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BOSS!!   作者: 桜花
9/19

イタリア語!


 幹部登録が終了した翌日、教室で、私は、げっそりとしていた。

 決して、隣の席の人が、みんなに囲まれていてうるさいとかじゃない。ていうか、この際、そんなことどうだっていい。

「ハァ~……」

 私は、唯ひたすらに、下校のチャイムを待ち続けた。



 待ちに待った下校のチャイムと同時に、教室を出る。風間くんは、ファンのごとく熱心な女子を、見事な笑顔で追い払うと、私に質問を投げかけた。

「どうした? そんな、ため息ばかり」

「いや、昨日、家で……」

 家に帰ると、のんちゃんが帰ってきていて、心配されたのだ。



「また図書館?」

「うん、まぁ……」

 昨日だけは意味が違ったその曖昧な返事を、いつもの意味でとったらしい。

「やっぱり、学校辛い?」

「え? ……いや……」

 顔を背けた私の顔をのぞき込むように、のんちゃんはしゃがんだ。

「1人で背負い過ぎちゃダメだよ? ……私を頼っていいからね」

「……うん」



 黙って話を聞いていた風間くんが、首をかしげる。

「いい人だな、という感想しか浮かばないけど」

「そのいい人に、嘘をつき続けるのが辛い」

それを聞いた風間くん、ヴェルデ基地の2階の鍵を開けながら、ため息をついた。

「でも、慣れてくれないと……」

「辛い辛いつらいつらいツライツライ」

『うわぁぁぁ! アロンツォ、来てくれ!』

 “リディオ”のイタリア語を聞きながら、声を止める。

『なんですか……なんだリディオか』

『なんだとはなんだ』

 3階から、リディオの声を聞いたであろうアロンツォが降りてきて、イタリア語で答えた。

『ボスがおかしくなった!』

『……別に普通だろ?』

 アロンツォにため息をつかれたリディオ、私を見て、首をかしげた。

「……ほんとだ。戻ってる……のはいいんですけど、なんでそんなに睨むんですか」

 睨んでないです。首を横に振る。

「……では?」

 リディオだけではなく、アロンツォも首をかしげた。違うの。睨んでるんじゃなくて、真剣なんです。

「ボス、おかしい……?」

 2人は、動きを止める。突っ立ってるリディオはいいものの、階段を降りてくる体勢のまま話をしていたアロンツォは、腰が大変そうだが……大丈夫だろうか。

 たっぷり10秒は静止し、代表でリディオが声を出した。

「イタリア語、分かるんですか?」

「いや、だいたいだよ。今も、言っていること自体はよくわからなかったし。今のところ、発音は無理、聞き取るのも自信は無い。“読むことなら少しは……”って位で、書くのはほとんど無理かな」

 リディオは、少し驚いた後、私に聞き取れるようにか、省略せずに、一語ずつゆっくりと発音する。

『本当に?』

これは分かる。一語だからね。

「“スィ(はい)”」

 はい、と答える。少し発音が違うし、文法ガン無視だけど、英会話みたいなノリなら許されるかな?

『一晩で覚えたんですか?』

「え、ちょっと待って、知らない単語が」

「……一晩で覚えたんですか」

「あ、えっと、“スィ”」

 正確には、完璧に覚えたわけじゃないから、ハイとは言えないかも知れない。

 それでも、リディオとアロンツォは感心してくれた。

「流石、ボス」

「だろ?」

 リディオの言葉に反応したのは、扉の開く音と共に聞こえた、陽太の声。

「真希は、人一倍頭の回転も速いし、物覚えもいいんだ。責任感も強いから、ボスにはぴったりだと思うよ」

そして、陽太に続いて入ってくる人影が続ける。

「……そして、それが、真希の弱点。真希が孤立する、最大の理由」

 ――夏紀だ。

「夏紀!」

「久しぶり、真希。……中学は、大変みたいだね。陽太に聞いたよ」

「陽太、これは……」

 あっけにとられるリディオ。でも、予想はできているはずだ。陽太が、夏紀を連れてきたって事は……!

「私もやりましょう、マフィア。あんたらみたいな、真希のことを良く知らない人になんか、任せておけないよ!」

 眼鏡になっている彼女は、低い位置で結んだ短い髪を揺らし、リディオに宣戦布告した。

 ……夏紀、キャラ変わった?

 


遅くなりました!

テスト明けて、やっとパソコン解禁になりました。

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