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unfading  作者: 人波夕日
魔法塾 1回生編
10/24

仲間

入塾式の翌日、夕斗ユウトモモが塾の教室に入ると、すでに黒板には昨日言われた班編成が貼られていた。

もう大半の塾生が来ており、すでに班のメンバーと挨拶や会話を交わしている。そんな中

「お、来たな。ユウト、モモ。こっちだこっち」

と教室の後ろで夕斗ユウトたちを手招きしている塾生がいたので、夕斗(ユウト)達はそこへと向かった。

「おう、来たな。オレは千道明センドウアキラ。これから、同じ班のメンバーだ。よろしく」

「あれ?千道センドウさんって僕の隣の席でしたよね?」

「ん?あ、あー。この今オレが腰かけている席の奴も班員でアユミっていうんだ。昔からの知り合い。そして今トイレに行ってる。それと、オレのことはアキラでいいぜ」

「わかった。アキラ

「よろしくね!アキラくん!」

「おう。あ、戻って来た。おーい」

アキラが教室の入り口に向かって声を掛けるとそこにいた1人の男子塾生がコチラにやって来た。

「こんばんは。夕斗ユウトくん。モモちゃん」

「こんばんは。若里ワカサトさん」

「こんばんは。アユミちゃん」

モモちゃん。ボクはあゆみじゃなくてあゆむって呼んで欲しいとお願いしたハズなんだけど・・・。聞いて無かった?」

「ん?ちゃんと聞いてたよ。アユミちゃん!」

そうは言いながらも、モモはまた彼のことをアユミと呼んだ。

「ごめん。こうゆう奴だから気にしないで。かまってたら切りないから」

それに対し、夕斗ユウトが言うと

「えー!ひ、酷いよ夕斗ユウトくん」

モモは講義するが

「だってそうでしょう?僕に対する態度を考えると」

「う・・・ご、ごめん・・・。反論が思いつかない・・・」

と反論ができずに落ち込んだ。

それを見ていたアキラ

「で、決着ついた?」

「はい」「うん」

「それは良かった。あと他に2人班員がいるんだけど ・・・彼女達はいないな。もうそろそろ始業の時間だからそれぞれの席につくことにして挨拶は諦めるか。じゃあ、またあとでな」

そう言いアキラは席に戻っていった。夕斗ユウト達もそれに倣い席に戻った。

その間に何人かの塾生が教室に入ってきて、黒板を確認していた。

それからほどなくして始業の鐘がなり、クラスの皆が席についた。

そこにHRの担任が入ってきて、教壇にあがった。

「みなさん。こんばんは。まず初めに、黒板に貼ってあるメンバー表を確認しましたか?これが、これから2年間グループ行動をする際の班となっていますのでまだ確認していない人は後で確認をお願いします。みなさんにはこれから2年間をかけて、魔法の知識と歴史についての勉強をしてもらいます。最初の半年はほとんど講義となります。そこで、その講義の担当教員を紹介したいと思います。みなさん、教室の入り口を注視してみてください」

