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水球師の日常  作者: 桃花
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書類の発行は当主が居ないとできないと言われて出社した私を笑顔で当主部屋に通す兄。

「ここがそうだよ。過ごしやすいように改装したんだ」ドアを開けながら言っている。部屋は日の入りがいい窓辺。ごろ寝できるようにカーペットが引いてあり。ソファーと座椅子が用意されている。

「どっちでも過ごしやすいところでくつろいで」そう言いながら部屋の中へエスコートしてくれるが、以前はこの部屋20畳くらいの大きな部屋じゃなかったけ?首をかしげている私を見て

「父さんが使っていた頃の部屋じゃ少し大きすぎるかな?っと思って。優希用に8畳に縮小して物に手がすぐ届く広さにしてもらったんだ。昼寝できるようにソファーを大きめにしたんだけど」そう言われてみるとソファーと言うかベット?と言いたくなるような大きなソファーが、部屋の大半を占めている。

「座椅子は本棚とテーブルの近くに置いたし。筆記用具とノートをそばに置いておいたから突発的に陣の構成をひらめいた時にメモとして使って。お茶とか必要だったら隣の部屋が台所になっているしトイレもあるから好きな時に好きなことをしていいよ」とトイレと台所に繋がるドアを指さしている。

「じゃ。私は仕事に行くからなんかあったら言ってね」説明が終わるとすぐに仕事に行ってしまう兄。仕方がないか。書類関係は兄に丸投げしているからよくわからないし。と思いながらのんびりするために窓際に座椅子を引っ張って来てゆっくり過ごすことにした。

座椅子に座りながら外を眺めていると、魔力をちょっとずつ取られている感覚がする。これが書類発行に必要な魔力をとられるということか。そう感じながらふと思う。この魔力を吸い取るの過剰摂取じゃね?っと。

大体一枚の書類を発行するのに感覚として魔力を3くらいとられる。水球用の陣を発展して一個の水球を作るのに12くらいの魔力を使う。一般的な成人の魔力総量は6千くらい。私の魔力最大量は2千くらいしかない。少ない魔力で水球師になれば発動中に魔力切れを起こしてしまう可能性があるので危険と判断されて免許が下りないので、私は陣を弄って魔力消費量を抑えて3くらいにした。それを評価されて水球師に成れたんだが・・・

このペースだと私の魔力がなくなっちゃうよ。危機感を感じた私は書類作成している兄のもとへ急ぐ。廊下を歩いているうちも魔力をガンガンとられていく。どれだけの書類を発行しているのか。たまに10くらい取られているんだけど、私を魔力切れで倒れさせたいのか?と疑ってしまう。

「兄。ちょっといいか?」急いで執務室に入って来た私を見てびっくりしている兄。

「どうした?」と聞きながら書類を作成している手は止まらない。

「ちょっと書類発行を止めて欲しい。このペースだと私の魔力は午後まで持たない」その言葉を聞いては?っと疑問に思っている顔をしている兄。

「忘れていると思うけど、私の魔力最大値は2千だから。今のペースで魔力を取られると困ります。ちょっと陣を弄るから、発行に使用している陣を見せて」早く出してと手を出して請求している私を見て固まっている兄と周りの文官たち。

「え?だって水球師になれないでしょ。その数値じゃ・・・」とどこからか聞こえてくる声。

「普通はそうだよ。普通は。私が使っている陣はすべて無駄をカットして必要最低限の魔力に抑えているの。それで、ちゃんと求められている仕事をするように陣を配置しなおしたり不必要な構成を切り捨てたりしているから国から認められて水球師になったの。調節についても私の使っている陣は普通の人よりは魔力を消費しづらいように設計しなおしている」周りに聞こえる音量で説明してから再度兄に出して。と請求するとああと言いながらしょる発行に必要な陣を出してくれる。

「この書類ってどこまで保てればいいの?」陣を見ながら聞く兄に聞く

「そうだな。どれも国に届けばいいが、最初の一枚目と最後の一枚は書類をまとめて防水する機能が必要だから魔力の消費量が多いんだよ」

成程。さっきごっそりとられたのはそれを発行するためだったのね。最初と最後の書類を発行するために必要な陣を見てこの陣を作った人は馬鹿なのか?と思ってしまった。陣を構成する大半は国をたたえる言葉を載せている。しかも、今は使われていない古い言葉だから読める人は少ない。読める人なんて陣を制作する人か修復する人だろう。

