」
「おねぇちゃんはレタとお兄ちゃんの恋路を邪魔する悪い人。」
訳の分からないこと言っているレタをコージから引き剥がす。ティアの影響で大分レタが汚染されているらしい。今度きっちりお説教してやらなきゃ!
「姉さん騒がしいですよ。」
「レタに悪い影響を及ぼしてる本人が何を言うか!いいから一回私に叱られなさい!」
「姉さんは騒がしいですね。少しはお淑やかになったらどうです?そしたらコージさんも我慢できなくなって姉さんを抱いてくれると思いますよ?」
「そういうのがレタに良く無いっていってるの!ご主人様も両腕を広げて私にウィンクしないで!絶対にそっちに行かないからね!」
コージは両腕を広げて、俺のここ空いてますよ?と言わんばかりのポーズを取る。
「ほら、姉さんも満更でも無い顔してますよ?」
「おねぇちゃんはむっつりさん。」
「してない!むっつりでもない!」
コージはそんな私達のやり取りを見て楽しそうに笑っている。お父様とお母様が亡くなってからは、暗い顔しか見られなかった私達姉妹もこうやって笑い合っている。こんな日がいつまでも続けばいいのに。私はそう心から願った。
そっち系の話に耐性のある順に姉妹を並べると、
レタ = ティア |越えられない壁| > エナ
くらいに思っていて下さい。
次回から浩二視点に戻ります。




