大襲来
体調不良のため、一週間飛ばしてしまいました。皆様も風邪にはお気をつけください。
カン!カン!カン!
カン!カン!カン!
最近再建された櫓の上に設置された鐘が盛大に打ち鳴らされている。
太郎たちは話をやめて、宿の外へ飛び出した。
まさか、帝国軍の再襲来か?
騎士団はどうしたんだろう?
まさか、負けたのか?
宿の外は、そんなうわさでざわめいている。
「大襲来だ!モンスターの大氾濫だ〜!」
そう叫びながら、若い男が通りを駆け抜けていく。
大襲来?モンスターの大氾濫?若い人々は首をかしげる。
年よりは、恐怖にうちふるえ涙を流し始めた。
「大襲来なんて、昔話だと思っていたのに・・・騎士団もいない、城壁もない今起きるなんて」
女将さんは絶望したようにつぶやく。
女将さんの話によると、ハチドアの街は昔から数十年間隔で、モンスターの大襲来を受けていたらしい。原因は分からないが、大森林の奥から大量のモンスターがあふれるように街を襲うことが起きていたそうだ。
最後に起きた大襲来はおよそ60年前、間隔は長く空いており多くの人々はその恐怖を忘れ去っていた。
そして、かつてハチドアには常駐の騎士団と強固な城壁があり、住民を海に避難させるための大型の船舶の準備もされていたのだが、いずれも帝国に破壊されいまはない。
「なんとか、船にのって海に逃げるしかないねぇ〜」
女将さんはため息をつきながら支度をはじめた。
「冒険者ギルドへ行こう」
冒険者ギルドでなにか対策なり対応をはじめているはずだ。
太郎は、そう思い三人で、港の方へながれる人波にさからって冒険者ギルドに向かう。
「だから、僕はここに残るっていってるにゃ〜!」
冒険者ギルドのドアをあけるなり、タマミールの怒鳴り声が飛び込んできた。
冒険者ギルドは閑散として人気がなく、タマミールが6人の冒険者らしき男たちとカウンターをはさんで対峙している。
「大襲来だぞ、ここにいたら危ないだろ」
リーダーらしい男がタマミールをたしなめる。
「街と運命をともにするにゃ!臆病者はさっさとにげるにゃ!フー!」
タマミールは髪を逆立てて怒っている。
冒険者の中に知り合いがいた。昨日助けてもらったヒーラーのナインがいる。
「昨日は助かりました。なんの騒ぎですか?」
太郎は頭をさげつつナインに声をかけた。
「彼女の親父さんから依頼をうけていてね。こんな事態のときには、彼女をつれて王都に逃げることになってるのさ。でも、彼女はここに残るといってきかなくてね」
ナインは困ったように頭をかきながらいった。
「他の冒険者はみな王都にむかったよ。いまなら、まだ大襲来の隅をかすめるぐらいですれ違えるだろう。君たちも急いだほうがいいよ」
話しているうちに、冒険者はタマミールの確保に成功したようだ。ジタバタ暴れるタマミールを縛り担ぎ上げている。
「馬で行けるところまで走ろう。時間がないぞ」
冒険者たちとナインは慌ただしく出ていって冒険者ギルドはもぬけの殻となってしまった。
「タロウ、どうする?逃げる?」
ピノが不安そうに尋ねる。真維もどうしたらよいか困っているようだ。
「ウェットの工房にいこう」
太郎も迷っている。街を守りたいと思うのだが、誰もがみんな逃げの一手なのだ。
再び港にいそぐ人混みを掻き分けてウェットの工房にたどりついた。
工房では、弟子たちが慌ただしく駆け回っている。
「タロウ!いいところにきた!迎えをやろうと思っていたんだ」
ウェットがタロウにかけよってきた。
「うちの工房は、こんなときに避難できるよう、地下室があるんだ。魔力を使うが、おめぇがつかってた先代の工房は地下にしずめられるんだ。おめぇも一緒に地下室にいれてやろうっておもってたんだ」
ウェットの案内で工房にはいると、庭の奥に地下に向かう階段がある。
弟子たちは忙しく貴重品や食料水などを運び込んでいる。
「もうちょっと足掻いてみたいんです。ぎりぎりになったらここに逃げてきていいですか?」
太郎の腹はきまった。大襲来をなんとかしたいと思うものの、失敗した時に、ピノや真維を巻き込むのが嫌だったのだ。
いざとなれば、ピノと真維をここに逃がせばいい。
「なんとかできないか、もう少し足掻いてみたいんだ。つきあってもらえるかな?」
太郎はピノと真維に尋ねた。
「いいよ、あたしはタロウのパートナーだからね」
ピノは朗らかに笑う。
「ええよ、たろ爺の本気みてみたいき」
真維はライオンのような笑みを浮かべる。
「よし、じゃ〜よく見えるように物見台にいこう」
太郎は再び人混みを掻き分けるように走り出す。
今度こそ自分の力でなんとかするという決意を秘めて。
風邪が治ったと思ったら腰を痛めてしまいました。
歳はとりたくないですね。
お読みいただきありがとうございました。