「兄。国をたたえる言葉が必要か?それが無いと受理されないとかある?」一応聞いてみる

「いや。今ならこの判子で簡略化されているから必要ない」判子を見せながら説明してくれる兄。それならいらないよね。たたえる文章で魔力を5取られているなんてありえないから。それとこの防水加工の適当すぎない。

「この書類って水が大量にかかるようなところに転送されなよね?どのくらいの防水レベルがいいかな。レベル1はすぐ拭き取れば大ジョブ。2はちょっと濡れたけどすぐ拭き取れば大ジョブ。3は水没したけどすぐに乾かした。なんだけどさ」

「それなら2でいいと思うよ。ここから国の方に転送して、国の機関に回されて処理されるものだから水没なんてありえないと思うよ」

「そうですね。書類を提出しろとうるさい国が、書類を水没させてなくしました。とか言えませんからね。以前、国に都合の悪い書類を燃やしたとか捨てたとかした部署があったみたいですが・・・」そう助言してくれるのは明華さん。

「そんなことがあったんだ」呆れながら聞いている私を見て

「それを防ぐためにこの判子を作ったみたいだ。対になっている判子を押さない限り燃えないように耐火の効果を付属できるんだ」クルクル判子を回して説明してくれる。と言うことは、書類が転送に耐えれてレベル2程度の耐水効果付きの書類を作るのに必要な陣は・・・・と既存の陣から不必要なものを外してから空いた場所に必要な効果を得られるように陣に組み込んでおく。そして、陣を流す魔力をスムーズに行くように全体を整えてる。

「はい。試作品。一応試してみるからチェックして」そう言って出来た書類発行の陣の消費魔力は表紙と裏表紙をセットで1.5くらいのに抑える。他の書類発行の方はいらないものが多すぎるのでカットしまくって0.5くらいに抑えることが出来た。

発行した書類をチェックしている兄。周りの人たちは陣を弄っている私を興味深げに見ていたがその視線も発行した書類にすでに移っている。見た目は合格だったようで、書類に何やら書き込んでいく兄。書きやすさとかインクのにじみとか色々チェック項目があるんだろう。最後に試作品の書類に判子を押してから明華さんに渡している

「読めるか?」と聞いているので文章の読みやすさとかのチェックだと思ったのに違ったようだ

「全然読めません」と答える明華さんに頷いてから兄が成功だと言っているがよくわからないんですけど・・・

「書類には最後に判子を押すことが義務付けられている。それは判子の対が無ければ読めないように書類と判子がセットではないと発動しない効果なんだけど。ちゃんとこれはできているね」と説明されて納得した。半分だけのピースが一つあったから。何の意味があって組み込んでいるのかよく解らなかったけど、必要な感じがしたから取り外さなかったんだよね。

「それで、完成でいい?これだと半分以下の魔力で発行できるんだよね」陣を書いた紙を兄に渡して確認をとる

「大丈夫だ。じゃあ今後はこの陣を使用して発行していくから。ゆっくり休みな」そういわれるため部屋に戻る。

 部屋でまったり寝たり起きたりして(睡眠を取ると魔力が少しだけ回復する)過ごす。日向ぼっこしながら陣に関する本を読んだり、薬師の本を読んだりして過ごす。薬師はレベルをあまりあげるつもりはない。販売するのだって化粧水と初歩の薬だけの予定だ。薬を作るのにも魔力は必要だから。あまりレベルが高くなると必要な魔力も多くなる。少ししか無い魔力で作るには大変なことだから。採取はそれほど魔力を必要しないので採取して薬を作りだめして販売する予定だ。作ってすぐの薬より、時間がたって熟成した薬の方が高く買ってもらえるから。熟成した薬を短期間で作るには魔力をたくさん使うが、時間をかけて作る分には少しの魔力でいいのでそっちを採用している。

魔力が普通くらいあればそんなに困らないだろうが、少しの魔力しかない私は工夫が必要なのだ。

昔くらい魔力があったらよかったのにと少しだけ残念に思う事があるけど、魔力を減らしても良いと思ってやったことなので後悔していない

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