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錬金術師の秘密道具

瞬間錬金術の精度アップ。うん、最重要項目だね。

だけど、流石に1日やそこらじゃ無理だなぁ。


「じゃあ、そろそろだね」

「そうなの? 周囲がよく分からないから…」

「うん、あの時計が元の世界の時間だよ」


私はリビングに掛けてある時計を指差す。

この時計がこの空間で元の世界の時間を把握できる

ツールになってる。唯一のアイテムって訳じゃ無いけどね。


「ふーん…ただの壁掛け時計だと思ったら

 かなり重要な道具なのね…これ」

「どんな物だって時間を刻む道具は重要なんだよ?

 人間が時間を知る為の方法だからね。

 日時計とか月時計とかあるからね」

「時間程度で何言ってるのよと…と、言いたいけど

 そうよね、時の錬金術師とか言われてる

 師匠の元で鍛えたあなたが言うと説得力あるわね」

「あはは、そうでしょ? 師匠の言葉なんだよね。

 時間と人は密接な関係にあるってさ。

 後、人は唯一過去を見る事が出来る生物とも言ってたね」

「どう言う意味?」

「過去を悔むことが出来ると言う事だよ。人間はね」

「んー?」


うん、実を言うと私もよく分かって無いんだよね、この言葉の意味。

だって、過去を悔むことが出来ると言われてもって感じだし

私達からしてみれば、それは自然な事でむしろ過去には縛られない。

その方が先の未来を見据える方法でもあるからね。


「因みに未来を思い描けるのも人だけらしいよ?」

「あぁ、将来の夢とか言う奴ね」


将来の夢、将来への目標というのは人が時間に干渉してる証拠。

将来へのビジョンを思い描き、進むことが出来るのは人だけ。

動物や魔物は本能に従い、人は不確定な未来を目指す。

従うわけでは無く、考え、目指し、動く。

沢山悩んで選択できると言う事だね。それが人の強み。


「まぁ、時間に干渉できる魔物も居るんだけどね。

 そう言うのは大体別格の存在だし魔物と言えるかは微妙かな」

「あぁ、あなたが使ってた道具には魔物の素材が必要とか言ってたわね」

「そうそう、結構強いんだけどね」

「別格の存在を結構で済ませるのね」

「師匠は軽く捻ってたし」

「あんたの師匠いかれてるわ!」

「師匠はただ強いだけだよぉ!」


ま、まぁ強いって言っても…いや、凄く強いね、うん。

正直、師匠だけで大体の魔物は対処出来るからね。

頭も良いし魔物への知識も凄いし…師匠みたいになりたいよ。


「あぁもう……ちょっと頭痛くなってきたけど、まぁ良いわ。

 とりあえずそろそろ時間と言う事ね?」

「うん、もう夜が明けてるし、いつでも行けるよ?」

「じゃあ、行きましょうか。シック」

「はーい、今行きます」

「じゃあ、出して」

「分かったよ」


シックさんが合流してすぐに私はこの携帯ハウスから出た。

扉を開ければ、それだけで中に居る人は外に出られる。

最後に私が出ると同時に携帯用ハウスを元に戻した。

馬車の方も同じ様に元の空間に戻して、これで完了。


「じゃあ、行こうか」

「もう何でもありね……しかし、そんなハイテク技術があるなら

 凄い速度で移動できる道具とか無いの?」

「あるにはあるけど……素材が無いんだよね」

「素材とか無いんだ…沢山持ってそうなのに」

「あはは、た、沢山はあったんだけど…錬金術の練習で」

「……殆ど無くなったの?」

「う、うん…凄い珍しい素材も無くなっちゃった…」

「馬鹿ね」

「し、仕方ないじゃんか! 練習する為だったんだから!

