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直進  作者: pino


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プロローグ


挿絵(By みてみん)


 夕焼けに染まる校舎の屋上。

 秋の風が心地いい。


「高校生って、あっという間だね」


 朝比奈千紘が空を見上げながらつぶやく。


「だな」


「でもさ」


 山ノ井健治がにやりと笑った。


「まだ終わってねーぞ?」


 千紘がきょとんと首を傾げる。


「俺たちの青春は、これからだ!」


「バカか」


「バカで結構!」


 思わず笑った。千紘もつられて笑っている。


 振り返れば、本当にいろんなことがあった。喧嘩もした。泣いたこともあった。夢を諦めかけた日も、何もかもどうでもいいと思った日さえあった。


 それでも今、俺たちはこうして笑っている。


 千紘がいて、健治がいて、仲間たちがいる。

 そして俺は、もう一度、音楽が好きだと思えている。


 ここまで来るのに、ずいぶん遠回りをした。


 思えば、始まりはもっとずっと前だった。

 まだ何も知らなかった、高校一年の春。


 入学式の日、校門の前で風に飛ばされてきた一枚の紙を拾った。


 たったそれだけのことが、俺の高校生活をこんなにも変えるなんて。


 あの頃の俺に話しても、きっと信じなかっただろう。

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