27話「三体の魔動機人」
フェン達と分断されてしまった二人は暴走する馬車をなんとか止めたものの(馬は逃げ出した)、完全に道を外れ他のメンバーと分断されてしまった。
「皆さん大丈夫でしょうか?」
「少なくとも、早めに合流しないと不安ですね。」
先程の魔動機人は装甲の一部が違っていた。普通の魔動機人ならば、例え装甲がひび割れようが剥がれようが、自ら修理する知能もない暴れ者だが、奴は違う。
急所と成り得る頭部と動力源のある胸部の装甲が補修されている痕跡があった。
つまり、あの魔動機人には知性が存在している可能性がある。
「でも、どうしていきなり襲ってきたのでしょうか?」
リリーナの言う通りでもある。
本来、魔動機人は森の深くにおり、危害を加えなければ滅多に人を襲うことはない。
「ティガ。同じ機械としての意見を聞かせてくれ。」
リーフの声に反応し画面に考える素振りをしているティガが写し出される。
『まだハッキリしませんが、あの魔動機人・・・』
そして言葉を続けようとしたのだが、リーフは異様な気配をいち早く察すると、リリーナに飛び掛かりそのまま押し倒す。
「えっ!?・・・ア、あの!いいい、いきなり何を!!?」
直後、激しい炸裂音楽が響き渡りリリーナの立っていた後ろの木の幹にいくつもの風穴が開く。
銃撃であった。恐らくマシンガンの類いだろうか、しかし恐ろしい事に着弾した弾は全て貫通している上、明らかに弾丸のサイズは人間の扱う銃ではあり得ないほど大きい。
不気味な駆動音と足音が近づいてくる。リーフは起き上がり幻龍を抜きとり、リリーナを荷馬車のほうに隠れるように促す。
リリーナが隠れたと同時にそいつは現れた。
予想通り魔動機人であった。
だが、先程のとは似ているが全く異なる個体だ。
装甲色は鮮やかな青、右腕にマシンガン、左腕にはクローが装備されている。
赤く発光するカメラがリーフをしっかりと見ている。
対するリーフも目を反らさずに鋭く睨み付ける。
『分かりました!ご主人様、ウイルスです。』
「ウイルス?」
『はい。コンピューターウイルスです。正確には特殊な電波で感染するタイプで、それが感染して魔動機人は暴走しているんです。』
成る程、ティガのお陰で原因は突き止めたが、リーフにはどうして良いかわからない。
「・・・何とかできるか?」
わからなければ機械は機械に任せば良い。
『ではまず“彼”の動きを封じて下さい。暴れることができないくらいに。』
「任された!」
リーフが駆け出すと、青の魔動機人は追うようにマシンガンを構え引き金を引く。
今にも鼓膜が破裂しそうなくらいの大音量だが、気にする事なく弾丸の雨を避けながら迫る。
「はぁっ!」
そのまま飛び掛かるように斬りかかるも、青の魔動機人はクローで受け止め、リーフを突き飛ばす。
突き飛ばされながらも、リーフは苦無を取り出し一気に投擲する。
一直線に青の魔動機人に向かって行った苦無だったが、それらは全て装甲に弾かれた。
青の魔動機人は銃口をリーフに向け直し、無数の弾丸が放たれる。
「だぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
雄叫びと共にリーフは幻龍を振るう。迫り来る凶弾を斬り落としているのだ。
常識はずれのリーフにしかできない行為だが、無数の弾丸を全て斬る事は不可能で、自らの命を奪いかねない弾のみを斬り落としていた。
やがてその雨は一時停止する。弾切れだ。いくら強力な武器であろうと欠点は必ず存在する。
そしてリーフがまさに狙っていた瞬間が訪れようとしている。
青の魔動機人が弾切れのマガジンを新たな物へと交換しようと動く。
対してリーフは右の袖から苦無を一本取り出し魔動機人へと駆け出す。