 で、でもでも、大事な道具とかは隔離してたから大丈夫だよ!」

「……ねぇ、ナルミ…あなたの作った道具って本当に大丈夫なの?」

「酷い! 大丈夫だって! 現に使えてたじゃんか!」

「そ、そうだけど…」

「それに、あの道具達は大丈夫だよ。師匠にも見て貰ってるからね。

 便利な道具だからって師匠からも大事にしろって言われててね。

 さっきの携帯用ハウスと四次元鞄とか

 転移用のアイテムとか、そう言うあると便利なのは師匠と作ったの。

 あ、杖はオリジナルだよ」


師匠に色々と教えて貰いながら作ったんだよね、あの道具は

移動の時に便利だしって言う感じでね。


「それと、非常時に即座に離脱できる道具もあるの。

 流石に即死とかしちゃったら対処出来ないけど

 これ、ブレスレットだけど

 装備してる人が瀕死になったら発動するの」

「何よ、即死って…恐ろしいわね」

「後は、これだね」

「ん? ナルミの人形? 可愛らしいわね。

 随分と愛らしい表情してるわね。目が点になってるし

 簡素だけど、中々良いじゃない。で? それがどうしたの?」

「身代わり人形です」

「……何か恐いんだけど!?」

「術者が即死してしまうような攻撃を受けた際に

 1度だけ発動して、攻撃を肩代わりしてくれるの。

 で、術者とお人形さんの位置を即座に移動させる代物だよ。

 お店に1つ、後、師匠が私のお人形さんを持ってるんだ-」

「ほ、保険という奴ね……いや、でも本当に凄い怖い気が…」

「因みに私が持ってるお人形さんは観賞用です。

 可愛く出来たしね! 流石にランちゃんとシックさんのは無いけど」


流石に許可無く作れる様な代物じゃ無いからね。

そもそも素材が本人から同意を貰わないと手に入らないしね。

後は結構色々な魔物の素材も居るから、あまり量産は出来ないんだよね。

でも、後1つは出来そうだけどね、余った素材だけど。


「便利ね、そう言う保険的な道具なら私も欲しいわ」

「なら、体液が必要だね」

「た、体液ぃ!?」

「うん、唾液と涙と血液か汗が必要なんだよね。

 とりあえず身代わり人形を作る相手の体液が必要なの。

 三種類ね。涙か汗か唾液か涙か血液か……だったかな。

 師匠は他にも色々あるって言ってたけど…教えてくれなかった」

「そ、そうなの…」

「他にも魔物の素材もいるから、あまり量産できないんだよね。

 えっと、確か涙で周囲の魔物を癒やすレインメイジだったかな。

 これもすごく頑丈だから、すぐに倒さないと押し切られるんだよね。

 大体が他の魔物と徒党を組んでるからさ」

「へぇ……」

「これが錬金術師ですか……」

「因みに師匠が持ってる私のお人形はいつの間にか師匠が作ってた」


いつ作ったのか分からないけど、いつの間にか作ってたんだよね。

師匠に話を聞いたら、私に何かあったら困るからって言ってた。

師匠は結構過保護なところあるしなぁ、大丈夫って言ってるのに。


「よほどあなたの事が心配だったんでしょうね、あいつ」

「あはは、師匠は凄い過保護だから。

 じゃあ、道具の紹介はここまでにしよう!

