終わり そして始まり
Heisei 2115 - 5/18(Sun) -21:48 - rain
時間の感覚がおかしくなっていた。ECTはもう真夜中を指していたけれど、空は真っ黒なままで、温度もさほど変わらない。
「・・・・奇跡」
「そう、奇跡だ。君の聞きたがっていた奇跡の話。失われた一週間のお話」
時間をかけて話された内容の中には、かなりプライベートな情報が混じっていた。僕は、目の前にいる、このどう見ても怪しい人(?)を睨みつける。
僕の推理が正しければ、この人は・・・・。
「違う」
何も言っていないのに否定されてしまった。
「君は俺の事を、今の悲劇に登場した『紫音』だと思っているだろ? いや、違うよ。俺は俺であって俺ではなく、決して紫音ではない」
「は、はぁ」
意味が分からない。
そもそも誰だ、この人。親切そうに教えてくれるのはありがたいけど、そもそもこの人は誰だ? ただの親切なだけの人じゃないよね。
何か変な代償を求めてくるとか? や、そうに違いない。
「それは半分だけ違う」
・・・・この人、エスパー?
「してほしい事はあるよ。それを代償としようじゃないか」
「・・・・何だ」
「簡単な事さ。この『物語』の登場人物の全てを、一週間後、高校校舎に集めて欲しいのさ。こちらの世界の、ね」
「・・・・!」
怪しい笑みをもう一度浮かべて、僕に背を向ける。
「簡単な仕事だろ? 俺も手伝うからね。まぁ、邪魔が入るかもしれないけど」
「邪魔、だと?」
「そう。邪魔。けれど、大丈夫。絶対に集まる。けど君の協力がなければ成立しない。これは『物語』であり『ゲーム』なのだ。リスクが無ければ話にならない」
本当に、意味が分からない。こいつは何を言っている? 物語? ゲーム? 何の事だろう。
「あぁ、ちなみに」
再び、そいつは僕の方を向いた。
「この要求を呑まなかった場合、君は大変な事になります♪」
「は・・・・っ?」
た、大変な事・・・・?
目の前の少年は、姿こそ見えないが、声の調子はとても楽しそう。面白がって事の顛末を眺める、舞台で言えば観客のような、第三者の目線で話しているようだった。
「ふふ、言っただろう。リスクの無いゲームは話にならないと。ふむ、後々指示を出そう。そうすれば、君もみんなも安全且つ楽しい日々を送れるのだから・・・・」
そう言って、あいつは消えた。
大きな不安と、恐怖を残して。
―― ・・・・さて、一週間後と聞いて、勘付いた人もいるだろう?
全部、繋がっているという事に気付いただろうか。
―― 奇跡の物語は まだまだ続く
や、やっと3章終わった・・・・!




