18話 世界を彩る「あか・あお・みどり」
言霊園には、パタパタと飛び回る3人の小さな妖精がいます。
情熱的な「あか」さん、クールな「あお」さん、そして穏やかな「みどり」さんです。
妖精たちが魔法のステッキをひと振りするたびに、園の中はどんどんカラフルに染まっていきます。
真っ白な画用紙、園の壁、ついにはコトハおねえさんとゲンジおにいさんの顔までカラフルに。
「あらあら、私たちまでカラフルになっちゃったわね」
鼻の頭を赤く塗られたコトハおねえさんが、鏡を見てクスクス笑います。
「ひなたくんが色を理解し始めたんだね。彼の目には、今、世界がこんなに輝いて見えているんだ」
ゲンジおにいさんも、頬に青いラインを引かれたまま、嬉しそうに頷きました。
ひなたくんは、おぼつかない足取りで園庭へ飛び出すと、目の前の景色を一つずつ指差しました。
大きな滑り台を見て、
「あか!」
どこまでも続く空を見上げて、
「あお!」
ふかふかの芝生を指して、
「みどり!」
そのたびに妖精たちは「当たり!」とばかりにステッキを振り、ひなたくんの周りを飛び回ります。
そこで、コトハおねえさんが少し悪戯な顔をして、足元にいた猫を抱き上げました。
「ひなたくん。じゃあ、この子は何色かな?」
ひなたくんは猫をじーっと見つめて、首を傾げました。
「しろ……。くろ……。……?」
「ふふ、この子は三毛猫。3つの色が混ざっているんだよ。まだちょっと難しかったかな?」
ゲンジおにいさんが優しく言うと、ひなたくんは分かったような、分からないような顔をして笑いました。
その後、妖精たちからステッキを借りたひなたくんは、園中をさらにカラフルに染め上げていきます。
すると、外界からママの叫び声が降ってきました。
『あぁーっ! ひなた! クレヨンでそんなところに書いちゃダメ! ……もう、消すのが大変だわ……』
そんなママの苦労はどこ吹く風。ひなたくんはケラケラと笑いました。
ひなたくんの世界は、いろんな色でキラキラと輝いています。