しかし、魔動機人のマガジンの交換に掛けた時間はほんの数秒、直ぐ様再び銃口をリーフへ向け直す。
「(ここだ!)・・・いっけぇぇぇーーー!!」
リーフが望んでいたのはまさにこの瞬間である。
左手を振りかぶり、一直線に苦無を投擲する。そして吸い込まれるようにマシンガンの銃口へと消えた直後、魔動機人はトリガーを引いた。
ドカンッ!!と一際大きい爆発音が響く。
バラバラになったマシンガンの部品が地面に落ちる。
それだけじゃない。青の魔動機人の右手からは火花が散り、まともに動かす事すらできないようだ。
リーフは再び幻龍を構え魔動機人へ駆け出す。
確かに魔動機人の装甲は並大抵の武器では傷をつけるのがやっとではあるが、全身隈無くあれば動くことなどできない。
だからリーフは装甲と装甲の間の膝関節部分に狙いを定め斬ったのだ。
膝関節から火花と黒煙が上がり、ドスンと音をたて魔動機人は膝を付く。
だが、魔動機人はギギギと後ろにいるリーフに左腕を伸ばす。
リーフは十分に距離を取っているから、魔動機人がいくら手を伸ばそうとリーフには届かない。
それは間違っていた。
突如、魔動機人のクローが放たれた。
咄嗟に首を右に傾けて避けたものの、僅かに油断していたため反応が若干遅れた。お陰で左頬に一線の切傷が刻まれる。
そしてリーフの頭部を通り抜けたクローは後ろの木を数本切り倒してから止まった。
そしてリーフが一気に魔動機人の間合いに踏み込み、幻龍を振るう。
再び防御が薄い肩関節を斬り付け、魔動機人の左腕が脱臼したようにダラリとなる。
勿論右腕も同じく斬り付け、完全に攻撃不能にする。
更なる追い討ちで魔動機人の頭部を回し蹴りを喰らわし、装甲が凹み火花が散った
手も足も動かせなくなった魔動機人はゆっくりと倒れた。
そして直ぐ様タブレットを取り出し、ティガを起動させる。ちなみにいくつか弾が当たっていたのだが、リーフのタブレットは防弾性能が格段に高く、製作者の匠の技が光る一品である。
同時に接続ケーブルも取り出し、魔動機人の首にある接続口のような部分に差し込む。
タブレット画面に無数の数字配列が並び出す、ティガが魔動機人の感染しているコンピューターウイルスを解析してワクチンプログラムを作っている証拠だ。残りの作業はティガがなんとかしてくれるだろう。
「リーフ様!」
物影に隠れていたリリーナがリーフに駆け寄ってくる。
まだ完全に安全になった訳ではないのだが、余程心配であったのだろう。
【我が身に流れる命の光よ。癒しの光となりて、この者を癒せ。】
【ライト・ヒーリング】
優しい光がリーフを包み込み、瞬く間に傷を癒していく。
「魔法使えたんですね。」
「ええ。ギルド職員はある程度の魔法取得が義務付けられています。」
襲撃など、いざとなればギルド職員も戦う事ができるよう訓練されている。職員の中には引退した冒険者もいるそうだ。
そうこうしていると、遠くの方で銃声が聞こえてくる。
『発砲音、先程のマシンガンと酷似。それに生体反応を4つです。』
「まさか他にも魔動機人が!?」
「そうか、なら急がないとな。」
そう言うとリーフはタブレットを紐で縛り付け固定する。
『あの・・・ご主人様?何で縛るのでしょうか?』
「飛ばされないようにだ。」
固定し終えたリーフは魔動機人から降り、触手をほどいて髪を下ろす。
その二つの触手を魔動機人に巻き付ける。
『まさかと思いますが、ご主人様・・・これを私ごと投げ飛ばすつもりじゃあないですよね?』
「・・・そのまさかだ。」
リーフは一気に力を解放し、ゆっくりと魔動機人を持ち上げる。
やがて魔動機人は完全に持ち上がる。
そしてリーフは思い切り振りかぶり遠くへ投げ飛ばし、魔動機人はそのまま見えなくなった。悲鳴を上げるタブレットと共に。
「はぁはぁ・・・さて、行きましょうか。」