と彼は促した。それに習い、皆入り口を見る。すると

「あれ、誰かいるぞ!?」

「え、うそ。ただ入り口があるだけでしょ?」

「あ!」

「え?なになに?」

と塾生達が口々に騒ぎはじめた。何もない空間から女性が姿を現した様に何人かの目に映る。それを体験した彼らが声を上げたからだ。

この現象を夕斗ユウトは以前体験している。クリアースに保護された時に見た赤根アカネの登場である。

したがって、夕斗ユウトは比較的速く彼女を認識することができた。そして

「え・・・!?藤崎フジサキさん!?」

と驚き、つぶやいた。それに対し

「ん?あの人と知り合いか?」

と隣に座っているアキラが聞いてきた。

「え?あ、うん。僕がココに通うための手続きとかしてくれた人だよ」

「ふーん。そうか。今の担任の口ぶりからだとあの人が講義の担当らしいぞ」

「そうみたいだね・・・。というか、アキラはあんまり驚いてないね」

「だって、最初からあそこにいただろあの人。何で、しゃべらないでずっと立っているのかな?とは感じたけどさ」

「ん?最初からみえてたの?」

「あー。だから、みんながあんなに驚いていることに驚いてる」

「へー。僕はこれをやられたの2回目だったけど今回も全く分からなかったよ」

と会話をしていると藤崎フジサキが声を出した。

「皆さん。こんばんは」

この一言により、藤崎フジサキのことが見えていなかった人も彼女を認識した。それを確認してから彼女は教壇に移動した。

「これから半年間皆さんの講義を担当することになった藤崎鏡花フジサキキョウカといいます。よろしくね。何か質問があるときは何でも受け付けているわ」

「はい。先生」

と塾生の1人が手を上げた

「何かしら?」

「今の登場はなんだったんですか?」

「今のは擬態の魔法を使った演出よ。これからいろいろと学んでいくとあなた達もできるようになるわ。そのためにもみんなで半年間がんばろうと思ってるわ」

その説明を聞き、アキラうなづいているのを夕斗ユウトは見た。後ろを振りかれると他にも何人かうなづいている塾生がいた。

それを見て藤崎フジサキ

「うん。今年は有能そうな子が多いわね。先生うれしいわ」

と、微笑んだ。

それから、藤崎フジサキは講義を始めた。




魔法塾初日の3時間が終わった。

内容はというと、初日だということもあり、藤崎フジサキの登場時に使った魔法の仕組みの解説や、担当教員(藤崎フジサキとHR担任)による、魔法の実演とそれに対する感想や意見の交換だった。

ちなみに、藤崎フジサキの解説によると、先ほどの魔法は<擬態魔法>ミメシスという固有名があり、割とポピュラーな魔法らしい。

名前の通り、自分を周りと同化させ相手の目や認識をごまかす魔法である。虫や動物が使う擬態と同じくすぐに気づく人は気づくし、注意深く観察されると相手に認識されやすくなる。これが最初の塾生たちの反応の差となっている。

また、アキラや他の何人かの塾生が、藤崎フジサキが登場についての質問に対して答えたことに対してうなづいていたのは、彼女が自身の魔法のことを擬態だと言ったことに対してだったようだ。

講義も終わり、昨日と同様周りがざわめきだしていた。

そんな中、夕斗ユウトモモが荷物を整理していると

「よし、ユウト、モモ。あと2人の班員にも挨拶しとこうぜ」

アキラと彼と談笑していたアユミに呼び止められた。

「うん、いいよ。後の二人って初穂ハツミさんと家本ヤモトさんだっけ?」

「そうそう、班員同士顔合わせしとこうぜ」

と、首を動かしアキラは彼女たちを探し始め

「お、いたいた。おーい。ヤモト、ハツミこっちだこっち」

と講義前に夕斗ユウトモモにやったように彼女たちを呼んだ。

彼女たちも夕斗ユウトたちを探していたらしく、周りをキョロキョロとしていた。

「ん?あなたたちが私たちと同じグループの人?わたし昨日入塾式だったのに休んじゃったから自己紹介聞いてなかったのよ。だから誰が誰だかわかんなくて困ってたの。ありがと」

そう言いながら、髪をショートにしていかにも活発そうな女子が近づいてきた。その後ろを彼女とは対照的な長髪で物静かな女子がついてきて

「・・・」

彼女は何も言わずに頭だけ下げた。

「おう、どういたしまして。オレは千道明センドウアキラ。アキラって呼んでくれ」

「ボクは若里歩ワカサトアユミ。女の子の名前みたいだから、あゆむって読んでくれるとうれしいな」

「僕は秋雨夕斗アキサメユウトと言います。年は14歳です。よろしくお願いします」

「私は花見桃ハナミモモって言います。で、私も14歳。よろしくー」

「アキラに、アユムに、ユウトくんに、モモちゃんね。よろしく―。私は家本茜ヤモトアカネアカネって呼んで欲しいなー」

アカネは明るく振舞い

「・・・。初穂百合ハヅミユリ。よろしく・・・」

百合ユリは短く自己紹介をする。

「この娘こんな感じだから、あなたたちのことを聞いても全然わからなかったのよ。だから、ホントさっきは助かった」

「・・・。ごめん・・・」

「いや、別に謝んなくてもいいよ。ユリ。これからみんなで2年間乗り切っていこー」

「うん。みんなで楽しく、仲良くいこー!」

モモが賛同した。

こうして、夕斗ユウト達は互いに自己紹介を終え、話しながら帰路に向かった。

これから魔法塾の2年間が始まるということに希望と不安を抱えながら。




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