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藤木哲也 その1

登場人物紹介

フジキー:高校生の藤木哲也。体格はいいがウブ。

悪炎姫:正体は大天使の大炎姫。顔はキツイが性格は穏やかでまっすぐ。

魔栗鼠:ダンジョンの副官。でも走りみたいに使われている。

デル魔女:人類最強にして最悪なバーサーカー。泣くときはお菓子を食べながらなく。

―藤木哲也 その1―


「自分は国土高校一年の藤木哲也。よろしくお願いします、押忍。」

目の前の3人に挨拶をした。


一人はキッツい釣り目にブロンドの縦ロールをした女性。大炎姫様。

ちょっと体のラインが出る赤と黒を基調にした服を着ていて、手には鞭と剣をもっている。

誰がどう見ても悪役の女幹部。そのピンヒールで踏んでほしいっす。

「よろしくおねがいします。悪炎姫と名乗らせていただきます。」


もう一人は、長道さんの奥さんで女神のような美人、デルリカさん。

白いウェディングドレスに邪悪な気配を漂わす斧を持ている。

視線を向けると、めちゃくちゃ病んだ笑顔で返された。包丁持って追いかけてほしいっす。

「よろしくお願いいたしますわ。殺戮たのしみですわね。デル魔女とでも名乗らせていただきましょうか。」


そして最後の一人。

悪魔っぽい羽と小さい角を持つ美少女。

高校生くらいの年齢に見えるけど、気の弱そうなあどけない表情がかわいいっす。

長い黒髪を頭にお団子みたいにまとめているのも可愛らしいけど、黒のボンテージ服にピンヒールなのがまたたまらない。

気弱な小悪魔って感じ。嫌々お弁当とか作ってほしい。

「初めまして。フジキー様の補佐官を命じられました魔栗鼠マリスといいます。一生懸命に人間を殺しまくりますのでよろしくお願いいたします。」


ここは自分がもらったダンジョンの魔王部屋。

地下10階。


自己紹介が終わったので魔王の椅子に座り周りを見渡す。

まるで豪華な王の間のような作り。


たしかに威厳がある部屋だけど、庶民の自分には落ち着かないっす。

自分の服装はごっつい鎧だけど、これがまた落ち着かない。

禍々しい鎧で、ちょと男子心をくすぐるけど、まだ慣れないっす。


キョロキョロしていると、黒髪の少女を抱えた長道さんが現れた。

「ども、みなさん似合ってますよ。ではみなさんの使命を説明しますね。」

そういうと、自分たちにノートを渡してくれた。


「そのノートに書いてあるとおり、最終目的は宗教国家の真理由華をつぶすことです。ダンジョンで敵の中枢を飲み込んだら勝ちです。目標は4~5年ですね。何か質問はりますか?」


すると魔栗鼠が手を挙げる。

「あの、真理由華は危機に落ちると天使の軍団が助けに来るという噂ですけど、そのあたりを詳しく知りたいのですが。」


さすが宗教国家だな。

そう思っていたら、長道さんはにっこり微笑む。

「それは、連中が勝手に妄想して言っているだけなので気にしないでいいですよ。大体、大天使に牙向く天使兵なんていませんから。」


おもわず大炎姫様・・・じゃなくて悪炎姫さんを見た。

そりゃそうか。魔王なのにマリユカさまのご加護があるのはこっちなんだもんな。


魔栗鼠はホッとした顔をしていた。

天使軍が怖かったんだろうか。


「ほかに何かありますか?・・・まあ詳しいことは悪炎姫さんに聞くかノートを確認してください。では僕らは一旦離れますね。デルリカさんいきましょうか。」


するとウェディングドレス姿のデルリカさんはうなずくと、そっと長道さんの腕につかまる。

「では皆さま、ワタクシたちは結婚式をしてまいりますので、また明日にお会いいたしましょう。ではごきげんよう。」


きれいな一礼ををすると、長道さんとデルリカさんは瞬間移動で消えてしまった。

っていうか結婚式するのにココに来ていたの?

式直前って忙しんじゃないの?

