ていっ!
為せば成る!…次回以降は知らん。
「天夏ちゃんありがとー!」
「いえいえ、こちらも助かりました。先程の件もよろしくお願いします。」
「うむ!任せてもらって大丈夫だよ!じゃあ、行ってくるね!」
「いってらっしゃ〜い」
「いってきまーす!」
そう言って、『Die dritte Arche』を後にする。ふふふふふ、お目当てだった杖も格安でゲットすることができて、超ラッキーだったね。その代わり、天夏ちゃんから依頼を一つ受けることになったよ。
「えーっと、何かしらの金属鉱石を10個以上採ってくる、だったね」
「にゃ」
「きゅう」
うむ、ふたりもそれで大丈夫って言ってるね。さっき、ちゃんとどこで採れるのかも、どうやって採るのかも聞いたし、採るために必要なアイテムも買ったもんね。ポーションとかのアイテムも売ってくれたし、これで準備はバッチリ!あとは、日が沈む前に町の外に出るだけだね!よーし!いっぱい採って、色々準備してもらったお礼をして、ついでにがんばったことを褒めてもらう!おお、一石二鳥!わたし、天才!
「にゃ!」
「きゅう!」
「あいたっ!」
む、むう。頭の上のクロちゃんと左肩のユニちゃんの両方からパンチされてしまった…。調子に乗るなってことなんだろうね。反省!
「たしか、北の門から出ると目的地に近いんだったね。うん」
まあ、出る門を間違えても、街をぐるっと回れば行けないことはないみたいだけど、やっぱり遠回りは時間の無駄だからね。ワンダルの街結構大きいから、時間かかっちゃうだろうし、どうしようもない理由でもなければ、まっすぐ行きたいよね。
と、いうわけで、目指すは北の門!そろそろ日が沈んでもおかしくない時間だし、ちょっと急ごうかな!これだけ準備して街の外にでられなかったってなったら超ショックだからね!
10分後
「よーし!出れたー!」
「にゃあー!」
「きゅうー!」
現在、日没ギリギリ!なんとか滑り込みセーフで外に出してもらえたね!あ、危なかったー!本来は夜にあんまり人は外に出さないけど、異界の旅人は死んでも死なないから、目覚めが悪くなるようなこともないって門番さんが笑いながら言ってたね。…確かに。
今回の目的地は、ワンダルの北にある「旧ノーワン鉱山」だね。昔はかなり栄えた鉱山だったらしいよ。門番さんが言ってた。名前に旧って付いてるとおり、今は使われてないみたい。その理由までバッチリ教えてもらったよ。ただ、その話が長くて、危うく出られなくなるところだったね。門番さんも別の兵士の人から、無駄話が長いって怒られてたし。
町の外は、南側と一緒で草原になってるね。ただ、草原の先は森じゃなくて岩山になってる。きっとあそこがノーワン鉱山だね。よーし、行ってみよー!…あ、その前に
「クロちゃーん、ユニちゃーん、ポッケに入ろうねー」
「にゃ!」
「きゅう!」
町の外だから、一応ふたりが襲われないようにしないとね。頭の上と肩の上だとわたしも動くときに気を使うし。メイド服の胸の部分にポッケがあるから、ふたりをイン!しばらく中でゴソゴソしてたけど、やがて二人仲良くお顔を出したね。かわいい!
「にゃ!にゃにゃ!」
「きゅう!きゅう!」
「はいはい。慌てないの。ふふふふふ。しょうがないなあ」
ふたりから早く行こうって急かされてしまったね。本当に冒険が大好きなんだろうね。かわいい!
「ふたりはちゃんとポッケにいるし、武器の杖も準備OK。よし、じゃあ行こっか!」
「にゃあ!」
「きゅう!」
そうして山に向かって歩くことしばらく、最初は平らで土ばっかりの道だったけど、段々と道が登ってきて、おっきめのゴロゴロとした石も道に多くなってきたね。こういうところは走ったりすると危ないからね。戦闘中でもなければ歩いたほうがいいよね。それに、なにもないのに走って揺らしたらふたりが怒りそうだし。
「にゃ!」
「きゅう!」
「ん?またモンスターかな。あ、そうだね」
前の方からモンスターが来たね。わたしよりもふたりの察知能力のほうが高いから、いつもふたりの少しあとにわたしが気づく形になるんだよね。うむ、ありがたい!
