間話 『???の独白』
ここ数日、いや年単位もの間。
ムミョンという男の動向を監視してみたが、時折粗雑な面は見られるものの良く出来た男だ。
本当に子供なのか、と時折思う機転と思考回路をしている。
何よりラナという少女を呪縛から解き放ち、自らの手中に収めるための手段。
それが依り代を燃やして当てを自分だけに絞るというもの。
並の子供がそんなことを思いつくのだろうか。
加えてまだ五歳児。
成人までは十年ある。
世間的に見ればまぁ、そろそろ肝が座り始める頃合い。
だが、ムミョンは違う。
英才教育の賜物かどうか知らないが、見事に化け始めている。
戦闘センスもさながら、まだ伸びるだろう。
だが正直このままでは頂点など夢の話。
机上の空論と一蹴されるだろう。
ムミョンはまだこの世界に生まれて日が浅い。
加えて、実力主義というものを目に見たことがほとんどない。
真の実力主義を経験した時、ムミョンはどんな反応をするだろうか。
今もムミョンとその仲間の動向を監視できる距離にいるが、あれでは隙だらけも良いところ。
本当に頂点に立つ意志があるのか疑いたくなるほどだ。
近々導入される順位制度改。
これまで適応外であった貧民も、ステータス確認として他人から確認出来るようになる。
加えて昇格試験をより高難易度に設定。
実力を数値化し、様々な優遇が出来る制度が各国代表らの議論の末、決定された。
一般階層の中へ身分も与えられなかった貧民が入れるようになる。
これは貧民というガラクタの中に埋もれた、才能を掘り出すための措置とも受け取れる。
貧民の筆頭格は間違いなくムミョン。
勇者という嫌われのルーン持ちであっても必ず跳ね返す。
精神面が成長出来れば、な。
自分はその後に続くだけで良い。
今は、それだけで良い。
いずれ大きく盛り返す。
能ある鷹は爪を隠す、とまではいかないがムミョンの後を追ってみるとしよう。
ルメアが一体、何を目指していたのか。
気になるしな。




