表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐怖日和  作者: 黒駒臣
1/132

中古物件

 中古物件


 いわくつきの中古物件を手に入れ、住める程度にリフォームし引っ越した。

 不動産屋の担当者も工務店の大工たちや引っ越し業者も物好きなオレを笑っていたが気にしなかった。

 本物の心霊現象をビデオカメラに収めたいという夢がやっとかなうのだ。

 引っ越し早々、各部屋にカメラを仕掛けた。まだ昼間だからか何も映ってはいない。明るい日の下でも何らかの現象が起きるなら嬉しい限りだが、やはりそうはいかないだろう。

 夜は元凶といわれる部屋に布団を敷いて寝た。

 深夜二時まで胸を躍らせて起きていたが、昼間と同様、何事もなく、その後も「何かの気配に起こされた!」ということもなく朝までぐっすり眠った。

 がっかりしながらも引っ越し疲れで気付かなかっただけかもしれないとビデオをチェックしたが、布団を敷いた部屋はもとより各部屋のどれにも何も映っていなかった。

 ま、初日だからなと気持ちを切り替え、二日目も三日目もあきらめずにビデオカメラを回し続け、徹夜もしてみたが期待したことは何一つ起こらない。

 その後も何もなく、奇異の目で見ていたご近所とも挨拶を交わす仲になり、オレはただの普通の住人になっていた。

 クレームをつけてやろうと不動産屋に電話をかけた。

 呼び出し音が鳴っている最中、心霊現象がないと文句垂れるのは普通おかしいよなと思い直し、本来の価格より安く家を手に入れられたのだからこれはこれでいいじゃないかと、何も起きなかった事だけ報告することに決めた。

 だが電話に出た受付嬢は、オレを担当した社員はじめ大工や引っ越し業者など、この家に入った関係者全員が既に亡くなったことを伝え、オレが生きていることにひどく驚いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