モンスターは、さっきから何体か来てるね。昨日の森に比べると、数も少ないし強さも大したことないから、かなり楽だね。来てるモンスターは1種類だけで、そろそろ接敵かな。
「ギイヤア、ギギイ」
「ていっ!」
「ギィアアア!!」
現れたのは、全長1m位の大きさのアリさんだね。体が岩っぽい見た目で、遠目だとそのへんの大きな岩と違いがわかんないよね。名前は『スモールロックアント:ワーカー』ってなってるね。働きアリかー。うーん?全長1mのアリさんはスモールどころじゃないと思うんだけどなあ…。超ビッグだよ。あ、もしかしてこのゲームのアリさんは、もっと大きいのが普通なのかな?倒すの大変そうだけど、ちょっと見てみたい気もするね。
アリさんはわたしたちを見つけると、ものすごく警戒して顎をガチガチって鳴らすんだよね。最初のときにそのまま放置してたら仲間のアリさんが集まってきたから、次からはあんまり鳴らさせないようにしてるよ。アリさん退治が依頼じゃないからね。そんな必要もないし、目的地に急がないとね!
そういうわけで、アリさんと出会ったら、めちゃくちゃ硬い甲殻(岩殻?)を避けて、まだ柔らかめの継ぎ目部分をていっ!て叩くようにしてるよ。ここがどうやら弱点みたいで、なにも考えずにテキトーに何発か叩けばすぐに倒せるね。手持ちの武器も実験で使ってみたりもしたけど、刃物を使えば継ぎ目狙いで両断もできたね。それでも結構硬いもの切ったから耐久値の減りがすごかったけど。
「ギイアァァ……」
「よし、勝利!イエイ!」
「にゃ!」
「きゅう!」
今回も特に問題なくアリさんを倒せたね。アリさんの死体はいつもどおりクロちゃんが解体したよ。戦闘に勝利してクロちゃんもユニちゃんも何故か得意気。かわいい!ふたりとも戦闘中はポッケの中で何もしてないはずなんだけどなあ。まあいいや。だってかわいいもん!
アリさんを数体倒したけど、わたしはレベルアップとかはまだしてないね。もともとレベルの低かったユニちゃんは1レベル上がったよ。うむ、この調子でどんどんレベルアップしてほしいね。
解体して手に入ったアイテムは、今の所「小岩蟻の外殻」だけだね。うむ、あの硬い殻なんだけど、何に使えるんだろう?天夏ちゃんに聞いて、わたしが使えなければどっかで売ろうかな。そして、やっぱりあのアリさんたちは小さいアリさんなんだね。うーむ、苦手な人はあのサイズでも無理!ってなりそうだけど、もっと大きいのが普通なのか…大変だね!
そんなこんなで、その後もアリさんをていっ!てしながら道を進んでいくと、目の前に山に空いた大きな穴が見えてきたね。多分アレが鉱山の入り口かな?
近づいていくと、穴は思ったよりも大きいね。高さは5m位ありそう。これなら狭くて上手く動けないなんてことはなさそうだね。もしかしたら中で急激に狭くなってるかもしれないけど。穴の脇には「ノーワン鉱山」って書かれた看板があるね。ぼろぼろになってて文字もすごく見づらいけど、ここがまだ使われてた頃の看板なら当たり前だよね。
穴の中は意外と真っ暗ってわけじゃないね。なんか壁全体が薄っすらと光ってる。天夏ちゃんが明かりはいらないよって言ってたのはこのことだったんだね。確かにいらなさそう。
「よし!目的地に着いたね!じゃあ、わたしが壁や地面を掘るから、ふたりが石を拾ってね」
「にゃ…」
「きゅう…」
うーむ、露骨につまんなさそう。でも、そうしないとうまく作業ができないんだよね。天夏ちゃんに説明されたんだけど、石を掘るのには『採掘』ってスキルが必要なんだって。わたしはそう言われて、スキルポイント余ってたしすぐに取ったんだけど、ふたりは持ってないからね。掘れないんだよね。採掘を持ってなくても掘れるようになるツルハシもあるんだけど、当然ふたりは使うことができないから、やっぱり掘れないんだよね。だから、わたしが掘って出た石を採取スキル持ちのふたりに拾ってほしかったんだけど…
「なら、一緒に掘る?」
「にゃ!」
「きゅう!」
あ、言った途端になんかすごいやる気。一緒に掘るって言っても二人をポッケに入れたまんまでわたしが掘るだけなんだけど…まあ、ふたりがやる気ならそれでいいや。
さてと、方針も決まったし、早速鉱山に入って掘っていこうかな!掘る場所は適当で。しばらく掘ってれば良さそうな場所なんかもそのうち分かるよね。きっと。
「にゃ!にゃにゃ!」
「きゅう!きゅう!」
「ん?あっち?」
適当な場所を選んで掘ろうとしたら、クロちゃんとユニちゃんが向こうを掘れって言ってるね。なんだろう?なにか見つけたのかな?