 素材はあまり無いけど、簡単な爆弾なら作れるから

 戦闘になっても戦えるよ。だから安心して」

「わ、分かったわ……爆弾作れるって異常だと思うけど

 そもそも、あなたの道具はほぼ全て異常だし

 爆弾が凄くまともに見えるわ。じゃ、じゃあ、行きましょう」

「うん! あ、身代わり人形は必要かな? 必要なら作るよ?」

「……だ、大丈夫だと思うけど」

「保険って大事じゃないかな? 特にランちゃんは貴族さんだし」

「うぅ、そ、そう言われると何だか……じゃ、じゃあ1つ。

 な、涙か汗か唾液か血だっけ……三種類…」

「うん、じゃあ貰っちゃうね。ちょっと時間掛るけどちょっと待ってね」

「えぇ……」


ランちゃんから素材を貰って、余った素材でランちゃんの身代わり人形。

よーし、これなら何かあったときに頼りになるよね。


「はい、どうぞ。身代わり人形です」

「……ねぇ、ナルミ」

「何かな?」

「……可愛いんだけど、この人形…本当に私なの?」

「そうだよ? ランちゃんだよ-」

「私、こんなにニコニコ笑ってるかしら」

「笑ってるよ。えへへ、可愛いでしょ」

「うぅ……恥ずかしいけど、そ、そうね。

 ありがとう、大事にするから」

「うん、大事な道具だから」

「道具だからじゃなくて……その、あなたから貰ったから」

「あ、そうなんだ。えへへ、ありがとう」


ランちゃんも喜んでくれたみたいだし、嬉しいな。

よーし、ちょっと人形を作るために動きが止まったけど

また国へ向けて馬車を進めていこう!


それからしばらくの時間が経って、私達の状況はちょっと変わった。


「お嬢さん達? 女の子が3人で旅だなんて危ないなぁ」

「うげ! さ、山賊!? シック! 山賊よ!」

「は、はい、最近うわさの…人攫い集団です!」

「俺達の事知ってんのか? こりゃ有名人は辛いぜ。

 じゃぁ、俺達が何しようとしてるかってのも分かるよな?

 美少女が3人だけってのは不用心すぎだぜ!」

「山賊さんは危ないから、えい!」

「は? うがぁ!」


うん、爆弾の威力は十分だね。


「じゃあ、先行こうか」

「…………」

「…………」

「どうしたの?」

「な、ナルミ! あんた何やってんの!?

 はぁ!? 何平気な顔で爆弾投げてるわけ!?」

「あ、あれは非殺傷だよ!? 気絶させるだけだよ!?

 山賊って危ないし、すぐに気絶させないと大変だし!

 それにあの爆弾、範囲が狭いから集まってるうちに使わないと!」

「……も、もうなんか、山賊が可哀想になったわ」

「しゅ、瞬殺ですからね…」

「先手必勝だよ、師匠の教え。悪そうな奴はとりあえずぶちのめす。

 それで勘違いならごめんで良いのよ。大丈夫、殺さなきゃ問題無い!」

「あぁもうなんか……世紀末って言うか容赦ないって言うか。

 でもまぁ、実際正しいんでしょうけどね……と、とにかく急ぎましょう。

 他の連中が居るかも知れないし、ここは先に」

「攻撃しろ! あの馬車だ!」

「あぁもう! 何か来たわ! シック急いで!」

「は、はい!」


やっぱり他にも居たんだ、問題は無いけど逃げなきゃね。


「あいつらも馬使ってるわ! シック急いでよ!」

「ば、馬車はこれで全速力ですよ!」

「じゃあ、迎撃すれば良いんだよ。っと、マジックレイン!」


マジックレイン。自分達を中心に広い範囲へ魔力の雨を降らす。

この攻撃は術者に敵対心を持つ物にだけ効果がある魔法!


「うが!」

「な、何か雨みたいなのが降ってきたけど、あなたがやったの!?」

「うん、魔法の雨だよ。私達に敵対心がある奴だけを攻撃するの。

 範囲も広いし被害も出ない。便利な魔法だよ!

 因みに、この魔法を教えてくれたのはお母さんだよ。

 師匠が教えてくれる魔法は規模が異常だからね」

「あなた魔法使いとしても相当才能があるんじゃ…」

「錬金術師は魔法の才能が無いと駄目なんだって」

「あぁ、それもそうか。魔力を扱う錬金術師が

 魔法を扱えなかったら話しにならないしね…

 てか、あなたが居れば本当大体何とかなりそうね」

「師匠の方が凄いけどね、とにかく今はこのまま走って」

「分かってるわ、シック!」

「はい! 真っ直ぐ駆けます!」


うん、何とか窮地は脱したね、やっぱり長旅は危ないや。

師匠が教えてくれた、あの携帯用ハウスは本当に大事だって分かったよ。

昼でもこんなに危ないんだし、夜だったらもっと危ないよね。

その夜を安全に過せる携帯用ハウスは必需品だよ。

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