15話
袋に入れられると、何かに当たった。
「いた」
「ミア⁈」
自分の下を見ると、ガイがいた。
「え、何でガイ⁈」
「うるさい」
そう聞こえると、袋が揺らされた。縛られているから、受け身が取れず体のあちこちが痛かった。ガイは、秘密裏に外に出ていたら捕まった、残りは後でがあったらと言い黙った。私も、うなずいて黙った。
しばらくすると、違う男の声がした。
「おかえり、収穫は?」
「2匹だ。しかも、片方はメス」
「やったな」
「さっさと檻にしまって、寝るとするよ」
また歩く振動がして、ガチャっと何かが開く音がすると、袋から出されて、ガイと一緒の檻に入れられた。これでよしっと言って、男は出ていった。いてて、紐もほどいて、もっと丁寧に扱えよ。
「ミア大丈夫か?」
「大丈夫よ。そっちは?」
「体が少し痛いぐらいだ。ひとまず、お互いの紐を切ろう」
お互いの紐を噛み切って、手首や首ををまわしてから、お互い捕まった経緯を話した。どうやらガイは、あれからたまに夜抜け出しているらしい。フォル族にパパたちの伝言がつく前に、いつも通り抜け出した。そしたら、いつの間にか人間が背後にいて、網をかけられて捕まってしまった。それで、袋に入れられて少ししたら、私が入れられてきた。私も、ボーたちが消えたので、抜け出して探していたと伝えた。
「あほだろ」
「確かに捕まってしまったけど、あほはないでしょ」
「わざわざニンゲンの所に行くとか、あほだ」
まあ、ミイラ取りがミイラになっちゃったんだけどね。すると、後ろから声をかけられた。
「ミアか?」
「ボー、ボーじゃん。他は?」
「ミアも捕まったか。こっちには、ムグとナグと俺がいる。ドドイは、入りきらなくて、別の所に連れていかれた」
ドドイ、周りよりも2周り大きいもんね。ボーたちの話を聞くと、外で獲物を狩って、帰ろうとしたところを捕まったらしい。ドドイは、運よく網を避けたけど、近くにいたもう1人の人間に捕まってしまったらしい。一応、檻から逃げようとしたが、鉄にかなうはずもなく、音を聞いた人間に怒鳴られたらしい。
でもあきらめるわけにはいかない。どうにかならないか周りを見てみると、近くの檻に、ウサギのような獣人がいた。
「あなた方は?」
「ひぃ」
「何族などありますか?」
「ウサ族です…」
「わかりました。ありがとうございます」
完璧に怖がられてるな。他にもいないか、柵に顔を付けてよく見ると、ヒョウのような尻尾やもう1つウサ族がいる檻があった。それに、ここはたぶん荷馬車の中のようだ。天井がゲームで見たやつにそっくり。あとはカギだなと、柵の間から閉められているカギをさわった。ん、これ知ってるような。
「ミア、やめとけ。俺だってその棒を折ろうとしたり、抜こうとしたけど開かなった」
「開いた」
「へ、あい「しっ、デカい声出さない」
「わかったよ。でもどうやって、おれら3人でひっぱても取れなかったぞ」
「構造がわかれば簡単だよ」
そう、構造がわかって、間から手が出れば簡単に開いてしまう。人間さん、1匹とか動物同然に数えてたけど、甘く見すぎだよ。飼育小屋とか鳥かごと、ほぼ同じ構造のカギってどういうことだよ。セキュリティーがガバすぎない。
ボーたちも、騒がないように言ってから、檻から出した。私たちが出たのに気付いたのか、周りの檻がざわつきだした。
「しー、人間にばれたらどうするの。みんな順番に開けてあげるから、私の話を聞いて」
すると、一気に静まり、耳を近づけて私の言葉をまった。
「よし、全員話は通じるのね。私の名前はミア、ロン族よ。これからの話は聞いて、質問に答えてくれると嬉しい。まず私は、人間と戦おうと思う。こっそり逃げれるとは思わないし、追われたら厄介だ。気づかれたら、また誰かは捕まって、場所を移動されるかもしれない。だから戦う。ここまでいいか」
皆、コクコクと頷いた。
「そこでみんなには、協力してほしい。嫌なものはいるか?。いるなら、手を出して」
すると、ウサ族の1人が手を出した。
「戦うって、死ぬかもしれないの?」
「そうよ。でも、集団であればあるほど、生き残る確率が上がる」
「かくりつ?」
「例えば、1人では負ける相手でも、大勢でかかれば勝てるかもしれないということだ。だから、ここにいる全員に協力してほしい。できるだけみんな帰れるように。嫌な者は、手を出してくれ」
誰も手を出さなかった。アニメのボスの真似したけど、うまく説得できてよかった~。ボス、偉大なり。いかんいかん、まだ途中、気を抜いちゃいけない。
「これから、みんなに得意なことを聞いていくから答えて。まず、ウサ族のかたは?」
ウサ族は、数が多いので、みんな一斉にしゃべってしまって聞き取れなかった。
「ちょっと待って。うーん、1人代表者を出してほしいな」
「では、私が代表者だ。ウサ族村長、ワウと言います」
「わかりました。ワウさん、あなたの種族について、教えてください」
ワウさんは、ウサ族について話しだした。どうやら、前世で私の知っているウサギと、あまり変わらないようだ。聴力・ジャンプ力があり、草食。果実も食べるので、歯は丈夫らしい。
「なるほど、ありがとうございます。次は…」
どんどん、近くの檻から、話を聞いていった。尻尾がピンとして、肉食のヒュー族。トカゲのようで、尻尾の丸まったガレウ族。耳が大きくて垂れている犬のような、ガウ族。他にも、隣村のロン族と、ガイが知らないフォル族がいた。肉食が多いものの、ウサ族以外に大人が混じってはいない。聞いても、子供だけで捕まったらしいので、ドドイがいるほうも、大人がいる確率が少ない。きっと、大人は捕まえずらいし、仕方ないだろう。最後に、自分の武器がしまわれた箱を見ると、みんなの武器らしきものまで入っていた。
みんなの檻を空けて、武器を取ってもらった。ない者は、仕方ないので素手だ。そして、体格や得意なことによって、チーム分けをした。私は、襲撃の合図と、ガイと共にほかの子を開放する役だ。人間の弱点も教えたし、もう教えることはない。あとは、実行するだけ。
「最後に、私の話を最後まで聞いてくれてありがとう。たとえ仲間が蹴飛ばされ、自分が怪我を負おうと、敵を倒すまで戦い、抗い続けろ。あきらめるな。みんなで帰るぞ」
みんな、重たく頷いた。しっかり牙を握る者、決めた目をする者、みんな覚悟したようだ。どうあがこうと一発勝負。私だってやるしかない。今から人間を殺すんだ。前世人間だろうが、関係ない。私は、今を守るんだ。
意を決して、布の間から外を覗いた。