呼吸を整えたリーフはそのまま魔動機人を投げ飛ばした方向へと消えて行った。
「・・・規格外すぎる。」
改めてリーフの異常さを再確認するリリーナであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
案の定投げ飛ばした先には仲間がいた。内三人は戦闘不能な状態でフェンがたった一人で魔動機人を食い止めていたようだ。
だが再開の余韻に浸らせてはくれず、いきなり紫の魔動機人が襲い掛かってきた。
そして現在、紫の魔動機人と絶賛戦闘中である。
この紫、先程の青の魔動機人と色が異なるだけだが、非常に自分の戦い方を理解している。
紫の武器は大型のランスとサブマシンガンが一体化したものだ。
ランスの間合いから離れれば、サブマシンガンで撃たれる。かといって距離を詰めればランスで凪ぎ払われる。
実に戦いにくい相手だ。
だが、それと同じ気掛かりな事がある。
もう一体の緑の魔動機人が全く戦闘に参加して来ない事だ。
緑の魔動機人は腕を組み、ずっとリーフの戦闘を眺めている。
向こうでリリーナが仲間に回復魔法をかけているというのに見向きもしない。
止めを確実にできるはずなのに。
ともかく今は目の前の敵に専念しなくては。
確かな一撃を与えられないかと考えていると、紫の魔動機人が動きを止めた。
ゆっくりとこちらに槍先を構え、数歩の助走ののち・・・
気付いた時には槍先が自分の目の前に迫っていた。
咄嗟に反復横飛びの要領で横に飛び退いたすぐ後、盛大な音が聞こえた。
振り向くと先程待て立っていた地面は抉れ、その少し先で紫の魔動機人は止まっていた。
後ろにあった樹木の数本が粉々となって消えていた。
「(今のは危なかった。)」
あと少しでも気付くのが遅れていれば、体に大穴が開いて終わっていた事だろう。
そしてこちらに向き直った魔動機人はサブマシンガンの引き金を引く。
「(少しは止まってろ!)」
まずはサブマシンガンをどうにかしたいものの、残念ながら苦無は先程の戦闘で全て失った為、青の魔動機人の時の手は使えない。
何かないか?・・・待ち伏せしてカウンターを狙う?・・・いや、あれだけのスピードでは剣が弾かれる。
目眩まし?・・・こっちも見えなくなるだけだ。
「(あのスピードがなければ、・・・スピード?・・・っ!?)」
その瞬間リーフの頭に電撃が走り、一つの攻略法が閃いた。
「(問題はタイミングだな。少しでも遅れても早すぎても失敗だ。)」
サブマシンガンの弾が切れ、皿形弾倉を新しい物に付け替える。
わずかな時間で装填し終えて、再び銃口を向けるも、対するリーフはただその場で剣も構えずただ無防備に突っ立っていた。
魔動機人はリーフの想定外の事態に動揺したように見える。
そしてリーフは紫の魔動機人に向けて手招きをする。
あからさまな挑発行為を紫の魔動機人は完全に理解した。
先程と同じモーションをとり、リーフに狙いを定める。
挑発の影響で先程よりも強い一撃になるだろう。
魔動機人が一歩踏み出す。
リーフは全神経を集中させ、タイミングを見計る。
二歩、三歩、そして四歩目でブースターに火がついた。
「(ここだっ!!)」
五歩目が地を離れ、紫の魔動機人は一気に加速する。それと同時にリーフも踏み込んだ。
みるみる内に互いの距離が縮まる。
リーフは魔動機人の突き出したランスに幻龍を滑らす。
ガリガリと金属同士が擦れる嫌な音と激しい火花が散る。
そしてすれ違い様に幻龍の刃が魔動機人の肩の装甲に浅い傷をいれる。
本来ならば肘を切り落とすはずの一撃だったが、軌道がずれ検討違いな上ダメージゼロだ。
だが、リーフの本命は別にある。
すると、紫の魔動機人の身体がふらつく。
よく見れば、魔動機人の右足にリーフの触手が引っ掛かっている。
