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恐怖日和  作者: 黒駒臣
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隙間指

 ふっと照明が消えた。リビングのソファで繕い物をしている時だ。暗くて何も見えなくなったが三十センチ先に襖が開く様な細い縦の光の筋が入った。もちろんそんなところに襖などない。

 その隙間から親指以外の指先が出て来た。何かを確かめるように上から下へ下から上へと移動させた後、わたしの目の高さで止まった。

 そう言えば母も隙間指を見たと聞いたことがある。

 怖くて持っていた針で人差し指を思い切り突いてやった。

 驚いたように指が引っ込み隙間が閉じると照明が点いた。

 あれが何だったのかわからず今まで忘れていたが、また目の前に隙間が開いたので思い出した。

 だが今度はこっちの照明は消えず隙間の向こうが真っ暗だ。

 ああそういうことね。

 指を刺し入れ上下に動かす。向こうのわたしは驚いているだろう。もうすぐ来る針の痛さに構えようとしたが指を挟む刃の感触に母の話の続きを思い出した。

 母は裁ちばさみでその指を切り取ったという。


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