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 「あ〜!今日めっちゃ疲れた〜っ、特に視聴覚室。w」


 原 サトシが伸びをしながら言う。放課後で在る。


 「ごっ、ごめんなさい。」


 それを聞いた海が、思わずそう言った。海は最近何だか謝ってばかりいるとそう思った。


 「あのな〜原、華月気にするだろう、そんな言い方。」

 鹿島 悠緋が、原 理を咎める。


 「あ〜、それ、やめようぜ? 鹿島君。 サトシで言〜わ。気安くて。原君て呼ばれるとなんか肩凝るんだよね。つうか、もう『悠緋ユウヒ』って呼んじゃって良いか?女子に睨まれる?」


 原が鹿島に言い返したので、悠緋は相瀬良と仲嶺に『なあ、俺は原って呼んだよな? 君付けて無いよな?』と聞いて、頷かれていた。


 「ちょっと鹿島サン。…もしもし?」

 原は動じず追尾した。


 「ミス・ドーナツと、ミッキー・バーガーどっち行くの?俺はドーナツ行きたい。又は思い切ってリムネット。」


 「ちょっw、仲嶺さん、女子wリムネット来たよ。……混んでないか? 後……男だけで行くの……勇者に成れないか? 鹿島は〜? リムネット派? 俺は意外と賛成派。」

 仲嶺と相瀬良は構わず行き先の相談をしていた。


 「悠緋はリムネット派だと思うよ。」


 答えたのは、仲嶺 深織だった。


 「……なんで仲嶺がそれ知ってんの? 仲良し?」

 原が聞く。納得の行かない顔で。


 「あ〜言ってなかったっけ? 俺と仲嶺は中学の時の顔見知り。どうする? リムネット行く? 海君、甘いの大丈夫だから、大丈夫か。行くか。」


 「待て。俺を全てスルーするな。サイフの心配もしろよ。」

 悔しそうに原が言った。


 「……僕、……持ってるよ?」


 そこでそう言ったのは、海だった。皆が、 ん?と、顔を見合わせる。

 そして鹿島が海を止めた。『駄目だ』とーー。


 「原が調子乗るから駄目だよ、そういうの。おごりナシな。『貸し』ならまあ……ギリギリいいけど。……じゃ、ドーナツにするか。……不服だけどな。」


 「いや、俺リムネット派。もう頭の中リムネットになってた。無理。」

 相瀬良が反対した。


 「ところでリムネットって何?」と、海が其処で言った。皆は再び顔を見合わせる羽目に為った。『ん?!』と。


 「カフェだよ…………海君………。結構有名だよ………カフェは分かるよね?」

 と、ちょっと心配に生った相瀬良が基本的な事まで聞いてみた。流石に原が吹き出したが、仲嶺は目を見開き、鹿島も口を開けて、言葉に詰まっていた。天然記念物を発見した気分だ。

 海は答えた。


 「うん。仏語。」と。




 四人の男子高校生は仲良く其の場にーー立ち竦んだーー鹿島は思った。確かに『フランス語』だなと。聞いた意味は其処じゃ無かったのだが。



 そう言う訳で、海への『社会勉強』と称して、お洒落隠れ家Cafeカフェ〜リムネット行きがーー決まったのだった。因みにリムネットは陽藍がニュアンスで命名した店名なので、意味は無い。片仮名でそのまま『リムネット』と書く。




 因みに海は店を訪れた事は無くとも、家で食べていたのが、リムネットで出す試作品等だったので、行けば流石に気が付くだろう。店長や従業員の顔は、知っている筈だから。



 「あれ?」


 店に着いた海は、今会ってはいけない人を見付けてしまった。しかも相手も自分を見付けた。


 ………………………なんで居るんだろ。海は思った。



 「え? 海?」


 律の上げた声で、視線を追い、振り向いた直夏は、律が見付けた様に、其処に居た海を見付け、そう言った。


 「モデルの!Ri-tu.(リツ)君だ!」

 原 理は興奮して思わず声に出してしまった。律が面食らう。すかさず従業員から注意を受ける。慌てて謝る原ーー海がフォローを入れるよりも前に、奥から出て来た従業員が居た。


 「お客様…て、なんだ、海か。何やってんだ。律と待ち合わせ?」


 「え? 店長…お知り合いの方……ですか?」


 「律の弟。陽藍オーナーさんの息子だよ。顔覚えとけ。海、こいつ新人君だからごめんな。ん?もしかして友達? 奥の広い席使うか? ほら、メニュー持って来てやるから、席着けよ。君等もどうぞ。好きなの食べてって。大丈夫、海のお父さんが払うから遠慮しないで。」


 「……翔平さん………」



 リムネットの店長は、海の良く知る人物だった。


 「………律兄ちゃ……、」


 海は言い掛けて、それを止めた。



 律も直夏も見ないで、奥へと向かった。律と直夏の視線は感じたが、海はあの日の律と気不味いまま、ろくに話す暇も無く、今日まで来た。海の受験も有ったが、律の仕事が忙しく、律はずっと家に帰って来なかったのだ。この半年間。一度も。ずっと仕事が忙しいと言っていた律が、こんな場所で寛いでいる事がーー海にはショックだった。海はもうーー律に完全に嫌われたんだと思った。


 泣きたく為ったが、泣いては駄目だと思った。僕はもうーー友理奈さんを見付けるまではーー泣かない。……………………泣いちゃったけど、今日。



 友兄ちゃんと、卓兄ちゃんに会っただけでも訳分からないのに、なんだろう……今日……直兄ちゃんと律兄ちゃんて。…………男ふたりで……………Cafeカフェ茶?Timeタイム



 …………………………直兄ちゃん………………友理奈さんの事……………………諦めたの? ………………忘れちゃった訳? …………………………なんなの。





 「海、律と直夏が奢るって。お友達も。好きなの頼みなって、あいつ等から言伝。何が良い?」


 見るでも無くメニューを見ていると、翔平しょうへいに聞かれた。見るとどうやら未だなのは自分だけの様だ。



 「いい。………………自分で払う。払えるから。」海は言った。



 心配する、クラスメイト達の顔が気に為った。海は適当にパンケーキを頼んで、ドリンクセットにして貰った。適当に頼んだ海だが、其れは新作、そして今月一番人気の其れだった。陽藍の子飼いの瑞穂ミズホ 翔平ショウヘイは、流石『息子』だなと思った。陽藍ボス拘りの一皿をーー『適当』に選んで『当てる』のは、流石だよと。呆けてる海を見て、翔平は正直身震いした。陽藍ボスが近くに居なければ抑えられない『熱量エネルギー』の海ーーうちの師匠ボスは何だってこんな『化物エネルギー』をさらっと『創った』のだと。




 まあ、『あの人』自身が『化物ホンモノ』だから、仕方無いがなーーと。ただ、扱き使われる此方の身にも成れーーとは思ったが。




 さっさと面倒事片付けてくれよな、陽藍ヨウセイさん。何のんびりやってるんだかーーと。ーー





 パンケーキセットを食べる海は、普通の高校生にしか見えないのにな、『アレ』が、『オレ』より『強い』とか、泣けてくるね? と、思ってから、翔平は仕事キッチンへと戻って行った。自分の仕事をする為に。


 

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