魔法学
魔法塾の座学は大きく2つに分けられる。
1つは魔法に関する知識。これを知らないと魔法を扱うことができない。
1つは魔法に関する歴史。これは夕斗がクリアースで赤根から聞いた社会的に魔法に関わる機関等により歴史が改竄された爆発事故、ufmに関連した事故や事件、はたまた魔法による犯罪等の話も含まれる。
これらを半年間かけて夕斗達は学ぶ事になる。
1日3時間ある講義のうち最初の2時間が歴史学となり最後の1時間が魔法学となっている。
「つまりね、魔法は大きく分けて三つに分けられるのよ。1つは<四大元素魔法>。これが魔法の基本でもあるわ。四大元素である火・風・地・水 を操る魔法ね。そして次にあげあられるのが<規模変換魔法>。これは物質や生物の大きさを自在に操ることができるの。最後に<上級魔法>があげられるわ。これは飛行魔法や擬態魔法などがあげられて、それぞれに固有名がついてるわ。また、<上級魔法>の名前に合わせて、<四大元素魔法>、<規模変換魔法>をそれぞれ<下級魔法>、<中級魔法>と呼ぶこともあるわね」
と、藤崎は黒板に文字を書きながら塾生達に魔法の概要を説明していた。説明はさらに続く。
「歴史学のほうでも話したけど、<四大元素魔法>と<規模変換魔法>はの発展は伝説や伝記をもとにサウエスト地方の研究者、つまり今、秋雨家が管轄している島々の研究者により再現されたものなの。そしてここからは初めて話すけど、<上級魔法>はちょっと事情が異なるのよ。<上級魔法>は並行世界から来たという人物たちの証言をもとに再現されたものなの」
「並行世界?その証言者って本物だったんですか?突然そういう証言をする人が各国に何人もいるって噂になっていた時期があったって話は祖父に聞いたことがありますけど・・・」
と1人の塾生が藤崎に質問する。
「あ、おれも聞いたことある」
「私も・・・」
「そうねー・・・。彼らが本物だったかどうかははっきりしていないわ。最初は冗談、あるいは精神的な病気ではないかとされてカウンセリングが行われたのよ。けど、大陸分裂後から十数年して現れ始めた彼らは皆そろって同じ内容の証言をしたの。『私は大陸分裂が起きなかった世界から意識だけを魔法で飛ばしてきた』『君たちに魔法を教えに来た』『真の魔法を知ればufmがいかに有用かがわかるはずだ』ってね」
さらに藤崎の説明は続いた。
藤崎が言うには各国で同じ証言が何件も出てくるとこの発言を無視することができなくり、四季四家にカウンセラーが相談を行ったらしい。
その後、半信半疑で彼らの証言をもとにいくつかの魔法が再現されたが、彼らの証言をもとにやっても魔法として発動しないものもあり、その一つが記憶と意識の移動であったため、彼らがこの世界に意識を飛ばしてきたと言う話は嘘の可能性もあるとのことだった。
ゆえに彼らが本物だったかどうかわからず、集団による狂言だった可能性もあるということだった。
それに加え、このような証言をする者はカウンセラーが四季四家に報告をした日から5年もたたないうちにパタリと止んでしまったらしい。
ここまで説明すると終業の鐘が鳴ったため、歴史学でこの話が出てきたときに詳しく話すということにして藤崎は講義を閉めた。
その日の帰り道、電車から降りて街灯の少ない道を並木荘に向かって夕斗と桃は2人ならんで雑談しながら歩いていた。そんな中
「なんで、並行世界から意識を飛ばしてきた証言者は5年でパッタリと止んだんだと思う?」
と桃が夕斗に今日の最後の講義について質問してきた。
「うーん・・・。もう来る目的がなくなったとか。それとも、やっぱり偽者で辻褄が合わなくなってきたから諦めたとか。他にもいろいろ理由は思いつきそうだね。どれが真相かは分からないけど・・・」
「うん、それもあるだろうねー。だけどこういう考えもできるよ!」
「どんな考え?」
「案外、今も普通に彼らはこっちに来ているっていう考え。そして、それを四季四家が隠しているとか・・・」
「ははは。まさかー」
と言いつつ、確かにありうるかもと考えてしまう。
だって、彼らは魔法の存在を子供たちから隠すだけの影響力をもっていたのだから・・・。
「だよねー。でも、もしそうだったらなんで彼らを隠す必要があるんだろう?ただでさえ秘密多い世界なのにね・・・。うん、面白そう!」
「面白そうって・・・。
「だって、世間から魔法を隠しているような秘密の組織がその組織に属している人たちにさえ秘密にしているんだよ!絶対裏で何かやっているって」
「いや、桃ちゃん・・・。そうだと決まったわけではないんだから・・・」
「まあ、そうだけどさ。こう考えたほうが夢があって面白いじゃん!!」
「夢って・・・。僕はそれよりも怖さを感じるよ。もし本当だとしたらね」
「ふーん。意外とお兄ちゃんはチキンなんだねー」
「なっ!?」
と夕斗は言葉に詰まる。そんな彼の様子を見て桃は
「はははー」
と笑いながら夕斗をおいて残りの道を走って行ってしまった。
それを見て、からかわれたと気づいた夕斗は街灯が薄暗いことに身震いをして、桃を追いかけて並木荘に向かったのだった。




