13話
かわいいなー。4年前の私たちも、こんな感じに見えてたのかな。今日は生誕祭で、舞台の上には、今日1歳になる子が上がっていた。私たちの時同様、ババ様が祝辞を言って乾杯して、宴会が始まった。
私は、子供席に座った、新しい子たちに話しかけた。
「1歳になったね。おめでとう」
「うん」
「いあ、なんさい?」
「5歳だよ」
まだ、舌足らずなところかわええな~。この子達が産まれてから、たまにゆりかご部屋に行って、かまったりしていたので、誕生会する前からお互いにしっているのだ。上の子が、自発的に行くのは珍しいらしく、通常ならこの誕生日会がほぼ初対面だ。
そうだ。
ママをトイレに誘って、ほかの人がいないところに来た。
「ママ、話したいことがあるの」
「なに?」
「実はね、エルビーのこと、ババ様に聞いたよ」
「聞いたのね…」
「うん。私、メルビーの分まで、長生きできるよう、頑張るね」
「そうね。私もメルビーの分まで、長生きできるよう頑張るわ」
そう言ってママは、私を抱きしめて泣いた。少し落ち着いて、顔を見ると少し前よりは、悲しい目ではなくなった。完全に立ちなおれるとは思わないが、時間とともに忘れるのではなく、少しづつ楽になっていくといいな。
みんなの所に戻ったら、パパとエクのあーんの取り合いをした。楽しんでいたら、祭りは終わった。エクが、膝の上に乗って寝てくれたときは、もう気絶するかと思ったよね。パパが、悔しがってたので、心の中で勝ち誇っといた。それを見たザシィとトトが、苦笑いしてたのは、見なかったことにした。ママは、笑っていた。
生誕祭も楽しみにしていたが、もっと楽しみにしていたことがある。それは、村周辺と川までであれば外に出ていい許可が下りることだ。ついでに、パパたちの狩りの見学もある。誰か大人に外に行ってくるって言い、毎年新しく貰う牙を所持すればいいだけなので楽だ。
というわけでさっそく、ママにことわって外に来た。
「ミア、どこ行くか決まってるようだけど、どこ行くの?」
「ついたらわかるよ」
しばらく歩いて、目の前に見えてきたのは、前ババ様に説明された竹群だ。竹があるなら、筍もあるだろ。なんだっけ、土少し蹴って出っ張ってれば、そこにあるんだよね。
「この辺りの土の表面をどかして、出っ張りがあったら教えて。あんまりみんな離れないように、お互い位置確認しあいながらね」
「とにかく、何か植物の出っ張りを見つければいいの?」
「そうだよ。これは竹って言うんだけど、竹の周辺を確認してね」
みんなで、足で土をどかしながら筍を探した。あっ、てないわ。石だわ。そう簡単には見つからないかと思ったら、ザシィに呼ばれた。これかと指さされたものは、筍の頭にそっくりだった。掘ってみると、やっぱり筍だった。
「ナイス、探してたのはこれだ」
「見つかってよかったよ。それで、それは何なの?」
「これは、筍と言って、食べれるはず」
筍が折れないように、下のほうを牙で刺して取りだした。皮がえぐいぐらい固いので、皮の間に牙を入れてむくと、ポキッと半分に折れてしまった。折れた筍は、当然中身が見えるが、私が知っている筍の中身と違う。少し黄色い中身をそのままかじってみると、柔らかくバナナのようだった。
「え、おいし」
「おいしいの?。私も食べたい」
ザシィとトトも一口食べると、おいしいおいしい言って、すぐなくなってしまった。これは、いい食糧だぞ。便利な木と言われてるだけあって、この辺ならどこでも生えているらしい。いつか植林出来たら、第一候補だ。ただ、いきなりみんなに教えると、竹自体がなくなるかもしれないから、植林が成功してからだな。
そう思っていたやさき、後ろから声がした。
「何食べてんだ?」
「げ…」
後ろを向くと、ボーたちがいた。どうしよう、教えるか。この前の組み合いで、ただ能無しに突っ込んでこなくなったし。
「筍だよ」
「おいしいのか」
「おいしかったよ。みんな食べたい?」
