Ⅹ. プロローグ、〜『クール・パニック』
教会の奥には、キッチンや生活出来る部屋が在った。
以前は神父が居たそうだが、神父は旅に出、それからは無人の教会に為ってしまった。
しかし鍵を預かった者達が交代で定期的に掃除し、新しい神父が来ても、旅立った神父が帰って来てもどちらでも大丈夫な様に、教会の状態は保たれて在た。鍵は今は葉緑の宿場で預かっていたので、女将が友理奈に貸したのだ。掃除と状態維持が条件だった。お風呂は無いので、直夏と友理奈は葉緑の風呂を借りているーーと、言っても、未だ借りたのは昨夜だけだった。
本当は友理奈は昼間だけ教会を借りて、洗濯屋を営業させる筈だった。
しかし昨日、準備をしようと此の教会に来て、そこで直夏と再会したので、直夏と事情を話し合って、此の奥の『生活スペース』も借りて、直夏とふたりで寝泊まりもする事になったのだ。
……と言う話を、教会奥のこの場所……つまりキッチンで昼食にしながら、アレフゥロードやレザードは友理奈と直夏から聞かされて在るーー所で在った。時々マリーサも説明に加わる。そんな感じで。
一通り事情が分かると、アレフゥロードが直夏に空間魔法について聞き始めた……時だった。
気配が現れた。
唐突過ぎた。
そして最初に気付いたのは直夏だった。その後はきっとアレフゥロードで、それと略変わらなかったのはレザードで在っただろう……其処に友が居た。
長方形のテーブルだった。奥に調理台等が在り、其れを背に左側から友理奈、マリーサ、アレフゥロード、テーブルの右側に直夏、アレフゥロードの反対側にレザード。海はレザードの隣ひとつ空けた、左側、つまり友理奈とマリーサの中間の正面辺りの位置に居た。
友はアレフゥロードと直夏の間に現れた。
最初に『気付いた』直夏が、勿論『最初』にそう言った。
「友兄っ!」と。海より先に。
それで、友理奈とマリーサが、『其れ』にやっと気付いた。つまり『友』に。
「えっ?!」次に声を出したのは、マリーサだった。友理奈に抱きつきながら。
「えっ!友さん?!」と、マリーサに抱き付かれたので、友理奈は気付いて声に出した。
ん?あれ?なんか『イケメンいるな??』と。
更に言うなら、『お迎え』は『律』が来るものだと思い込んでいた『え?』でも有った。
そこで男性陣が『何か』言うよりも『先』に、それに反応したのは『マリーサ』だった。
『えっ!?ユリナさんの知り合いなの!?(ちょっかっこいいっやだ紹介して?コソッ)』と。
「うん。まず、俺がね…。ひょいっと『此処に』『現れた』事に……。驚こっか、……お嬢さん?」と。
アレフゥロード越しに、マリーサに、身を『乗り出す』様に、テーブルに手を着き、様子を覗い、『上目遣い』で。
マリーサさんが完全に『落ちた』所で、
「友兄……、何しに来たの?」とクールに聞いたのは直夏だったーー。来るのを知っていたかの様に。
「っ友兄ちゃんっ!」と、そこで『やっと』カイが叫んだーーそして、『其れ』に驚愕したのはレザード・『ガイ』サースだった。
「………………っ、………あ………、兄……?」と。アレフゥロード等は『君の(実)兄だよね?』と、直夏の方に聞いていたーー
レザード・『ガイ』サースは、実兄の動揺を見た。そして思った。『あの兄上でも……動じる事が……在るのだな』と。
「あ、アレフゥロード様、そのひと、カイ君の実のおにいさんです。」
動揺の隠せないアレフゥロード王子に、端的に説明したのは友理奈だった。アレフゥロード王太子はーー
言葉に詰まりーー頬が、やや、引きつっていたーーややだろうか……。
先に正気を取り戻したのは『ガイ』の方だった。
「………丁度良かった……」と。それに友が飄飄と反応する。
「ん?何?俺に用事?」と。わかり易く愉しんでいる。
ああ……と『ガイ』は言った。「貰った『金』が多すぎてね…」。
