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「第一王子殿下が今回、討伐に出られる事になった。だから殿下はしばらく学校を休まれる」
副会長のチャールズ先輩から説明があった。
そう言えば殿下は夏休みに病院で、次回の討伐には参戦されると仰っていた。成人したからだと…。
この国の成人は16歳だ。しかも王子の立場だから責任も重いのかもしれない。
「皆、大丈夫だよ。兆候だからちゃんと先手を打てる。そしたら全員、無傷で帰ってくるさ」
「チャールズ先輩、今回は学校から参戦するのは殿下だけなんですか?」
「ああ。中規模と聞いているから学校からは殿下だけだ。だが現地の騎士団と王都の魔法師団から数名の魔法師と魔法騎士団が派遣されるから、それだけで対応できるそうだ。それにそちらに人を回し過ぎても、他で兆候が出たり魔物が発生したりすれば対応に困るだろう?」
「そうか。これまでも同時発生や兆候はあったもんな」
「今回はそんな事にならないよう祈るしかないな」
「そうだ。我々は特に他の生徒達が浮き足立たないように、どっしりと構えていよう。プリシラはご家族が参戦されるから心配かもしれないが」
「大丈夫です。我が家はいつだって覚悟してますから。それに私が平気そうにしていたら皆も安心するでしょう?」
「プリシラ〜」
ルシア先輩が私を抱き締めてくれる。
心配してくれる気持ちは有り難い。
でも私も強がりを言っている訳ではない。
本当に家族を信じているから。
「チャールズ先輩、第一王子殿下は風属性なんですか?」
「ああ、そうだよ。攻撃魔法だけじゃなく、かなり風を補助でも使われるんだ。」
確かに風魔法は凡庸が効く。そして攻撃では一番、スピードがあるイメージだ。
王族だからきっと魔力量も凄いんだろうなぁ。
そう言えば王家も聖女の子孫だから伯爵家と一緒なんだ。
だけど聖女から枝分かれした先祖が、あの次女殿下だからな〜。
中規模の魔物の兆候ニュースは我々に動揺を与えたが、五日もすると「無事に手を講じて終了した」と報告がもたらされて、皆にも安心が広がった。
生徒会の皆もホッとしたようだった。
私も父達の留守に何かあったらと、お陰で覚えた魔法は全部ギターモドキでも発動できるようになってしまった。
あとは、どれも聖女の杖で試すだけだ。
ホント、火事場の何とかってやつだ。
いつもより短時間で頑張れてしまった。しばらくは新しい魔法より今、覚えている魔法の確実性だな。
実用化できなければ、呪文の暗記だけでは意味がない。
派遣された騎士や魔法師達もあと二日ほどで戻って来るらしい。
殿下も休み明けから学校にいらっしゃるのではないか?って、チャールズ先輩が仰っていた。
私の横で大きな安心の溜息を吐いたルシア先輩を見て、プリシラは、ふと疑問に思った。
「ルシア先輩は第一王子殿下の婚約者なのですか?」
「えっ?違うわよ。殿下には婚約者はおられないわ」
「そうなんですか」
「ねぇプリシラ、どうして第一王子殿下が立太子されていないか分かる?」
え?何でだろう。考えた事なかったかも。
「第一王子殿下が立太子されて王太子になられると、魔物討伐に出られなくなるからだよ」
チャールズ先輩が横から仰った。
「そう次期、国王だから危ない事をさせられないだろう?」
それはそうか。
「でも今、王族で討伐に出られる方は居られないんだ。陛下のご兄弟は姉君と妹君でお二人共嫁がれているし。殿下の従兄弟達もまだ成人前だ」
「だから今回、第一王子殿下が立太子せずに討伐に参戦する事は、とても重要だったんだよ」
「多分、第二王子殿下が成人するまで立太子はできないな」
「あと2年か〜。でもその頃は殿下の従兄弟達も出揃うな」
「そうそう。だから第一王子殿下は立太子ギリギリまで婚約者をお持ちにならないみたいだ」
何だか色々、事情が複雑なんだな。