「食べたい」
「じゃあ、筍を食べたのを秘密にすることと、もう少ししたらする実験を、手伝ってくれるならいいよ」
「何やるんだ」
「新しく食べれる植物探すとか、農作業とか」
「いいぞ」
「約束守ってね」
一応不安なので、後ろを向いてもらって、トトに見張ってもらった。その間に筍を見つけて、持っていった。さっきみたいに折って食べさせてみると、とても喜んで、4人でガツガツ食べていた。
「おいしいでしょ。ほかのみんなに食べられたくなかったら、秘密にしてね」
「わかってるよ」
「おかわりない?」
「ドドイ、夕飯が食べれなくなったらいけないから、今日はこれだけね」
えー、と言われたが、普段通り食べれないとバレるからね。一気に竹も筍もなくなるのは、いやよ。
なんだかんだで、その日は一緒に遊んだ。森の中で鬼ごっこするのは、サバイバルみたいで楽しかった。そんな感じて遊んでいると、帰る時間になった。ザシィは、ドドイと仲良くなったらしい。2人ともぼーっとしてるときあるし、波長が合うのかな。
「なあミア」
「なに?」
「その、昔はごめん」
「あの事か。今生きてるし、いいよ」
それ以上は何も話さず、前のムグとナグの所にいたずらしていた。まだ、いたずら小僧のガキ大将には違いないが、成長はしてるんだな。
その日以来、たまに遊ぶようになり、筍を食べるときは、絶対ついてくるようになった。
「少し遠くに行くから、気を付けるように」
「「「はーい」」」
今日は、狩りの見学をしに、大人たちについていきます。単体でも狩ったりするけど、多くは数日出かけて、10数人で大物も狙うのだ。その集団の狩りを、ボーたちも含め7人で見学するため、いつもより大人の数が多い。
「ミア一番小さいから、狙われやすいな」
「狙われたら、逃げるだけだよ」
まあ、私のSAN値がもったらだけど。実際ここは異世界。ヤバい見た目なのも、当然いる。大きいシカっぽいのや、針生えた獣ならましで、エグイとバイボ・ババードに出てきそうな、口が花弁みたいに開くモンスターや、それこそ形容しがたいのを持ち帰ってきたりもした。当然、かわいいモンスターもいるので、絶望的ではない。
頼むから、SAN値削らないモンスターであれと、願っていると、パパたちが何か見つけたみたいだ。指をさされたほうを見ると、背中が岩のようなこぶになっている熊がいた。よかった、大丈夫だ。パパは私たちに茂みに潜んでいるように指示して、皆で囲むようにして狩りの準備をしだした。ザシィとトトのパパさんは木に登って、かたや弓を構え、かたやすきな逆手で牙を持って待機している。誘導して決定打を2人のどちらかが打つようだ。
ほどなくして、木の上から矢が放たれた。矢が放たれたほうに向かって、熊が走り出した。ちゃんと2人のいる方向に走ってってる。トトのパパが、ザシィのパパが居る下にきた熊にめがけて、矢を撃った。矢は鼻にささって熊がひるむと、ザシィのパパが熊の額に牙を刺した。熊はそこで、糸が切れたように倒れた。あっという間の出来事だった。
「うまくいったな。ああやって気が強いモンスターには、軽く攻撃すると向かってくるのを使って狩るんだ。気が弱ければ、囲って追い詰めて逃げた先に先回りして狩るんだ」
「気の強いやつと弱いやつの、見分け方はあるの?」
「まあ、刃が鋭いかや体の大きさもあるが、大体は慣れだ」
肉食動物か草食動物か見分ける感じかな。でも草食でも追いかけてくる奴いるからな。難し。
「それに、出来るだけ一発で仕留めれば、きれいに毛皮が使える。一発で仕留めるのも大切なんだ。ただ命が一番大切だから、皮の状態は二の次な。とにかく、倒せば肉と骨が手に入る」
説明されているうちに、毛皮が剥がれ、肉が運びやすいように切られ、食べない部位は地面に埋められていく。いつかあんなにスムーズに、解体できるようになるのかな。不安を残しつつ、初めての狩り見学は終わった。




