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官僚チックな調節さん達に遠距離の方法を教えた後昼食を食べに食堂へ。すでに兄はご飯を食べていたので受け取った昼食(日替わり定食)を持ち兄のもとへ。
「お疲れ様。なんかあった?」聞くと特にと言いながら炒飯セットを食べている。
「そういえば、遠距離を教えに行ったのに早かったなもっとかかると思っていたのに」そう言われたが何で?疑問に思いながら簡単に説明すると
「基本概念だけ教えてきたんだ」ため息をついている。
「基本概念って言っても後は本人の感覚次第なんだよ。陣を作ったらすぐに発動ではなくて加工しないといけないからね。目測・陣・訂正・発動の流れの間隔をつかんで発動しないとだめなものだからゆっくりでも確実にできればいいんだよ。慣れてくればすぐに出来るから。感覚をつかむのが難しいけど、最初っからそういう風に訓練しておけば問題ないと思うんだよね」日替わり定食を食べながら答える。「じゃあ、今いる弟子たちはその方法を練習させればプロになった時には使える人材になるのか?」兄に聞かれたので微妙だと答えると何がだ?と聞かれる
「調節は普通うちのような沼とか多いところでしないでしょ?大抵ちょっと泥だらけとかの場所だから足物に陣を形成するだけでもいい。うちみたいに湿地が多い場所で仕事をするならまだしも。使わない技術を頑張って習得しなくても良いと思うんだ。そういう風な技術もあるんだなー的な感じでいいと思うよ。本当にここに就職するとなれば違うけど」
「そうか。出来ればうちに就職してもらいたいがそうはいかないか」残念だと言う顔をしている兄を見ながら
「そう簡単に思い道理にいかないのが人生だと思言う。思い道理にいかないから面白いんじゃない?」
「そういうが、人で不足だから優秀な人材を欲しいと思うのが事務・現場監督である人間はいつも思うことなんだぞ」簡単に言うなと叱られるが
「優秀な人材が一人いるよりある程度出来る人間がたくさんいた方が仕事は回ると思うけどな。優秀う1人。平凡沢山がうまく仕事が回る方法だし雇用も生まれると思うんだけどな」
「そんなもんか?」優秀な兄にはわからない事なのかもしれないけど
「優秀すぎて周りと報告・連絡・相談できない人より、ある程度出来て報告・連絡・相談できる人間の方が私はいいと思うんだよね」
「どんな会話してんだよ」兄と人事について話しながらご飯を食べていると突っ込みが入ってくる。突っ込みをした人を確認するために声の方を見るとそこには次郎さんがいた。次郎さんは総一郎さんのいとこで外交に秀でた人。応援に来てくれたのだろう。ドカッとあいている席に座り
「応援に来たらお前ら兄弟は昼休憩だから食堂だと言われて来てみれば。そんな事を話し合って飯はうまくないだろう」憤慨しているが何で?
「「おいしいよ(ですよ)」二人で答えるとなんだよこいつ等と言う顔をされてしまった。
「そんなんだから本家が離さないんだよ。仕事以外の話題は無いのか?」心配されてしまいました。
「そうでもないですよ。優希は採取とか趣味ですし。私だって読書と言う趣味を持ってますし」食後のお茶を飲みながら返答している兄にさらに突っ込みが入る
「読書と言っても仕事関係何だろお前は。優希だって採取となればフィールドに出ることになる。そうなれば調節しないといけない場所を見つけて後から申請して。とか言ってその場で調節したりするんだろうよ。それは、休暇にはならないぞ」本当にこの兄妹はとあきれられました。
「いいじゃないですか。勉強にもなるし意外と面白いですよ」
「そうだよ。面倒だよ再度行くの」兄と反論するとほんとだめだこいつ等と言われてしまったのですが合理的でいいじゃないですか。何が悪い?と思いながら空を見るとやばい感じがします。コレは・・・
「兄。食後にごめんだけど仕事だ。気象を確認してくれ豪雨が来るかもだ」立ち上がり兄に頼むと「わかった」とお茶を置いて立ち上がる。
「ちょっと協会に行ってくるから」そう言い残して水球師の協会に転送する。水球師のライセンスを持っている人間はどの場所からでも一番近い協会に転送できる陣を交付されているのだ。
稼ぎ時期が終わりごろだから人が少ない協会に転送して即座に転校を調べれるカウンターに進む。その勢いに少しビビっている受付を無視して要件を切り出す
「すみませんが確認をしたいんですけど。西村が治めている北フィールド」と言うばわかるでしょ?水球師の協会には雨雲を観察する機関が国から認可されて置かれているんだから。
「ただ今」奥に情報を確認しに行ったようだ。
「何があるんだ?」状況をみまもっていた顔見知りが聞いてきたので事を説明すると
「ほう。豪雨の前兆か。終わりかけに稀り大きいのが来るが、西村フィールドでは珍しいな」納得している
「で、なんでお前がその情報を持っているんだ?」もっともな疑問だが答える前に情報を持った受付嬢が来た。
「これが現在で。これが1時間後です」出された情報を見るとそれ程大きくない雨雲が張り出しているのがわかる。現在のフィールドでは、雨が降ってないが大気には水分が多量に含まれている。ここに雨雲が近寄り刺激を与えることによって雨が降ることになるだろう。
