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Ⅳ.  - Ⅱ‐nd.  直夏の実家に初訪問は……恋人終了の後で〜





 「あの……」




 とりあえず人様の御宅にて、黙って立っている訳にもいかず、…友さんの大爆笑に気後れしつつ、何とか言葉を出す……。



 「……ええと…あ…の………、」…しかし何を話せば良いのか…聞けば良いのか…聞かれれば良いのか。…さっぱりです。



 不可抗力で視線は右往左往する。うん。何から聞いたら良いの?




 私は最終的に直夏を見るしか無い。



 美形のおにいさまにも気後れどころが、挙動不審寸前です。そっちを見たら緊張して何やらかすか分からないので、絶対に見ない。あそこだけレベルが別世界なんです。なんなの〜このひと〜直視不可能レベルとか……どうしたらいいのかな? 人様の御自宅にて『どちら様ですか?』〜とも聞けないし〜それ完全に私が、やばい人に為るしねえ。うん。(苦)



 ここは直夏サンに救けて貰おう。(※彼の家だし)


 「……あの…、」



 直夏に縋る勢いで、顔を向けて言葉にする。


 それを読み取ったのかどうか、直夏が言った。「……友兄、笑い過ぎ。」と。


 うん、今、其れ、いいよ。(スルーで。)


 ………直夏君、………空気読んで欲しかったです。………私の。……私は困惑中なのですよ。困惑中。友さんは、きっと笑いたい……歳頃…嫌、満足させてあげようよ。……満喫とか。(つまりスルー。今はスルーで。)



 「んだからさ、友はなんで笑ってんの? 大丈夫か? 友? 後、律達は?」



 と、其処で直夏の部屋の扉を開けて先に入って来た方の男の人が、そう言った。おにいさん、ナイスです。


 私の知りたい事を上手く言ってくれてます。そう、律君は? どうして友さんだけいるの? 律君とはぐれたの?  でも慌ててないし……で。



 「はあ〜、ごめん、置いて来た。」って。



 ちょっ、友さんっ、おっ、置いて来た?!  ……ひとでなし?(苦)



 弟でしょ! …どうして置いて来るかなっ、…どうしよう……律君。 ……どうしたら……



 と、青ざめていると、



 「っふ、ーーはは」と、軽い笑い声が聴こえた。     ーーはい?



 見ると美形過ぎるおにいさんが、……笑っていた。 …えっと、……どうして?


 「……あの〜」と、思わず問う。なんで笑うの?



 「ははっ、ごめん。お嬢さん。」 と。………お嬢さんて。…………………………私…?



 と、思ったら、また吹き出した。 ……友さんのが伝染ったのかな〜? 大丈夫ですか?



 「いや、君、面白い子だね。と、思ったら笑えた。ごめんね。」と、おっしゃっています。



 私……………笑われたの?


 「……オジサン。」落ち込んでたら、直夏がその人に言った。直夏は『おじさん』て呼んでるのね…美形さんを。って、『おにいさん』じゃなくて?  『おじさん』て歳じゃ無いよね?美形のおにいさん。 なんでだろ……?



 そしたら又ぷっと笑われた。ーーだから何で?!


 そしたら。



 美形さんがびっくりする事を…言いました。…………絶対嘘だ。



 「ーごめん。(笑)いや、おれね、大分いい『歳』の『オジサン』だからね。っても直は昔からもオジサンって呼んでたけどな。」と。何故だがに嬉しそうに。 …最初何言ってるのか理解らなかったのよ。だって美形のおにいさん、私よりは少し上?ん〜友さんよりも、ちょこっと上?なの?位で。…嫌、もっと若い気もするしーーえっ?って。


 その答えは、『一番上と二番目がもう三十になるよ』と言っていて、……だから何が? と、思って。



 そのまま聞いてみた。『何がですか?』って。




 そうーー「一番『上の』息子の『年齢』が、『30』歳。」ーーだった。



 …………………おにいさん…いくつ、…………なんですか?……30たす………えっと?



 「おにいさんが………『30』の間違いなんじゃ………………」いや、それでも『頑張って』だけれど(汗)



 そう言ったら笑われた。………嘘でしょ? 30+(たす)『20』だった……。「ハタチな時の子だね〜上の二人は。」と。 




 若い。美形プラス、若いって何? 最早怪奇現象だよ……せっ、整け…



 「いや整形してないから。」ーー心の声聞かれてるー! そんなに顔に出て…? なんとか注射じゃ無いのか…



 「だから、なんとか注射って。何注射だよ(苦笑)」…………え?



