『兄と妹が住む街の少年』
「ユリねーちゃん!? どうしたのこれ!」
捕まえた『銀髪野郎』と、見た事の無い男達を見た少年『ファリス』は、其の光景に慌てて、愛しい彼女に問い掛けた。怪我をしている様子は無かった。
「少年、悪いけど、君の大好きな『ユリシア』さんは、偽物なんだ」
陸が少年に言った。
主犯は、攫った友理奈の魂を、『ユリシア』に『入れた』のだ。此の街にユリシアの『兄』等居ない。此の家は元から『此処』に『存在った』。存在が有れば、前から住んで『在た』と言われれば、そうだったかもと思い込んでしまう、人の脳の奇妙さを利用した、謂わばトリックでも何でも無いただの幻覚や思い込み『誤作動』なのだ。ましてや主犯は、『幻惑』を得意としていた。
して、『ユリシア』とは『誰』かーーユリシアは此の星の住人だ。友理奈に境遇が似ていた。似ていたが為に『入れ物』にされた被害者だ。此のままではユリシアの意識は次第に友理奈に喰い潰され、失くなってしまう筈だった。
友理奈の意思は関係無かった。
唖然とする少年が陸を見る。陸は其れを見て言った。『やってみせよう』と。何をだと少年が言う。又陸が答える。
「『偽物』の『証明』だよ。数式みたいにね。」愉しそうだった。
何を言っているか理解らない友理奈を、陸は『引き寄せ』た。友理奈が驚愕の悲鳴を洩らす。身体が空に浮いていた。抗議虚しく、手をかざした『陸』は、其の空から『友理奈』を『取り出した』。現れたのは、友理奈の『肉体』だった。此の身体は、事態に気付いた陸が、駆け付けて『集めた』ユリナだったモノの分子の欠片で『再生』した『身体』だ。
限りなく『友理奈』に『近い』ものーー存在だった。魂の無い入れ物。其の魂は今、陸の目の前に『在り』、既に『覚醒めて』いるーー入れてしまっても大丈夫だろうと陸は決断した。
「大丈夫、大丈夫。暫く『意識(※記憶)』があやふやに為るとは思うけど、いざと言う時は僕が無理矢理でもどうにかしてあげるから。まあ、もとより此れ既に荒技だし、安心して?」
陸が事も無げにそう言った。にこりともせずに、淡々と庶務的に。
「ちょっ、陸さんっ!」
かくして、友理奈の異議申し立ては確立する前に、陸によって、友理奈は『友理奈』に『入れられた』訳だ。友理奈はこの時『痛くないから(笑)』とか何とか、実に怪しい台詞を聞いた様な気もするが、そのまま『覚醒め』の時までずっと意識と記憶の『狭間』に居た訳だ。そう、陸によって。
彼女はとっくに『救け』出されていたーー然し『帰って』来れなかったのだ。貰った身体に魂が『定着』する迄。集め切れず欠けた友理奈だった微粒子を『埋める』のは、『友理奈』以外では駄目なのだ。必要な時間ばかりは誰にもどうしようも無かった。慌てて『覚醒め』させた『其れ』は脆さが出る事を知っていたからだ。陸も陽藍も。
定着材料が無かった。『荒技』を使おうと、陽藍が言った。再生させた友理奈の身体は、もう『生命』では無かった。陸が其れを止めれば、ばらばらと壊れてしまう、ただの『寄せ集め』だった。神の生命エネルギーとも言う様なものを注ぎ込んだが、長くは安定せず気休めだった。定期的に『エネルギー』を注いでも良いが、『復活』も『再生』もしないであろう。
陽藍が言った。方法はあるけどなと。そう言った父が、一度『星』へ帰った。自分の星へ戻り『手続き』をした父が『戻る』前に、後から駆け付けた長兄と次兄に『友理奈』を『渡した』。父を追い掛けて来た要と、事態に気付き、其処に『来た』叔父『篝』に『保護』を任せた。要の最強結界ならば、友理奈が形を保てずバラけても、欠片(微粒子)が『逃げる』事が無い。ならば大丈夫だと。友理奈の入れ物は、兄二人と篝とに依り、結界とエネルギー供給も抜かり無く、丁寧に『星』へと『運ばれ』た。
その間に陸は、まるで役に立たなかった弟達の居る星に『飛んだ』。
其処には未だ、言い付け『通り』に女神達が『在た』。全部で五人。彼女等は仕えた星に見限られたり、悪者つまり悪役にされた神々だった。追い出されて居場所が無いと言うのだ。だから陸は彼女等を『拾う』事にした。『手下』として使う。何も自分達の星に連れ帰る訳では無い。
隣星の『再建』をやらせるのだ。『たまには様子を視に来てやるから』と、約束した訳だ。
再建の『方法』は指示してやらないといけないが、案外素直で使い勝手の良さそうな『もの』達だけ、選んで『残し』た。陸の判断で。恐らく父も違わぬ事を考えていた筈だ。陸はそう思った。実際そうだった。
「「陸兄っ、」」
「「「「「きゃあ、陸さま。もう『準備』がお済みなのですか? 私達、言い付け通り、『大人しく、淑やかに』待っていましたわよ」」」」」
友と青と女神五人が、殆ど同時にそう言った。若干げんなりした陸は、使えない弟達と、飼い始めた『女神』達に、其々指示をして、陽藍の『代わり』に仕事を『片付け』始めた。
『友、お前が一応お父さんの後釜なんだけどな』と、思いながら。
弟が一人前の『最高神』に生る日は遠いらしい。
やや話を戻すのだが、そういう経緯で友理奈の『入れ物の方』は用意されていた訳だが、問題は『ユリシア』の『兄』である。そんな男は察しの通り、元から存在しない。『兄』自体『存在』しないのに、何故『兄』がいて、一緒に『此処』で『暮らして』いたのかはーーそう、
察しの通り、『兄』が『主犯』であるからだ。
友理奈を友理奈に入れた陸が言う。目を剥く少年ーーファリスに、『じゃあ後はよろしくね』とーー
ファリスは更に目を剥き、当然抗議したのだが、まんまと陸の口車に『やられ』、結果は不本意にも従っていたーー本日『ファリス』は、『弟』の様に、『家族』の様に、あれから『目覚めた』ユリシアの面倒を『良く』みている。
姉さん女房には未だ成っていないがーー『そんな日は来ない』とファリスは思っている。
ファリスはユリシアの『中』に『存在』たユリナ、友理奈を時々思い出して、淡く終わった初恋を時々想っては、新しい未来の訪れも期待したりしている。いつか来るだろうとーー恨むべきは自分の『生まれた』世界の『神』がポンコツだったせいだろうとーー
察しの通り、『主犯』は、ファリスの初恋を残念な事にした彼の『生まれ星』の此処の『神』で在る。そう察しの通りに。ーーーーーーーーー
頑張れファリス。馬鹿、嫌、『狐神』に負けるな。
因みに察しの通り、『狐』は神解雇で在る。既に。
※橋本君、無罪だよwよかったな和希w(と、友が言いそうですよね。言うと思います。(笑))m(_ _)m




