(7)魔王の初めてのお友達
あらすじ***魔王と勇者入れ替わり!魔王(IN勇者)は冒険へ。
勇者(IN魔王)と聖女は魔王城に取り残される。そっちは(8)で。
★魔王(IN勇者)サイド★
森の中を駆け抜け途中で人間の死骸を見つけたので
それらしい装備を手に入れる。
一番近い町まで300キロはあるが勇者の体ではすぐ近くだった。
最初は人間の体に慣れるため走っていたが
ステータスを確認すると転移術なるものが存在していたのだ。
魔王の時には城に引きこもっており使うことのない能力だったため
初めて使ったのだが便利だった。
町のすぐ近くらしいと思ったのは人間の声がしたからだ。
「きゃぁあああ!」
悲鳴だった。どうでもいいが初の人間としての挨拶くらいは
しておいてもいいだろう。
「コンニチワ、トモダチニナロウ。」
緊張の一瞬。ちなみに勇者などは人間にカウントしない。
挨拶は間違いないはずだが返事がない。
目の前でドタバタしているが返事くらいしても・・・
「バカじゃないの?!この状況みて助けようとかないわけ?!」
三人の少女たちがモンスターと戦っている。
邪魔をしてはいけないと思ってのおとなしめの挨拶だったが
気に入らないようだ。面倒だがいつものようにやるしかあるまい。
「我が名はアルデバン、不死の魔王である。よく来たな!人間ども!!」
・・・
ガン無視。ただし、モンスターには効果があったようだ。
我が身から増えた魔物は魔王城に多くが留まるため
こういった森の中のモンスターは野生のものである。
その分我の威圧には本能にしたがって逃げる道を選んだのだろう。
目の前でヘタリ込む少女たちの返事を待ってやる。
第一村人だからな、まずは人間の世界に溶け込まなくては。
「あんた・・・ 頭おかしいの?」
「よしましょ〜、きっとかわいそうな人なのですよ、アスナ」
「いえ、彼からは凄まじい魔力を感じるわ、魔法使いのわたくしにはわかります。
本当に魔王みたいな威圧を発したわ。」
「まぁ、マリーがそういうなら、そうなのね。謝るわ。
バカだけどおかしくは・・・やっぱおかしいでしょ!
普通なら颯爽と現れて風のように倒してケガはないかの一言を
ってのが定番じゃない!」
なるほど、定番なのか・・・覚えておこう。
三人の少女は勝手に自己紹介を始めた。
「あたしはアスナ、剣士よ。危ないところを一応ありがとう。」
赤毛ロングのストレートの娘だ。非常に気が強そうだが素直でもあるようだ。
「私はフワリ、回復士なのですが、頭のほうは直せないです〜。」
白銀のクルクルした髪をした娘だ。毒舌家なのか、素直なだけか。
「わたくしは魔法使いのマリーよ、いつもならもう一人狩人の子がいるんだけど
どうしても外せない用事ができてわたくしたちだけで狩りに来ていたの。
いつもはこんな失敗はしないんだけど・・・。」
三人の中で一番年上に見えるが年齢はわからない。
紫髪の腰までウェーブのかかったマリーが
そう言いつつちらりとアスナを見る。
「しーっよ!あとで謝るからやめて!」
慌てるアスナにニッコリほほえむマリー。
「じゃあこの方にちゃんと謝りましょう?」
「わ、わかったわよ!ごめんなさい!!」
顔をそらして言われた。
「別にかまわん。我はま・・・勇者の・・・
えー、勇者みたいな魔王みたいな人間だ。」
よし!とりあえずウソではない。それに勇者の名前も知らんし。
「さっきアルなんとかって言ってたじゃない。頭大丈夫?」
む・・・ あの名前を名乗っても恐れるに足らずか、今の人間は図太いな。
「ああ、その通り。我が名はアルデバン。不死の魔王だが知らないのか?」
「ああ〜、わかりました。とりあえず町に戻りましょう。
今回のクエストは一度出直した方がよさそうですよ〜。」
他二人も賛成しつつこちらを見る。
「とにかく一緒に行きましょうか?わたくし、強い人は好きよ。アルデバンさん」
マリーに腕を組まれる。よくわからないが友達とはこういうものなのだろうか。




