23話
木が倒れる音って、細くてもすごいな。みんなで、こん棒やクナイなどを作るために、1本切り倒していた。余った部分は薪に使うので、余すとことなく使うことができる。削りカスだって、火を起こすときに使える。
こん棒は、殺傷能力を上げるためにもくぼみを作って、そこに接着剤を塗っていしをはめ込んだ。ついでに、新しい弓も作った。
午後は、疲れたので訓練をやめて、クロスケをかまいながら、みんなに足し算引き算を教えることにした。才能や特技が、運動だけとは限らないし、数は教わるのに、計算関係がない。敵の数を正確に伝え合うためにも、必要だろうしね。
「まず、え~」
そういえばこの世界、おはじきもない、硬貨もない、どう説明したらいいんだろ。うーん、この世界にある物。家、獣人、食べ物なら肉、草か。人数から説明するか。人数が何人増えたら、合計で何人になるかで、足し算を教えた。ザシィとドドイが、早くこたえられている。吸収が早くていいね。
引き算も先に教えようと思ったとき、説明しかけてやめた。どう考えても、引き算で人数の話をしちゃいかん。肉だ、食べてよく減るし、引き算の具体例には、肉を使おう。地面にイラストを描きながら、引き算について説明した。
歳的なところもあるのか、全体的に呑み込みが早い気がする。私が教えてみんなができたとき、私もうれしくなる。なんで、飽きもせず先生が教えてくれていたかわかった気がするわ。4桁の足し引きができたら、次は九九教えるかや、下の子が2歳になったら、ババ様と同時進行で教えるかや、いろいろやりたいことが増えた。
後日楽しそうだと、ラナとカーシェや他の村の子も加わって、みんなで教えあいながら計算した。
先生のようなことをして数日、パキパキという音に、夜明け前に起こされた。音のするほうを見ると、卵に穴が開きひびがはしっていた。おー、ついに生まれるのか。どんなモンスターが生まれるんだろ。
じっと見ていると、パキッという音とともに、あかい雛が顔を出した。卵から這い出てきて全体が見えると、背中は土色でお腹と顔は赤く、鳥の足が4本あった。尻尾もある。かっけぇ、今殻取って、布変えてやるからなと、布をとって帰ってくると、鳥は自分が入っていた卵の殻を、食べていた。
「殻もエサなのか。カルシウム多そうだしな。布を変えるのは後にして、君の名前決めちゃうか」
赤と茶色か。秋みたいな色合いだな。でも、秋ちゃんっていう友達いたし、友達の名前を付けるのは、ちょっとやだな。それに、オスかメスか分からんから、どっちでもいい名前つけないと。
「ヒサギ、チャチャ、ユウ、モミジ」
「ピィ」
「モミジがいいの?。じゃあ、君の名前はモミジ。私の名前は、ミアだよ。よろしくね」
「ピィー」
ほぼ目が開いてないし、首も座ってなさそうなのに、元気よく鳴けるな。今日から、みんなに生れたこと教えて、この子の分のごはんも捕らなきゃ。
モミジが殻を食べている途中で、私の朝食の時間になったので、布を変えずそのまま食堂に行った。
食堂でザシィやトトたちに、卵が孵ったことを教えると、みんな見学にうちに来てから狩りや、手伝いに行くことになった。丁度いいし、みんなに籠の掃除手伝てもらうか。いったん箱にモミジを入れて、みんなで籠の掃除をして、敷いている布を交換した。終わったし、モミジを入れるかと、箱のほうを見ると、ぼーっとモミジを見つめるザシィがいた。
「ザシィ、モミジしまうから箱かして」
ザシィは、ちゃんと箱を渡してくれた。よだれは垂れてなかったから、食べようとはしてないと思うんだけど、なんであんなにじっと見てたんだ?。考えている顔だったよな。
モミジをしまったら、それぞれ準備をしに家に行こうとするので、ザシィに声をかけた。
「ザシィ、なんであんなにじっと見てたの?」
「ん?。考え事してただけだよ」
「もしかして、モミジをどうやって食べようとか考えてたりする?」
「そうだったら、先にクロスケ食べてるよ」
「たしかに。じゃあ何考えてたの?」
「モミジは、ちゃんと飛べるようになるのかなって考えてた。大人になれば飛べるようになるのか。それとも、親に教えられて飛べるようになるのか。僕らだって、歩くことは教えられずにできたけど、魔法は教えられてできるようになった」
なるほど、飛び方は私たち教えられないし、もし親が教えて飛べるようになるなら、モミジは飛べない鳥になる。見本を見せるにも、野生の鳥ぐらいしかないし、難しいな。
「それは、今後の課題だね。大きくなるまでに、対策を考えよ」
「うん」
何もしなくて飛べるようになるとか、希望的な考えで動くのはやめておこう。前世でも、人が育てたや、人の真似をしてだとかで、飛べない鳥がいたからな。その日は、手伝いや寝る前に、前世のテレビの内容や記事を思い出して、どう対策するか考えた。
ちなみにモミジは、虫よりも肉を好んで食べた。