 そこまで言われて。幾ら私でも気付いた訳です。……声に出してないーーのに、…伝わってる……の?……と。


 で、思わず、直夏を見たり、おにいさーーーええと見た目『30』の美形さんを見たりと………



 「ーー友理奈、それ、リスに似てるからな。」と、直夏に言われました。ーーは?ーー何言ってるの?ーーこの人。………リスが何?………今リスの話して無いし。



 「…お前が栗鼠に似てるんだよ。」と、追加で直夏に言われました。………っ、っ!似てないわよ!(なんで栗鼠?)



 と、思ったのに、みんなして、『ぷっ』とか『くくっ!』とか笑い出した。友さんとかも又派手に『ははは』っと笑ってるし。ーー似てないよ!ーーこの美形集団失礼だなっ、……デスってやるっ(苦)



と、一瞬我を忘れそうだった。いけない×2。頑張れ私の平常心。活躍しろ。(我慢だ我慢。)




 葛藤してると美形さんが落ち着いたらしく、『ごめんね』と。いえ×2、もう栗鼠で良いです。


 「分かった、分かった、ごめんね? 拗ねないで。悪かったから。いや、俺のは可愛いって意味合いの『面白いな』だったんだけどーーごめんね。説明が足りなかったな。君の『心の声』が『視えちゃって』ね。悪いとは思ったんだけど、素直ないい子って言うか、考えが面白くてさ、ついね。覗いたみたいでごめんね。…まあ俺としては…心が何も着てないより…普通に服着てないとかのが嬉しいし楽しいけどなあって、いて」



 最後の『いて』は、横に居た、部屋に一緒に入って来た男の人ーーこれ又年齢不詳の方が、『ぺしっ』と(※良い)音させて、美形さんの額をなぐったからです。……美形ヲ…なぐれるチャレンジャー……凄い。(私…無理。…その突っ込みは出来ない……です。)



 「洒落にならんてか、聞こえねーから。やめとけな。」と。真顔で。




 そこに友さんが、言ったんだけど、「夏央ナツオさん、お父さんの場合ね、マジだよ、其れ。有言実行。その人はーーやるよってか『出来る』ね。…その…、悔しいけどね。」とね。




 「………………お父……さん?」 って誰が?



 友さんが『ん?』って私の方を見て、美形さんを指して、



 「俺の父だけど?」と。




 『似てない?』と。




 ーーーーーーーーーうん、似てる。………そっくりレベル。気付かない位、そっくりです。(※混乱気味。)



 「あ、て言うか律のお父さんだよ」と、直夏が今頃情報をくれる…。…その情報……もっと早く欲しかったんです。…大分手前の処ね? …空気読んで欲しかった辺りですよ?…直夏サン…。



 もう今、言われなくても、流石に私でも気付きましたてか、理解ります。友さんのお父さんなら、律君にもお父さんでしょうよ…(泣)



 まさかと思うんだけどーーもうひとりの其処の『おにいさん』…ナツオさんて……やっぱり……



 「あ、あと、横のがオレの父。お父さん、昨日話したーーあ………と、彼女…」と、直夏がやっと、今頃でやっと、その欲しかった『説明』をしてくれた。…………遅い?……よね?……ねえ?




 「……彼女じゃないです」



 私は『おとうさま』に誤解されぬ様に、そこはちゃんと訂正させてもらいました。昨日別れました!…あ、一昨日か。…あれ?昨日? ………昨日だっ。昨日です。(ちょっと混乱中〜継続なう。)




 「…………………、おい」と。



 直夏が何か言いたそうだったけど。…事実だもん。……やっぱりって覆す程、図々しく成れないよ。




 「いや、その辺は当人達でちゃんと話し合え。」と、直夏の御父様の『ナツオ』さん?が、意外な、と言うか素っ気ない感じでそう言った。…なんか申し訳無いーー目が合ったので、無言で頭だけ下げた。



 それから、


 「あの、私、とりあえず帰ります。……後日落ち着いたら、…お詫びに伺わせて下さい…御迷惑を……お掛けしたと思うんです…私。すみませんでした。」



 と、言ってから、精一杯で頭を下げた。一旦自分でも落ち着いてみないと、きっと事態が呑み込めない。



 その腕を直夏が掴んで、ぐっと引かれて、私はお詫びの御辞儀を止めた。体勢を崩したからだ。


 直夏を見ると、彼が困った顔をしていて、そう思っていると、直夏がこう言ったーー





 「帰れないよ」と。


 どうして?     私の困惑は終わらなかったーー。

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