♪ホルンパート
「桜田さん…。」
「はいっ!」
「…ホルンパートです!」
「はいっ…。」
ドキドキしすぎて言われた時は実感があまり湧かなかった。
でも、どんどん嬉しさが込み上げてきて心の中は満開だった。
ホルンパートになれたんだ。
ホルンパートに入れたんだ。
2人の笑顔を見られるんだ。
2人の中に入れたんだ。
今日からホルンパートの一員なんだ。
ホルンパート、桜田陽か…。
気がついた時にはもう合奏室について、発表されるところだった。
先生が「発表します。」と言った途端、緊張した空気が流れた。
先輩達が「あぁー」とか、「ふぅー」とか言っていたら須川先生が、
「1番緊張しているのはこの子達なんだけど。まぁ、そのピークは終わったけど。あなた達が緊張してどうすんのよ?いいですか、発表して?!」
先輩達が苦笑して、少しすると辺りがしーんと静まった。
「神谷紗綺、髙木世梨渚!」
「はい!」
「クラリネット」
「「よろしくお願いします」」
「若田瑠実」
「アルトサックス」
「よろしくお願いします」
「播本莉々奈、レナルドマリヤ」
「トランペット」
「「よろしくお願いします」」
「桜田陽」
「はいっ!」
「ホルン」
「よろしくお願いします」
顔を上げると、2人の先輩がキラッキラの笑顔をむけてくれていた。
「佐藤いずも」
「トロンボーン」
「上原怜音」
「ユーフォニアム」
「髙原萌香」
「チューバ」
「小山杏実那」
「パーカッション」
全員の発表が終わると、1年生はそれぞれのパートへと移動した。
ホルンパートのところへ行くと、春山先輩が私に「やっぱりホルンパートだったね、これからよろしくねっ♫」と声をかけてくれた。
私は2人にむかって、2人に負けないような笑顔で「よろしくお願いします」と言うと、2人の真ん中に座った。
春山先輩と目があった。
そこには、その目には私がいっぱいにうつっていた。
その瞳を見たとき、私は初めて春山先輩に魔法をかけられた。




