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1. 老魔女と母と子 

はじめまして。

今まで読み専でしたが書きたくなって投稿までしてしまいました。

豆腐メンタルです。お手柔らかにおねがいします。

全35話予定です。


今日は21時にもう1話あげます。

よろしくお願いします。

ワシの名はリズベット、魔女だ。ベルナー王国の西にある森に住んでいる。なので人は皆、ワシの事を西の森の魔女と呼ぶ。



この世界には魔力を持つ者に対して、不可侵条約と言うものがあった。


魔力は生活で使われる魔道具には欠かせないものだ。本来、魔道具には魔獣から取れる魔石を使う。


取れる数が少ないので魔石は高価だ。だが、空になった魔石に魔力を込めれば、また使う事が出来る。


魔力を持つ者に魔力を込めさせれば魔石として売ることが出来る。そこに目を付けた商人や貴族達に魔力持ちが攫われる事件が多発した。



その中でも最悪だったのが、数百年前、ある国が世界中から魔力持ちを攫い、王族や貴族達が挙って魔力を搾取し、使えなくなったら容赦無く殺したのだ。


それは魔女達の怒りに触れ、彼女達の手によって、その国は一晩で滅ぼされた。 


以降、世界中の国で魔女や魔力持ちへ手出しする事を禁じた不可侵条約が結ばれた。




しかし時が流れ、条約の中身も『魔女には手を出すな』と書き換えられ効果も薄れつつある。



『また、世界中で魔力持ち狩りが増えそうだ』と、友人の魔女からの手紙を読んでいた。そんな時だ。あの母子がワシの所に来たのは。



まだ肌寒い春の日の夜半。その日は春の嵐が吹き荒れていた。


激しい雨と風の中、森の真ん中にあるワシの小屋に駆け込んで来た者がいた。余程切羽詰まっていたのだろう。扉を叩き続ける。


「西の森の魔女様!お願いです!この子を助けて下さい!」


「これこれ!扉を叩くのは止めておくれ!壊れてしまう」

「っ、すみません」


扉を開けると年の頃は十七、十八くらいだろうか?金色の髪に碧の瞳。


顔立ちは整っている。服装もおよそ平民とは思えない赤子を抱えた娘が立っていた。


びしょ濡れの二人をそのままにしておく事も出来ず中へ招き入れた。このままでは風邪を引くと思い、風呂に入らせてやった。着替えはワシの服しか無かったが文句も言わず着ておったわ。


着替えて出てきた娘を椅子に座らせて、赤子は毛布を敷いた籠に寝かせる。娘には温めの薬草茶を出してやった。



「これでも飲んで落ち着きな。それからゆっくり話を聞こうじゃないか」

「…ありがとうございます」


娘は礼を言って、お茶を飲んだ。


「温かい…落ち着きます…」

「そりゃそう言う効果のある薬草を煎じてあるからね。さて、落ち着いた所で話をしてくれるね?」



「はい、魔女様。私はこのベルナー王国の貴族、ロンメル子爵が娘マルガレーテと言います。この子はシャルロッテです。教会で受けた魔力検査で魔力持ちと判定されました」



子供が産まれると、すぐに魔力検査を受けさせられる国もある。その時に魔力持ちだと判定されてしまったのだと。魔力持ちならば、保護という名の下に国に囲い込む仕組みだ。


魔女には不可侵条約があるが、魔女に関わる前に取り込んでしまえと、欲をかいた国の考えそうな事だ。



「勝手なお願いである事は重々承知しております。魔女様、私とこの子を魔女様の所で住まわせて頂けないでしょうか?勿論、お金はお支払いします」


「そうだね。この子は魔力が多い。ワシの弟子として育てるのも悪くない」



籠の中ですやすや眠る赤子を見る。この子は魔力の無い両親から生まれた魔力持ちらしい。幸い、この子は魔力が多い。この子を守る為にワシの弟子にする事にした。


「ありがとうございます!」


マルガレーテは、ほっとした様に息を吐く。


「だが、あんたもこの子も貴族だ。貴族なら魔力持ちは手放したく無いんじゃないのかい?あんたの家族は何も言わなかったのかね?」


マルガレーテは首を横に振る。



「家族には話していません。彼らは信用できないので」


「では、この子の父親は?」


「私は結婚していません。父親は…」



マルガレーテは唇を引き結んでから話しだした。マルガレーテの話は気分の良いものでは無かった。




マルガレーテはベルナー王国でも有数の高位貴族家で侍女をしていた。働き始めた時から屋敷の主人からの嫌な執着を感じていた。 


度々の誘いを上手く躱していたが、ある夜、主人にお茶をすすめられた。断ったが首にすると言われれば飲むしかなかった。 



飲んだ直後からの記憶が無い。


気付いた時には朝で、身体の節々が痛くベッドの上で服を着ていなかった。それだけで自分の身の上に起こった事は理解できた。


このままこの屋敷に居ると、ずるずると関係を持たされてしまう。逃げ出そうとした所を奥様に見つかった。


事情を察した奥様に荷物と金銭を渡され、無事屋敷から逃げ出す事に成功した。



自分の親であるロンメル子爵は頼れない。マルガレーテが高位貴族のお手付きになった事を知れば、お金の為に売られかねない。


ベルナー王国に居ては連れ戻されると思い、隣国の叔母の所に身を寄せた。



叔母の所に身を寄せてから、しばらく経って子を身籠った事に気付いた。子に罪はないと産む事にしたが、産まれて来た子は、父親と同じ銀色の髪と紫の瞳を持っていた。


おまけに魔力持ちだ。



自分の親や子供の父親に見つかれば、魔力持ちを放って置くはずがない。利用され不幸になる未来しか見えない。


唯一子供を守る方法は魔女にする事だった。



魔力持ちと判定された子供には、国の監視がつく。一度、国に取り込まれてしまったら逃げ出す事は難しくなる。


意を決してマルガレーテは、この嵐の中を監視の緩む夜に隣国から逃げ出して、ベルナー王国に戻って来た。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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