(6)魔王は旅に出たい
あらすじ***魔王と勇者、入れ変わったけどさっそく冒険だ!!…って誰が?
「ま、まて!ちょっとこっち来い!」
魔王(IN勇者)を呼び出し部屋の隅に移動する。
「どういうことだ!ここで元に戻るため色々試したりとか
今後のアレコレを話し合うんじゃないのか?!」
「それはお前にまかせよう。我はずっと旅をしたかったのだ。」
そこからは魔王(IN勇者)のターンでした。
いかに街というものが魅力的に見えたか。
屋台での買い食い、クエスト、冒険者同士の交流
飲み屋での喧嘩、商い、農業、学業
とにかく興味は尽きないので度々人間の街を覗いていたが
魔王が降り立てばすぐさま壊滅する。
ちょっとした買い食いすら憧れてもできない。
似たようなものを配下の魔物に作らせても満たされず
そもそも魔物たちは魔王の分裂した下等細胞のため
たくさんの自分に囲まれて
人間っていいなー
と孤独に憧れていたんだそうだ。
それが今ならすべて叶う。
「必ず戻ってくる。どうせ小娘の力が回復するまでそれなりの時間を要するはずだ。
三人で肩身の狭い思いをしつつ城で暮らすよりよほど良いだろう。」
そ、そんな!慌てて振り向きアリアに問う。
「次に先ほどの光を放つ力を使えるのはいつだ?!」
「はい、ええ〜と、約10年くらいかと・・・??」
10年 オー こんな・・・もう 言葉にできなぁい
頭が真っ白になる。そんな・・・そんな・・・
「じゃあそういうことで。」
魔王は腰布でスタスタと歩き去る。
「ま、待ってくれ!俺は、アリアは、どうしたら!!」
焦るあまり素で魔王に問いかける。
アリアはキョトンとしているが天然なところがあるからきっとごまかせる。
そんなことより俺はどうしたらいいかわからないこの状況に
魔王に助言を求めるほかなかった。
「好きに暮らせばよかろう。アリアよ、せいぜい奴隷のごとく魔王に尽くすがいい。
さもなくばそこの魔王に殺されるぞ。」
「! は、はい!!」
そこでハイとか言っちゃうの?!置いてかないでとかないの?!
足取り軽く城外へ進む魔王(IN勇者)に
俺とアリアは立ち尽くすでのあった・・・。