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ホルンの魔法  作者: spring♪
19/28

♪キレイな音の隣で


高らかなマーチがおさまり、急に静かな場面になる。

木管楽器とともにホルンもメロディーラインを担当している。

今では明るくにぎやかだった音楽が、ゆったりとした感じで流れていく。

私の隣のベルからは温かい音がたっぷりと聞こえてくる。


楽譜をみると丁寧で少し右上がりの優しい字がびっちりかかれている。

“やさしく” “丁寧に” “たっぷりと”

“きれいに” “音色” ……。


春山先輩は楽譜に書かれたことを全てこなしている

…と私は思っていたのだが。


「メロディー!!」

須川先生のゲキが飛び、曲も止まる。

「音程悪い!音色汚い!はい、メロディーだけもう1回!!」


「「はいっ」」と言った声の後に、さっきまでの聞きなれたフレーズが流れ出す。


タータータッ。

ここまで吹いたところで先生はまた曲を止めた。

「この上がった音が汚いの。上がり切れてない人がいるから和音が気持ち悪い。はい、クラリネットから。音が高い順にもう1回。」


クラリネットが吹き出したのと同時に、春山先輩が菜央実先輩に話しかける。

「菜央実、音高い。もうちょっと管抜いていいよ」

そう小声で伝えた。


すごい。

音1つでこんなに分かるものなんだ。

さすが、春山先輩。

心の中で小人たちと一緒にはしゃいでいると、ホルンの番がきた。

吹き終えると須川先生は2人に静かに指摘した。


「ホルンっていうのはすごく温かい音が出る楽器でしょ?だからもっと音色をキレイで豊かに表現するの。せっかく木管の中に混じってるんだから、もっと周りを包み込むようなたっぷりした音で吹いて」


「「はいっ」」という2人の返事が聞こえる。

先生の指揮により曲が始まる。

きっと先生に言われたことを全て頭の中で理解したのだろう。

そして表現しようと一生懸命音を奏でているのだろう。


春山先輩のベルから溢れだすホルンの音色はさっきより一層温かく、包み込むような優しい音色だった。



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