七章 匂いの調べ②
「舞踏会……前は乙女座会でしたよね。今度は……?」
「蟹座会だな」
「そんなに危険なかたなんですか?」
「ハインツ子爵自体はさほど危険な人物ではないが、珍しい物や美しい物に目がないという噂だ」
「なるほど……」
イヴは出会ったことのない子爵の様をもにゃもにゃと思い描きながらもグランツの話を聞いていた。
グランツの仕事の中には、領地の管理や魔物の退治だけでなく悪逆無道な貴族の行いを摘発することも含まれると聞いた。
そんな危険な場所に今まで単身で乗り込んでいたのかと思うと肝が冷えたが、それでもこれからは一助になれればと思うと密かにイヴはやる気が出ていた。
「私も、お手伝いできることがあれば……」
「イヴ。キミは舞踏会の花でいることを優先してくれ。裏の危ないことに巻き込みたくはない」
「は、はい……」
ピシャリと告げられた言葉に萎縮しながらも、イヴはもっと力になりたいと密かに願っていた。
「なるほど……それが私も、蟹座会に参加するよう命ぜられた理由ですか」
「グランツにシンシャを付ければ安全だろう、って」
「その信頼は非常に誇り高く嬉しいことですが、私としてはイヴリース様自身が参加されることが非常に心配です」
「あ、あまり危険なことはしないから……」
「あまりも少しも駄目です」
「うぅ……」
グランツとシンシャの二人から止められ、項垂れるイヴだった。




