第四話 四人目の共犯者②
この裏通り、通称"流天鏡"は表側と比べると狭くて薄暗い。しかし太陽が堕ちる頃、夜になると明かりが灯る店の数々は、フェカヴィナのガイドブックには載らない、通たちの観光スポットである。
「おいカッペリ、大丈夫なのか……?」
「いいから、今は声をかけないで……!」
「すっ、すいません……」
「ククッ。アツいねぇ……」
と男が言い左手をポケットの中に突っ込む。ガサゴソとまさぐったあと、手を出した。何かを握っている。
「これ、何か分かるぅ?」
「えっ?」
突然の問に戸惑って、咄嗟にカッペリの方を見る。
「…………。」
「ちょ……カッペリさん?」
彼女は黙ったまま動かない。
代わりに男が「質問してるのオレーーッ!」と怒鳴ったので「えっあっすいません!!!」と反射的に謝った。
男はなお「質問してんのオレじゃん?答えんのお前じゃん?じゃあ答えろよ!」とネチネチ続ける。
「えっ、え……?えっと……」
(カッペリといいこの男といい一体何なんだ?ヤバイやつしかいないのか?ホイホイついて来るんじゃなかった!)
頭に浮かんでくるのはクイズの回答ではなく、後悔だけだった。
(おいなんだよあの黒いの?分かるわけねーだろ。つーかお前らが教えてくれよ。この世界をことをよ!!!)
「じゅー、きゅー、はーち!!!」
(カウントダウン始めちゃったよ。とりあえず何か答えなきゃ!ポケット……黒……左手……)
「分かったぞ!!!正解はチ―――」
言い終わらない内に、男が左手を上下に振る。黒い物体の先端から白い刃物が飛び出した。
「ナイフでしたーー!!!」
「いや答えさせろよ……えっ?つーかナイフッ!?」
影に溶けた刃の一瞬の輝きを見て、ビクッと肩が跳ね上がり、そして俺の身体は全く動けなくなった。これが現実で、だから二度目の恐怖になるだろう。
「うっ……!」
「ククッ……テメらここで終いだ……」
男の声が路上に響く。脚はコンクリートさえ突き破る根によって地面を縛っているようで、全く動けない。逃げれない。汗で滑る太腿と対称に、喉はカラカラと擦り切れる。
男はナイフを構えた。




