10
書類精製の陣を弄って低コストしてから部屋に戻り読書をする。タイトルが”陣の構成と基本”だ。世間には少数だが私と同じ様に既存の陣を弄る人もいるのでその人たち向けの書籍だ。弄る理由は千差万別。私のように低コストにするためとか現場に既存の陣が合わないとか・・・・
魔力が少ない私が水球師になりたくて陣を弄って合格する為この本に大変お世話になった。学生時代は手元から離さなかったくらいだ。ほんのあとがきには、この書籍にあげている方法は一部でしかない。と書いてあったが、現場について色々な先輩の陣を見て勉強させてもらった。給水量を多めにとっている人。制御に力を入れている人。圧縮に力を入れている人と千差万別だったから。私のは基本的なパッターンをもとに低コストと圧縮・制御を重点的にしているものだ。はじめの時は発展時の計算で脳みそが焼き切れるのではないか?と思ってしまうくらいの激痛が走ったが、そこは慣れ。最近ではそんなに気にしなくなった。ただ、脳に負担をかけているのは変わりないから飲んでいるお茶が回復作用がある物に変更しているくらいだ。
そんなに激しく動いてないからお腹も減らないし。昼食を抜いて昼寝をすることに。激務というものでは無いが体が疲労を訴えていることは間違えないのでベットにタオルケットを引いて寝ることに。うとうとしているときに誰かに抱きしめられていたような感じがするなっと思いつつ体を起こして時計を見ると4時間ほど経過している。そろそろ仕事が終わる時間だろうなー。もう少し寝ていたいけどそれだと寝過ごしてしまいそうだからとテーブルに置いておいたお茶を口にして違和感が・・
寝る前に入れたお茶はただの回復剤をベースにしたものなのに今飲んだお茶は、魔力切れを起こした時に飲む薬に変更されている。昔は、いやってほど飲んだお茶の味なので間違えない。誰だ。薬にすり替えたやつ。考えてみたら兄が明華さんしかいない。しかも、この調合はこの場所では兄しかできない調合なので犯人は兄。択一だ。本当に心配性なんだからと一気に飲み干しテーブルに置くと同時にノック音。
「どうぞ」入室を許可してドアを見ると兄となぜか父が入ってくる。
「おはよう。兄。どうして父が居るのか説明してほし良い。本家に居るはずだろう」疑問をぶつけてみる。
「手伝いで来たんだよ。体調は大丈夫か?」そう兄が答える前に教えてくれる父。テーブルに近づき薬を飲んでいる事を確認して頷いている。
「魔力が少なくなっているのだから無理はしなくていいんだよ。そもそも書類を作る陣を発動するのは。当主か当主をしたことがある人間だから。お兄ちゃんに任せておけばいいのに」渋い顔をして言うけど。そんなこと聞いたことないんですけど。兄の方を向くと素知らぬ顔でコップを片づけている。
「青い顔してまた、あの時みたいに無理したんだろ」顔色を見ながら頬を撫でてくれる父の手に安心していると爆弾を投下してくれる父。
「高須の餓鬼がお前を嫁にと言ってきていたが、断わったから」と
高須の餓鬼とは暴走して魔力切れを起こして瀕死になったハトコのこと。近くにいた私が無意識で魔力を譲渡したから助かった人。今は、回復して以前から持っていた魔力プラス譲渡した魔力が底上げして高官に付いたと本家の婆さんから聞いたことがあったが。
「なんで?その件については丁重に私が独り立ちした時に断わった話ですよね」何を考えてんだ?と首をかしげながら聞いている私を愛おしそうに見てから抱きしめた父。
「そんな涼音と同じような顔をして。困った子だ」産みの母親の名を言いながらよくわからない事を言っている父。助けを求めて兄を見ると笑っている。笑ってないで助けてよと視線で訴える私。そんな私を抱いている父と言う光景を打破してくれたのは後から来た総一郎さんでした。
「いい加減にしないと嫌われると思うぞ」そう声をかけて私を父の腕の中から救出しつつ書類を兄に手渡している
「そんなことはありませんよ」との父の抗議を流しながら兄から受け取った薬を飲むように進めてくるので、飲んでおく。魔力は昼寝で回復しているが、魔力不足で起こった頭痛は治ってないから。
「さて、優希が今回もまた面白い事をしてくれたので、説明を求める。ついでに商品として売りに出す。特許はお前の名前にして売上の3%を還元することにしている従来の契約を更新したい」申し出てきたので。
「面白い事ってなんですか?今回渡せれる利権なんてないですよ。使い捨ての水球陣を刻んだものは使い捨てで需要もないだろうし。以前作った簡易式の調節ペーパーはすでにそちらに渡してますよね?」一応聞いてみる。
「使い捨ての水球陣は報告されていないからわからないが、今回の書類制作の陣についてだ。年若い者や年老いたもが従来の陣では負担が大きすぎるという声が以前がら出ていた。一応国でも改善していたが、変わり映えしないものしか出なかったからな。今回の者は消費率がかなり減ったと聞いているぞ」どうなんだと兄に話を振っている
「普通の報告用紙で0.5。飾りで1.5くらいです」
消費率を聞いて絶句している父と総一郎さん。あれ?なんか間違っている?低コストにしただけだよ?
