16話
すみません、寝てました。
そこには、小さな焚火を囲む2人の男の姿がった。1人は、こちら向きに座っているので、すぐ気づかれるだろう。
「予定変更。そこの2チームは、ここを出て目の前にいる人間2人を倒してくれ。初めの一発を、私が魔法を打つと同時に合図する。残りの2チームは、後から出てくる人間が向かった声が聞こえたか、ここを覗かれたら襲撃だ」
ちゃんと伝わったようで、2チームは私の後ろでかまえた。さて、やりますか。間から見ながら、こっちを向いていない男の背後に、出来るだけ尖らせた土をボコでだす。そこから一気に、男の心臓めがけて伸ばした。
「え、」
「今だ」
合図とともに、皆突撃していき、一気に外が騒がしくなった。私もガイと一緒に、外に出て隣の荷馬車の幕をめくる。中には私たち同様、獣人たちが檻の中に入れられていた。ドドイもいた。
〈レベル5になりました〉
さっきのやつ死んだか。それよりも、今は救出だ。鳥籠のようなカギをどんどん開けていき、事情を説明する。なかには、怖くて無理だと言われ、開けても檻から出てこないのがいたが、強制はできなかった。一部、鍵穴付きの檻で開けられない。カギはどこだ?。
「なんださっきの叫び声は」
「どうした」
「獣人が逃げ出してるぞ」
流石に気付かれたか。まだ全部開けきれてない。急いでいると、ついに荷馬車の中が覗かれた。
「おいこっちも、うわっ」
外に出した子たちが、覗いてきた男に突撃してくれたおかげで、今開けられる檻をすべて開けることができた。
「まだ開けられてない子は、鍵がないと開けられないから待ってて」
ガイと共に外に出ると、そこは戦場だった。見るに堪えなくなった人間、切られた獣人がころがりながらも、皆戦い続けていた。ぱっと見で、劣勢になっている戦いに参戦した。
「ガイ、あいつの顔面狙って」
「わかった」
直進で狙っていくガイから反れ、回り込むように男の後ろにまわった。ガイが、跳んで顔面に牙を刺そうとするが、剣で払われてしまう。私は、そのすきを狙って、男の片足を深く切ることに成功した。男の体制が崩れたのを見て、ガイが牙を投げて、頭に命中させた。
「すげぇ、一瞬だ」
「まだ終わってないよ。今度は、あそこに参戦するんだ」
返事もすることもなく、みんな走っていった。確かに、空中で剣を受け止めた後、牙を投げて人間倒したとかすごすぎ。体幹どうなってるの、バケモンじゃん。
「ミア、次は?」
「あぁ、そうね。近場から、どんどん倒していこ」
終わってないもんね。リアルに戦闘行動を選択してる時間はない。私とガイは、まだ人間と戦っているところに行き、倒していった。
脳内にレベルの声が、何回か響くころには、全員の人間だ倒れていた。一応、残りがいないか、他の馬車も見ていくと、いなかった。
「勝ったぞー」
「「「おーー」」」
「でもまだ終わりじゃない。ここから、怪我をしたものも含め、1つの馬車に集まって乗るぞ。腕っぷしに自慢があるなら、あそこから、空になった檻を出してくれ。モンスターが入っている檻は、そのままで。ウサ族は、倒れている者の意識、生死の有無を調べて、生きているならほかの子と協力して運んでくれ。両方に当てはまらないものは、あそこにつながれてるモンスターが食べそうな、餌を見つけてくれ。ガイと私は、檻を開けるカギを探す。連絡は以上、動いて」
さっき檻から出てくれなかった子も、声を聞いて動いてくれた。
「ガイ、人間の腰か胸を探って、こんな形のものをみつけて」
地面にカギの絵を描いて伝え、探した。SAN値チェックしそうなご遺体は、後回しにして探していると、まだましな死体の腰にカギがあった。それを使って、全員を檻から出すことができた。私は、入ってた子たちを連れて、外につながれた大きいトカゲのモンスターの所に行った。
「君たちには、ここにいるモンスターを荷馬車につなぐ作業を手伝ってもらいたい。エサ見つかった?」
「見つかった」
どうやら、干し草を食べるらしい。1番食いつきのいいやつを、餌でつりながら馬車の前につないだ。馬車の前についてる運転席の所に、鞭と顔につける馬具みたいのが、分かりやすくあってよかった。馬みたいに手綱も使って操縦するみたい。でも、自然の教室で乗馬体験しただけなんだよな。
出発する準備ができたので、馬車の中の様子を見るために入った。中は血の匂にが充満し、怪我人に人の服からちぎった布を巻いている者、檻をどかしている者がいた。座らされている獣人の中に、まかれた布に血を滲ませた、ボーがいた。
「ボー!」
「ミアか」
「無理にしゃべらなくていいよ」
「俺をかばって」
「帰ってから聞く。ボーが気を失わないように、話しかけてて。みんな、全員乗り次第出発する。馬車が走る衝撃に耐えられるよう、構えてください。体力がまだある者は、怪我人を守りながら耐えてくれ」
外で、仲間の死体で泣いている子を、後で回収しに来ると言い断腸の思いで、離した。ドドイと体格がいい子をは、モンスターが暴れて出した時のことを考えて、一緒に操縦席にいてもらうことにした。
すべての準備が終わった。出発するよーと声をかけ、トカゲに鞭をうった。焦る気持ちを抑えて、小走り程度の速さで走らせた。ここが校庭とか野原なら全力で走らせたけど、下り上りありの森だ。木も避けなければいけない。それに、気持ちちょっと右にしただけで、結構右に行くから、かなりむずく、たくさんの命を運んでいると思うと、手汗もすごい。
「「「うわ」」」
倒木を乗り越えたらしい。お尻、いった。しばらくして、体力と集中力が切れてきたので、操縦をドドイに代わってもらった。日が昇ってきたころ、後ろが、ざわざわしだした。後ろに様子を見に行くと、みんな後ろを向いていた。
「どうした?」
「後ろからモンスターが、追ってきてるらしい」
何が来てるんだと、馬車の後ろに行き見えたのは、大きな獅子のようなモンスターだった。追いつかれたら終わる。ドドイに、後ろからモンスターが追っかけてきてる。できるだけ速くしてくれと頼み、馬車の速さが上がるも、獅子も負けずについてくるというか、だんだん近くなってる。安全性を考えて、これが最速だろう。どうするか。どうしたらこの獣人たちを守れる。考えているうちも、獅子はどんどん近づいてくる。
そうだと思い、さっき戦うときに箱から取っていなかった、弓を思い出した。しかし、箱も檻と共に馬車から出されてしまったようで、ここにはない。もう、覚悟を決めて、もう1つ思いついた方法を、試すしかない。死ぬ確率、高いんだけどなー。やるしかないか。私は、牙をかまえた。
「ガイ、もしも私が死んだら、両親によろしくね。死ぬ気はないけど」
「何する気だ」
ガイの言葉を聞き終わる前に、追いつく寸前の獅子の眉間めがけて、跳びでた。