まだ自然が残っていた頃の草トラップと同じ要領だ。地面に生える草同士を結び付け、走ってくる相手を躓かせる簡単な仕掛け。
リーフも触手を結び、すれ違い様に右足に引っ掻けたのだ。(しかし、引っ掛けた触手が引きちぎれそうで、これまでにないくらいの激痛を味わっていた。)
紫の魔動機人の速さが仇となった。
ゆっくりとその巨体は傾き、やがて頭から地面に激突する。
急所の一つである頭部を打ち付け、紫の魔動機人の機能がダウンし、所々バチバチ音を立て動かなくなった。
念のため魔動機人の両肩関節に幻龍を刺しておいた。
「これで二体目」
そして遂に最後の魔動機人が動き始めた。
拳をこちらに向け、独特な構えをとる。
どうやら緑の魔動機人は格闘戦が得意なようだ。
リーフも幻龍を握り直し刃を向ける。
二人が動いたのはほぼ同時であった。
リーフは剣を魔動機人は拳を振るう。
剣と拳がぶつかり合い、お互いの衝撃で後退る。
緑の魔動機人は腕を振るって風を発生させた。
すると地面の砂が舞い上がり、その風はリーフを巻き込む。
目に砂が入り、リーフはたじろぐ。
そこに魔動機人は拳を振り下ろした。
ドゴッと地に亀裂が生まれ、砂風と土煙が舞い上がる
まともに入ったと思われたが、土煙の中からリーフが飛び出す。
そのまま魔動機人の側頭部に回し蹴りを喰らわせる。
両者の力はほぼ均衡しており、互いに一歩も引かない。
打たれては斬り返し、斬られれば打ち返しと両者の攻撃は激しさを増してゆく。
次第に防御を無視し始め、どちらが倒れるかの持久戦じみてきた。
「(・・・このままだとヤバいな。)」
体力に限りがあるリーフと龍脈石を失わない限り動く永久機関の魔動機人。このままゆけば軍配がどちらに上がるかは目に見える。
だからリーフは賭けに出る。
幻龍に魔力を流し込む。刀身が翡翠色に輝き出し、脅威と感じ取った魔動機人は拳を放つ。
放たれた拳を踏み台にして飛ぶ上がった。
「『神導覇星幻龍“一閃”壱ノ型!』」
狙いは胸のど真ん中にある龍脈石。完全に破壊すれば魔動機人の命を奪ってしまうが、ギリギリを攻めれば行動不能にできる。
神速の斬撃は確実に狙い通りのコースを描く。
だが、魔動機人は咄嗟に傾き、一閃は右腕を切り落としただけに終わる。
そして、空中に飛び上がり、技を放った直後のリーフは完全に無防備な状況である。
魔動機人がそれを見逃すはずもなく、左腕がリーフを掴み取った。
魔動機人は握り潰そうと手に力を込めるが、圧死する寸前でリーフは指の第三関節に幻龍を突き刺した。
何とか指を止められたが、魔動機人の腕からカチリと音が聞こえた。
直後、緑の魔動機人のの“奥の手”が炸裂した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その瞬間何が起こったのか頭に浸透してくるまでがとても長く感じられた。
緑の魔動機人の奥の手、その名も『パイルバンカー』。
腕に内蔵された杭が高速で飛び出す仕組みの隠し武器。対象との距離が縮まるほどに威力は増す。
リーフはそれをまともに喰らい、杭が突き刺さったまま飛ばされた樹木の下で動かない。
対して魔動機人は右腕と人指し指と中指を失ったものの、まだまだ戦闘に支障はない。
勝敗は喫した。
ゆっくり魔動機人が近付いてくる。
皆はもう諦めていた。
そんな中、フェンは怒りが沸き上がっていた。
自分の無力さに心の底から腹が立っていた。
「あぁぁーーーーー!!」
だから無謀にも飛び出したのは単なる八つ当たりに近い攻撃だった。
しかし、その飛び膝蹴りは魔動機人にクリティカルヒットし、魔動機人は大きく仰け反った。
リーフとの戦いによってダメージが蓄積し、本来の動きができないのだ。
「戦え!立つんだ!」
フェンは仲間に叫ぶ。
「あと少しなんだ、みんなの力を貸してくれ。」