「それだと国に届いた時に霧散しないか?」恐る恐る聞いてくる父に首を振って否定する
「そんな物なんて必要ないでしょ?国についてちゃんと控えと評価をもらえるまで霧散しない。従来の者より耐水性を強化したよ。劣化したものなんて作ってないです」言い切ると兄が自分の魔力で作った改善版を見せている。それを受け取って唸っている父たち。あれ?
「まずいことしてしまった」恐る恐る兄にいいたら、いい笑顔で頷かれてしまった。
「えーっと。なかったことに」
「ならないって解ってて聞いているかな?」隣でお茶を飲みながら答えてくれる兄。書類と陣を見ながら唸り声をあげている総一郎さんと父を見ながら、やべーと遅まきながら背中に冷たい汗をかいている私。
「国に届くのっていつごろ。それまでに・・・・」逃げる打算をしている私を見て
「もう届いているよ。早いやつなら。だから父さんと総一郎さんが来ているんだ。逃げられないぞ」ニッコリ逃げ道を塞いでくれる兄。マジですかー
あー面倒なことが降ってくる。ビバスローライフが逃げていく。日がな一日フィールドで遊んでいたいだけなのに・・・項垂れていると
「そう項垂れるな。現場の人間がこの手の改善をしてくるのは国でも慣れっこだ。使用料について吹っかけない限りいちゃもんつけてくることはないだろう。交渉は本家がしてくれるだろうし。私たち一族にケンカを売るだけの根性なんて国には無いから大丈夫だ。その前に高須のくそ餓鬼をどうにかしないと面倒だな」父が国については太鼓判を押してくれるけど、どれだけ弱体化しているのでしょうか国は。ちょっと未来が不安です。
「高須の餓鬼って。私が助けた人だよね。確か、高官になったって聞いたよ。高須の方は、近親じゃないと子が出来ずらいんでしょ?母さんだって私たちを生んでなくなっているし。今さらでしょ。そもそも母さんだって父さんと結婚するときに縁を切っているから関係性って皆無だよね?」
「それがな。お前の魔力を譲渡されて年数がたっているから、お前はあちらの中では近親の部類になっているらしいんだ。それに本人もそれを望んでいるしな」父がそう言っている。
「一族としてはありえない話だから、打診があった瞬間に切り捨てたが。しつこくてな」うんざりと言う顔をしている総一郎さん。
「そうですよね。優希の夫になるなら優希が好きな事を出来るように環境を整えるくらい出来なと。と言うかそれが最低条件でしょ?あの餓鬼にそれが出来るかっていえば無理でしょう。そもそも、馬鹿やらかして自分より年下の優希に助けられたのに感謝の一言もいまだ言えない男に優希を嫁に出すなんてありえない」言い切る兄。それに賛同している男性陣。
「話がそれたが、陣の方はこれだけか?」と本筋に戻ってくれる総一郎さん
「これだけだよ。違うバージョンを作れと言われたら作るけど?」一応聞いてみるとキラリーンと目をきらめかせている総一郎さん
「じゃあ。手荒く扱われても霧散しないように出来たら出来るのか?」
「手荒くの程度がわかりません」答えると
「投げたり・戦闘に巻き込まれてとか」条件をあげてくれる。書類を投げるな・戦闘に使うな!!と言いたいが危ないところがあるのは仕方がない
「その程度なら。対物のレベルをあげればいいじゃないですか。戦闘になればどうなるかわからなけど」即席で陣を書いていくとガン見しているけど・・・
「てな感じにして後条件を入れていけばどうにかなるのでは無いでしょうか?」恐る恐る聞いてみる。
「なるほど。先方ににちょっと確認してみるからこれ借りるぞ」立ち上がり連絡している総一郎さん。先方ってなんですか?
「優希はなんでも屋になるのか?」と部屋をいつの間にか物色している父。
「なんでそんなこと聞くのかな?水球師だけで生活できるほど世間は生ぬるくないので、乾季になれば採取して初歩の薬を売り歩く事にしていたの。当主になったからってそれは変わらないと思うよ。調節が終われば、書類を作成するときにだけここにきて後は、好きに生活することにしているから」父の問いに答えると
「そうなのか。調節が終われば本家でゆったり過ごすんじゃないのか?」
「誰もそんなこと言ってもないし。本家でゆっくりってどれだけ引きこもりよ私」突っ込みを入れると肩を下げてがっくりしている。
「何を考えて要るか知らないけど、本家に保護してもらう年でもないでしょ?普通に考えてよ」父に言葉をかけていると総一郎さんが戻ってきて。うなだれる父を見て
「どうしたんだ?ま。いいか。対物のレベルを上げたものを試作してくれるか?それで、あちらが良いならそれを販売することになるんだが」
「早!!それならこうなるんじゃないかしら」そう言って試作したものを転送してくる。と走っていきましたが、売れたら私に何%か来るんですよね?
「仕事早いね。ってか総一郎さんの身分ならあの身軽さっていいの?代行でしょ?」本家は大ジョブ?と聞いてみると大丈夫だと父が頷いている
「総一郎さんはな。お前の事を専門にしているからな。あの人はあれでも有能だからな。本家の重役たちも重宝しているからな」
「陣をいたずらして商品化するのなんてお前しかできないからな」と兄と父が頷きあっているが、なんでしょうか。