「豪雨になるなこれは。すみませんが、近隣にいる水球師に連絡を取って集合してもらって良いでしょうか。最悪災害レベルになりそうなので」そういうと受付嬢がはあ?と言う顔をしている。ああ説明していなかったか。
「西村北フィールドを管理するものとして要請したいのですが」カウンターに管理を司るものしか持つことを許されていないバッチを置くと
「わかりました。お待ちください」急いで奥に消えていく受付嬢。後ろではああ?と驚いている顔見知りに振り返り
「と言うことなんだよ。本当は兄貴にが当代になっていたんだけどね。代替わりして今は私がやっているの」説明すると納得している。それを見ながら携帯で兄に連絡。協会に依頼をした事を報告してから土砂災害が出るであろう場所にいる人を非難とともに水球師を守るために熟練さんを出してもらうようにお願いしておく。それを見て「マジかよ」とつぶやいてる顔見知り
「さて、どの様な規模になっても十全の体制で取り組みますか」呟きつつ庁舎に戻る。
「と言うことで、早くて後数時間後に奥を中心に豪雨が起こります。そのため奥にいる住人を中央に避難してもらうことになりますので、転送陣をホールに設置して避難してきた人たちを受け入れたいと思います。奥は私が行きますので、その間は陣頭指揮は兄にお願いします」庁舎で兄に面倒な事をおねがいする。
「それと、豪雨が通る場所には山間がありますので、山津波。つまりは土石流が起こる可能性がある場所が存在します。そこを担当する水球師は上級の者を依頼してきましたので問題ないと思いますが何かがあったら困りますので、大地の水分調節を熟練の方々にお願いします。山全体をカバーできるように5人人チームで行って貰います」ホールに集まっている熟練さんたちにお願いすると頷いてくれる。
「護衛さんたちは、避難してきた人が暴徒にならないように見守ってください。後、災害時に出る強盗・奪略を取り締まってほしいのです」そう言うと頷く博正さん。明華さんに至っては
「避難してきた人および疲れた水球師・調節師のケアーはこちらで任せてください」申し出てくれる。やはり出来る女は違うようです。
「では、十全に対処していきましょう。何かありましたら私または兄に連絡・報告・相談でお願いします」対応を決めて解散してから数分。水球師と国の役人が駆けつける。兄と明華さんが対応してくれている間に私は準備することにした。長くて2時間ほどだろうと思われるが、その二時間でどれだけの被害が発生するかわかったもんじゃない。奥およびその近隣はまだ調節していないからほぼ湿地と言っても過言では無い。山間だって岩がゴロゴロして足場はいいものではない。調節師を同行してもらって足場を確保してからの発動になるから面倒な事にならなきゃいいけど・・・
思った通り一部の水球師たちが調節師たちが同行するのに苦言を示してきた。仕方がない
「それなら参加しなくても良いですよ。やりようはいくらでもありますから」ごねた人間を切り捨てることにした。出来ないなら参加しなくても良いし。そもそもごねているのは水球師になり立てとかであまり数場を踏んでいない人たちだから。
「やり方って・・・」困り顔の兄にポケットから取り出したブローチを渡す。
「なんだこれ」とブローチを見ている兄が気づいたようだ。
「ああ。気付いた?それは魔力を込めれば私の水球師として使用している陣を発動できるものなの。簡易じゃないから大丈夫。魔力を切れば水球作成をやめる。逆に魔力を流し続ければいつまでもその陣を発動してくれるっていうものだよ」周りにいた人間がざわついている。
「難点は、魔力を込めればいい手わけじゃないの。陣を発動・維持できるほどの魔力を適量流し続けないといけないからそれに長けているものでないと使用できない。そこら辺は皆出来るでしょ?」周りを見ながら聞くとああ。と言う顔をしている人たちが多い。
「難点っていう何点じゃないだろう。いつの間にこれ作ったんだ?」声に怒気がこもっているけどなんでしょうお兄様。
「いつって。去年の中ごろから構想して完成したのがつい最近。出来ない仕事を受給してチームに迷惑かける新人が多かったらさ。私がもう一人いたら便利だなーってさ」逃げたくなる衝動を我慢して答えると
「そうか」手の中にあるブローチを見ているのでお説教は無いだろうと思っていると
「今回は良いとして、今度こんなものを作る様なら」ニッコリ笑ってすべて言わない所が怖いです。
「報告・連絡・相談します」頭を下げると頭を撫でながらそうしなさいと言われました。
「じゃ。これは無駄に魔力があまりまくっている者に渡すとして。問題解決だね」ニコニコと二つのブローチを持って行った兄。誰にそれを渡すかは兄に任せたとして。本家から増員しているみたいでいつもより人数が行きかっている庁舎を歩きながら水球師が集まっている場所に移動。調節師はすでにポイントに移動して足場を作ってもらっているし、避難を誘導するために護衛たちも派遣している。後1時間ほどしたらポイントに水球師たちを派遣する事となる。
「足りないものはありませんか?最大1時間ほどですが規模が大きいと予測できますので」と言う声が響き回復剤を販売している商人がちらほらいる。