ふたりに指示された場所を掘って、しばらくするとまた別の指示された場所を掘って…を6回ほど繰り返したね。掘った石は、ふたりが手分けして回収してる。結局最初にわたしが提案した通りのフォーメーションになってるけど、ふたりはかなり楽しそう。ふふふふふ。それが一番大事だね!
ちなみに、掘る場所に特に共通点や規則性は無いっぽい。他より明るいところとか、暗いところとか、そうでもないところとか、ふたりとも多分テキトーに指示出してるだけだね。わたしの魔眼にも特に反応はないし。というかこの洞窟内が全体的に反応してる感じ?もしかしたら光ってるのに魔力が関係してるのかもね。ふたりの指示した場所がそれぞれで違うこともあるし。その場合は、結局どっちも掘るから、まあ違ったからって喧嘩とかにはならなかったね。基本的にクロちゃんが指示した方から優先でいいみたいだったし。
手に入れた石は、わたしのアイテムボックス内ではただの『鉱石』って名前になってるね。ただ、同じ鉱石でも、別の種類としてカウントされてるみたい。ボックス内で、鉱石×7の下に鉱石×5みたいに分けられてる。天夏ちゃん曰く、街に帰って鑑定してもらうと、何の鉱石か分かるんだって。掘ってる最中にわたしも何個か見てみたけど、どれも同じにしか見えないね。これの違いが分かるのってスゴイなって思ったよ。
「にゃ!…にゃあ!!」
「きゅう!…きゅきゅ!!」
次の掘る場所を指示されたとき、指示の直後にふたりが焦ったように鳴いたね。珍しいけど、それだけヤバいってことなのかな。この鉱山は以前栄えていた鉱山なんだけど、今は廃鉱山になってる。理由は鉱石が取れなくなったから、じゃあなくて、鉱山にモンスターが出るようになってしまったからなんだよね。モンスターを駆除しても、しばらくするとまた出るようになったみたいで、そうなると鉱山での事故が起こる危険性が増えてしまうから、モンスターを根絶やしにする必要がある。それも難しかったから、モンスター対策にかかる費用が、この鉱山を利用することで得られる利益を上回る恐れもでてきたんだって。だから、国はこの鉱山での事業を諦めたんだよ。って門番さんが言ってた。ちなみに、でてくるモンスターは…
「ギギギギ!!」
「ていっ!」
「ギイィエアアアァァ…」
アリさんだね。うーむ、ちょうどツルハシを持ってたから、一撃で殻の継ぎ目を潰してしまった。まだ息はあるみたいだけど、向こうもツイてなかったね。ただ、さっきまでのアリさんたちとはなんか雰囲気が違うね。ん?アリさんの名前が『スモールロックアント:ソルジャー』になってる。なるほどなるほど、兵隊アリなんだね。
そして、さっきふたりが焦ってた理由もわかったね。なるほどねー。
「ギギ!ギギギ!!」
「ギイアア」
「ギィギィ!!」
「ギギガガガ!!」
「「「「「ギイイイイイイイ!!」」」」」
群れかー。そりゃあね。アリの巣と鉱山がつながっちゃってるらしいからね。ここも向こうの庭だよね。そして巣に乗り込んできた外敵排除には当然全力だよね。ざっと見た限りでも20体くらいいるかな。さすがにね。これはしょうがないよね。
「根切りにしよう」
しょうがないよね。逃げても数がどんどん増えるだけだもんね。それなら片っ端から減らしていったほうがいいよね。うん。逃げ切れるとも限らないし、それに、逃げた先まで追ってきたら、街にモンスターを呼び込むことになっちゃうからね。良くないね。というわけで、
「うん、しょうがないよね。」
「にゃあ!」
「きゅう!」
うむ!うちの子たちもやる気十分だね。今後の方針は、全会一致で根切りに決定!やるぞー!…あ、そういえば、根切りって言い方は古いってラブちゃんがいってたから、後で調べておかないとね。今風の言い方ってどんな感じなんだろう?
補足
門番さん:ギリギリ滑り込みの美人さん相手に、ついつい長話をしてしまった。現在彼女募集中。
ツルハシ:天夏が用意した採掘用の道具。これがあれば採掘スキルがなくても掘れる。武器としての利用は想定されていない。
クローディア&ユニ:下僕の成果=自分の成果




