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おんぶを見られるのは恥ずかしい

 サンドイッチを食べ終え、ミルクの小瓶を飲み干す。

 相変わらず甘くていい香りがして美味しい。

 そろそろお肉も少しは常温に戻ったかなと思いリネを起こしに空の食器を持って厨房に行く。


「リネ、ご飯だよ。あっちで食べよ?」


 耳を立てて起き上がると、わふっと元気に答えて尻尾を左右に振りまくる。

 厨房からリネを連れて出ていくとアリシアさんが食堂に入ってきたようで、こちらに歩いて来てくれる。


「ナズナさんおはようございます」

「おはようございますアリシアさん。その…サンドイッチを作ってみたのでよかったら食べてみてください。厨房に置いてあります。味が薄いかもしれないですけど…」

「凄いですね。お料理が出来たなんて知りませんでした」

「いえ、初めて作ってみたんですけどソースとかはわからなくてただ具を挟んだだけになっちゃって」

「料理が出来ないお弟子さんもいますからそれでもすごいことですよ」


 アリシアさんが微笑みながら褒めてくれるけど煮たり焼いたりしたわけじゃないし、なんだか子供扱いされてるだけなような気もしてしまう。

 厨房にアリシアさんが入っていってすぐにサンドイッチを持って戻ってくる。


「いただきますね」


 夢中でお肉に噛みついているリネの横にある椅子に座り、アリシアさんがサンドイッチを口に運ぶ。

 普通に両手で持って食べているだけなのに上品に見えるのはなんでなんだろう。

 私は一口が大きいのかな。


「美味しいですよ。上手に切れていますし、主様にこのまま持っていけそうで助かります」

「味薄くないですか?」

「いえいえ、確かに若い方には物足りないかもしれませんが十分美味しいですよ」

「それならよかったです」

「私が作っても皆さん勝手に更にソースを浸けたり具材を増やしたり、好きに改造しますから気にしなくても大丈夫です」

「そういえば今は人が少ないんですか?」

「みなさん魔物の調査で忙しくしていまして。今城にいるのは主様とエリュさんとエリンさんとリーシルさんとナズナさんにリネさんですね」

「エリンさんとリーシルさんは元気になりましたか?」

「リーシルさんはまだ眠っておられますが、エリンさんは起きていられる時間も増えてきて順調に回復していますよ」

「それはよかったです」


 エリンさんも大丈夫そうだ。実はそんなに心配してなかったけど、それは勇者の記憶の影響なんだろうか。彼女もレイゼリアもタルガもとても心の強い人達だから。

 リーシルもきっと大丈夫だ。


「ごちそうさまでした。私は主様の所へ行きますがナズナさんもどうですか?」

「私は部屋に戻ります。安静にしているように師匠にもミミリさんにも言われたので」

「フフ…顔に暇って書いてますよ?」

「え?」


 そんなに顔に出てたかな。確かにもう部屋の本も粗方読み終えたし、リネが運動出来なくて可哀想だなと思っていたけど。


「大丈夫です。またおんぶしてあげますから」

「えっと、じゃあお言葉に甘えて…」


 二人で厨房に入り、アリシアさんがサンドイッチを取っ手の付いた籠に二つ入れて持ち、私はリネが食べ終えたお肉のお皿を片付ける。

 そしてミルクのことを思い出す。


「アリシアさん、ミルクありがとうございます。美味しかったです」

「たくさんの魔力を含んでいるそうですから、毎日飲んでいれば魔力もきっと早く戻りますよ」

「師匠が魔力が混ざるのは危ないって言っていたんですけど食べる分には平気なんですか?」

「はい。食べる分には平気みたいですよ。昔は魔力を求めて魔法生物を狩って食べるなんてこともあったみたいですが…どうして平気かは詳しいことはわかっていないようですけどね」

「そうなんですね」

「主様ならもう少しわかるかもしれませんよ?」

「いえ、お腹を壊したりしないならそれで…」

「牛や山羊の乳より濃いそうなので飲み過ぎたら普通にお腹を下してしまうのでそこだけ気をつけてくださいね」

「わかりました」


 会話をしている間に食堂から中庭を抜けて長い階段に着く。


「さあナズナさん。抱っこでもおんぶでもお好きな方を」

「えっと…じゃあおんぶで…」


 顔が見られないに越したことはないので、おんぶにしておく。


「ではリネさんいきましょうか」


 わふっと元気に答えてリネが階段を登っていく。


「あの、重たくないですか?」

「全然ですよ。軽すぎて不安なくらいです」

「そうですか」


 本当に長い階段だなと思っているとなんだか足音が増えたような気がする。


「トーチカさん帰ってきていたんですね」

「ああ、だがすぐに次の場所に立つよ」

「そうですか。よかったら食堂にナズナさんが作ってくれたサンドイッチがありますから持っていくといいですよ」


 アリシアさん恥ずかしくて息を殺していたのに。


「そうか、ありがたくいただいていくよ。しかしまた体調が悪いのか?」

「いつもトーチカさんが出てくるタイミングが悪いんですよ」

「そうか。なんだかすまない」

「あの、いえ…気にしないでください。えと、いってらっしゃい」

「ありがとう。いってくるよ」


 トーチカさんが降りていった後にリネも降りてきて顔を覗き込んでくる。

 抱っことかおんぶを見られたら恥ずかしいのはリネには流石にわからないようで首を傾げていた。


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