「リーフの為にも、頼む。」
その言葉で奮起させるのに十分であった。
一人また一人と立ち上がる。
「どれ、一泡吹かせてやろうかの。」
「魔力がほとんど残ってないから期待しないでね。」
「まだ未熟者ですが頑張ります。」
「仇は取ります。」
「僭越ながら、私も手伝います。」
非戦闘員のリリーナまでもが自ら戦いに挑む覚悟だ。
全員で魔動機人を睨み付ける。先程の様にはいかない、絶対に倒すという共通の意義がある。
そしてまさに死闘が始まろうとした瞬間、魔動機人にあるものが投げつけられた。
それは杭である。
だが、尖った先端の部分はありえないほどにへこんでいた。
「盛り上がっているところ悪いのですが、勝手に殺さないでくれます?」
声の先には近くの木に手をかけ立ち上がるリーフがいた。
「無事だったのですね。」
喜びのあまり涙が滲み出るリリーナが言う。
リーフが助かったのは、他でもないグラン特製の拘束具である。
あの拘束具は動きを制限すると共に人体の急所を守るように設計されている。
一定の力が加わると拘束具に魔力が流れ、アダマンタイトクラスの硬度を誇り、装備者を守る仕組みだ。
ただ今回は超至近距離であった為、杭を受け止めた後で粉々になってしまった。
「かなり痛かったですけどね・・・」
しかし衝撃までは殺せず、腹筋の辺りがズキズキ痛む。
「やった分は返すぞ、魔動機人。」
リーフは幻龍を鞘に納め、荒れた呼吸を整える。
腰を低くし抜刀の姿勢。
杭で打たれた際、脳裏によぎった神導覇星流の新技である。同時に重要な記憶もあった気がするが、今は置いておこう。
ただこの技の唯一の難点は発動までに時間が掛かる事。動けないリーフを魔動機人が放っておくはずもなく、予想通り脅威と感じ取った魔動機人はリーフへ駆け出す。
「各自援護、魔動機人をリーフに近づけるな!!」
フェンの言葉を皮切りに他の仲間が動く。
シダとウォーティーは荷馬車に積んであった丈夫なロープを木にきつく巻き付け、シルバはそのロープの先端に輪を作って魔動機人に投げる。見事に引っ掛かりロープが張って魔動機人の動きが止まる。
カラーはその瞬間、膝関節を攻撃し始める。
だが、止める事ができるのはわずかな時間。魔動機人の怪力によって簡単に木は引き抜かれ、衝撃で仲間達は飛ばされる。
あとほんの数秒だというのに。
みるみる距離を詰め、飛び掛かるように拳を振り下ろす。
「はぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!」
樹木を蹴り飛び上がったフェンが渾身の膝蹴りを魔動機人の腕に放つ。
見事に命中しコースを変える事に成功した。拳はリーフの真横で凹みを作って止まった。
「さっきとは逆だな。」
リーフの幻龍は鞘から溢れ出るほど光輝いている。
「お返しだ!」
下から垂直の一閃。その場にいた者達が知覚できたのは音のみ、リーフの剣筋は全く見えず、抜刀したのかもどうかすらわからなかった。
これこそ神導覇星流最速の剣技。
「『“幽閃”壱ノ型。』」
直後、魔動機人の体に一筋の線が入り、左上半身が分かれてそのまま崩れ落ちた。
遂にこの遭遇戦はなんとか勝利に終わった。
他の仲間達はほとんどの力を使い果たしその場に座り込んでいる。だが同時に勝ち取った勝利をしっかりと噛みしめていた。
ティガのワクチンプログラムはそろそろ完成しただろうから、リーフは二体の魔動機人にもインストールさせるために動きたかったのだが、先程の大技の反動で体がうまく動かない。
この状況で新手が出てきたら確実にヤバイなと考えていると。
「あっちゃー、酷い有様ねぇ。」
仲間の者ではない声がこの場の全員に聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