「スグナ…に頼んで、『返そう』と思った。が、丁度良かったな。今返す。」ガイがそう言った時、『わかって』いたーーと言わんばかりに、友が言った。
「要らないけど?」と。
端的な言葉の割に、きっぱりと、何を言っても拒絶する様な言い方だった。笑顔は崩れていない。対峙するふたり。
「マリーサさん、友さん。カイ君のお兄さんで、気取った人じゃないから、気さくに話し掛けても大丈夫だよ。大丈夫、イケメンなだけだから。」と、
『紹介して』に対して友理奈がそのタイミングでそう言ったーー。マリーサが『まじで?』等と友理奈に返すーー。勿論真剣である。なのでそれを遮ったのは直夏だった。
「マリーサ、友兄、奥さんいるよ?子供もいるけど。」と。
それに反応したのは友理奈が早かった。「!嘘でしょ?」と。友に同意を求める。
「……あのさ、頼むから。………別のリアクション出来ないのか?君等は。」
思わず頭を抱えて悩み始めたのは友の方だったーー。直夏に『今更だし』と言われていたーー
そして、
マリーサは静かな訳でも無反応な訳でも無くーー『子供(※も)居ます。』に、思考回路がショートしただけだったらしく、フリーズしていただけで在った。そう、もう運命だと思ったのにと。儚い運命で在った。だがーー大丈夫だ。昨夜友理奈と共に風呂を借りに来た直夏に『出逢った』時にも運命を感じたしーーその数分後、母親と友理奈から『紹介』され、『あれ?違った。』と、立ち直った『強さ』が在るーー後数分で、乗り越えられるであろうーー。
早くもその時は『訪れた』のだから。
「どうする龍? 『我が家』の『四男』坊、ダサいんだけどさ?」と。
今マリーサの目に『映って』居るのはーー美形と言う言葉だけではとても足りないーーそんな風貌の『綺麗な』青年と、
その横に居る、一見地味だが端正な面立ちで優しい目をした、一度存在に気付いてしまうと視線と言うものを奪われて、釘付けに成ってしまうーーそんな青年のふたり組だった。
ああ……あの『その1と2』等とは……比べては駄目だ………と。『目の保養』その言葉はきっと今が為に作られたのだと。マリーサはもう運命などーー何処かに行って在た。
フリーズしたのは、友理奈も同じだった。現れた『ふたり』の事を友理奈は『或る意味』知っていたーー知らない方がおかしい………
「………タクト……『王子』と……」と、思わず指さす友理奈を遮ったのは、
「龍兄ちゃんっ!!卓兄〜っ」と、がばっ!と音付きで自分の『後ろ』を『振り返った』海だったーー。そう、ふたりの『兄』は、海の背後から現れたのだ。
「え?」
海の言葉に、今度は友理奈が呆然とする番だった。
「へ?卓兄に龍兄?…なんで居んの?」
美形に似合わない言い方をしたのは友だった。………友さん………イケメンがそんな間抜けた言い方……と、
友の言い方で友理奈はやや正気に戻った。もういい。良く考えたら、あの『オジサン』の『息子』で、『友』さんの『兄』とか。
後律君の『お兄さん』。………美形だろうが、美しかろうが、……『あるよねーだよねー』と…………。
驚くな、私。どうでもいい。と。友理奈は最早開き直った。海もーー顔だけ見てれば『それ成り』だ。うん。と。
直夏さん家のお隣に、『人気モデル』と『有名ピアニスト』が住んでても、気にしない方向性で行こう。大丈夫2。良く有る(※無い)、良く有るよ。(※無いよ。)
大丈夫此れ以上は『きっと』(※もう)無いから。と。友理奈はもう一度開き直った。
又、『聞いた事の有る声』に、盛大に笑われるまで。
なんか……いつの間にか条件クリアしていたので(※文字数)ラノベの大賞(オーバーラップさま?のやつな筈w)にチラッとエントリ///記念受験的な( ̄ー ̄)ニヤリ←w。閲覧有難う御座ます〜くすりっと笑えるお話目指してます〜///m(_ _)m




