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七章 匂いの調べ

「この手紙からは毒の臭いがします。開ける時は手袋をなさってください」

「こっちは香水だけなので、安全かと」

「こちらは微かに麻薬(ドローゲ)? 葉巻? のような臭いがします」

 伯爵宛に送られてくる手紙の数々を、一通一通ずつ鑑別していく。大量にある手紙の注意点を、グランツとオブシディアンに伝えていくと二人の表情はみるみる不思議な物を見るような目へと変化していた。

「あの……お二人とも、何か……?」

「いや、そこまで的確に仕分けられるのが凄いなと」

「まったく同意見です」

「そ、そうですか」

 イヴにとっては至って普通で当たり前のこととして、匂いの記憶を分析しただけだからか、少しだけ恥ずかしくなってきてしまう。

「あの……お役に立てているでしょうか?」

「勿論だよ。早速怪しい手紙から順を追っていこう」

「パーティーと見せかけて、怪しい取引をしている貴族の多いこと……最近では闇オークションが話題にあがりましたね」

「闇オークション?」

「その名の通り、非合法な代物を掛けたオークションさ。人身売買なんかも行われたりする」

「そんな、人身売買だなんて……!」

「落ち着いてください。あくまでも一例ですから」

 オブシディアンの言葉に口を噤むと、ギュッと掌を握り締める。

(もし、人身売買なんてことが本当に行われているのなら、止めなくちゃ……)

「グランツ、もしその闇オークションがあるようなものがあれば、私も参加して良いでしょうか。その……シーズンの一環として」

「表向きはただの舞踏会だからな。危険は少ないとは思うが……」

「お願いします、グランツ」

「分かった。シンシャを念の為に付かせよう」

「ありがとうございます」

 なんとかグランツと約束を取り付けると、イヴはホッと胸を撫で下ろした。

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