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魔法少女は無理がある?!〜魔法の呪文をヘビメタにのせて♪〜  作者: 朱井笑美


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 人気(ひとけ)の無い校舎裏の小さな庭に着くと、プリシラは上を見上げて思う。

「校舎から何か降って来るんじゃない?」


 上の階の窓から “何かが落ちて来ても、おかしくない場所” を指定されたのだ。

 この校舎は、紳士・淑女科の建物だ。


 偵察の為に少し早く来て良かったと、プリシラは自分にバリア魔法をかけておく。

 万が一、ゴミとか汚水とか、最悪、植木鉢くらいなら落ちて来ても、この魔法で十分防げる。

 さすがに剣で刺したりはしないだろう。殺人事件になっちゃうしな。


 あと頬を引っ叩かれるくらいも平気だ。

「出来れば暴力はなしでお願いしたいな」とか色々、考えていると淑女科の上級生の令嬢達が5人ほどやって来た。

 なるほど淑女科でも高位貴族の令嬢達だ。


 令嬢達が近付いてくると案の定、上から待ち構えたように何かが降ってきた。その瞬間、令嬢達から「キャーッ!!」という悲鳴が上がる。

 ちょっと前世の父の楽曲には採用できない悲鳴だな?ってそんなの関係ないじゃん!


 降ってきたのは汚水…色からして泥水かしら?

 バリアのお陰で、汚水は全てプリシラを弾いて令嬢側に飛んだようだ。

 けっこう飛んだな…わ〜ヤバい…。


「ちょっと!あなた何するのよ?!」

 えっ!私?


「私が原因じゃないですよ。汚水は上から降ってきましたし」

 あなた方の仲間の仕業でしょ?と暗に言ってみるけど…


「あなたが何かしたんでしょう?!」

「そうよ!あなたが何かしなければ、私達にかかるわけないじゃない!」

 って、そんな責任転嫁ってある?


「バリア魔法張りました。それだけです」

「バリアですって!生意気なっ」

「そうよ!なぜ、あなたなんかが生徒会に入るのよ!しかも途中からなんてエコ贔屓でしょ!」

 

 おぉやっと本題キタ。


 彼女達は濡れた上、しかも泥で汚れたせいで怒り倍増で文句を言ってくる。でも今は冬だ。濡れていては寒いだろう。

「風邪をひきますよ?中に入りましょう」と提案したのだが「うるさーい!」って余計に怒りに火を点けた!


 とうとう令嬢の一人が私につかみ掛かって押そうとしてきたが、

「だからバリア張ってるって言ったじゃん!」

 令嬢はビクともしない私を押せずに、逆に反動で後ろに尻餅を付いた。


「何するのよー!」

 他の令嬢に頬を叩かれそうになったが、それもバリアを叩いただけで逆に相手の手が痛そうだ。

「何するのっ!」

 そっちこそだろ!


 だけど、この絵面は私が加害者に見えるじゃん!?

「どーしよ?」と思ったその時、声がした。


「ヤメロよ。お前達は貴族令嬢として恥ずかしいぞ。しかも淑女科のクセに光魔法使いのプリシラに敵うわけないだろ」

 そう言って現れたのは、ピアノ同好会会長の侯爵令息レオナルドだった。


「レオナルド様!この子が泥水をかけて、押してきたのよ!」

「私は叩かれたわ!」

 凄い嘘吐き!むしろ感心すら覚える。


「アイスノン!」

 ん?それで頭を冷やせって?そんな事を思ったら、令息のその一言で令嬢方にかかった水が凍ってた。

 “アイスノン”って魔法なの?!あ〜そうか、彼は氷属性だった。でもその魔法のネーミング微妙。


「キャー!冷たいっ」

「凍ったわ〜」って言いながら令嬢方は逃げて行ったけど、根本は何も解決していない。


「大丈夫か?」

 彼に助けられた体で聞かれたけど、ちっとも大丈夫じゃない。

「ほぼ遺恨を残したまま逃げられたじゃないか!」と腹が立って何も言えずに立っていると、私が怖い思いをしたと思ったのだろうか「もう大丈夫だぞ」なんて言いながら近寄って来て、肩に手を置かれた。


 ちょっと!そっちの方が大丈夫じゃない!

 バリアを解くんじゃなかった!


「大丈夫ですから、お気になさらず。私より彼女達が心配です。風邪をひかないといいですけど」

「何であっちの心配を?呼び出されて嫌がらせされてたんだろう?」

「ええ。だけど予防できてたので。でも私を心配して下さってありがとうございました」


 かなりお節介だったけど、自分を心配してくれた事には変わりない。プリシラはお礼を言って立ち去ろうとするが「ちょっと待ってくれ!」とまた肩を掴まれ令息に引き留められた。


 またバリアを張っとけば良かった…でも「何ですか?」と振り向くと「頼みがあるんだ。だから話を聞いてくれ!」と令息は真剣な面持ちで言ってきた。


 また「同好会に戻れ」とかだったら無理なんだけど…とプリシラが考えていると「だから気を付けろと言っただろう!」とまた声が聞こえて来て、お怒りの様子の第一王子殿下とチャールズ先輩、リチャード先輩が立っていた。


 もしかして私は見張られていたの?

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