「デルリカ様、結婚式直前にココいて良かったんすかね。適当な結婚式なのかな。」


魔栗鼠がこちらを見た。

「いいえ、王族まで参列される大掛かりなものだと聞いておりますよ。デルリカ様のウェディング姿、お綺麗でしたね。あんな素敵な花嫁様、憧れちゃうな。」


高校生でもわかるっす。メチャクチャな人達なんだな。


すると魔王椅子の横に立っている悪炎姫さんが自分の肩をたたいた。

「フジキー殿、明日までにノートを熟読しますよ。ダンジョンも大きくしないといけませんから。」

「はい先生!」


うっかりキツイ数学女教師をイメージしてしまったので、『先生』とか言ってしまったけど、普通にスルーされた。

『先生ではありません、ビシ!』とか来るかと思たけど、意外にキツくないのかな。


すると、悪炎姫さんはキツイ目じりを下げて開いていたノートを閉じる。

「そのまえにお茶でも淹れましょう。好みはありますか?」

「いえ、お茶なら何でも良いっす。」


するとクスっと笑って奥に行ってしまった。

顔はキツイけど優しい予感がする。


そういえば、大海姫様が『エロハーレムとか大炎姫は嫌いそう』って言っていたな。

なんかちょっと納得したっす。

つまり、まさに大天使ってことだ。

納得、納得。


ノートを読んでいる魔栗鼠が顔を上げてこっちを見た。

「フジキー様。どうやら最初に魔物を作らないといけないみたいです。」

「っていうことは、このダンジョンはまだ魔物ゼロってことっすか?」

「そうなります。いま誰かに侵入されると、妨害ゼロでここまで来ます。」

「それは困ったすね。」


もしも、いま誰かきちゃったら、いきなりラスボス戦ってこと?

つまり自分が戦うってことっすよね。


やばくね?


そこにコロコロのついた台にお茶を乗せて悪炎姫さんが戻ってきた。

「では、どうぞ。」


目の前にテーブルを出してお茶とお菓子をおいてくれる。

「いただきます」

お茶を一口飲んでみた。

素直においしいと思った。

美人が淹れてくれたからか?


お菓子もおいしい。

美人効果だろうか。


まあいいっす。

「悪炎姫さん、モンスターの作り方ってわかるっすか?」


悪炎姫さんは自分も椅子に座り、優雅にティーカップを口に運んでいた。

「モンスターですか?たしかモンスターを作ったり、ダンジョンの改造を行う装置を玉座につけたと聞いています。」


玉座をいろいろいじって探してみる。

すると、手を置くところがパカっと開き、キーボードとマウスが出てきた。

うわあ、ファンタジー感が台無し。


でもキーボードとマウスをテーブルに置いてみる。

すると空間にモニターが現れた。


その画面にはタイトルがついていた。

『ハーレムダンジョンver2』


そして画面が出てくる。

そこにはダンジョンのマップが現れて、魔王の玉座付近に3人デフォルメされたキャラがいる。


つまりこの3人が、自分と悪炎姫さんと魔栗鼠まりすってことだな。

イメージで行くと、ダンジョンを作るWEBゲームみたいな感じ。


なんていうか、すっごく馴染みやすい。

すると、魔栗鼠そっくりのキャラが画面でセリフを言い出す。

「では、これよりダンジョン&モンスター育成のチュートリアルを開始いたします。」


いきなりフルボイスか!と思ったら、画面をのぞき込んで文字の表示に合わせて魔栗鼠がしゃべっているだけだった。

このひと、思ったよりもお茶目だな。

自分の横にきて画面をのぞき込む横顔が近くてドキドキするっす。


でも、いまはゲーム…じゃなくてハーレムダンジョンに集中しなくちゃ。

「では最初に、材料ポイントをご確認ください。」


画面の中の魔栗鼠キャラが右上のパラメータを指さす。

「こちらは侵入者を倒すか時間がたつと増えます。クエストをクリアしても増えますので積極的にクエストの消化をすることをお勧めします。魔物を作ったりダンジョンを拡張するのに必要ですので、しっかり貯めてくださいね。」


次にモンスター作成ボタンを指さす。

「こちらでモンスターを作ります。魔石と材料の割合で作成される魔物が変わりますので、いろいろ試してくださいね。あと、低レベルモンスターでしたら時間と共に自然に発生しますよ。」


ふむふむ、強いのは作らないといけないけど、弱いのは勝手に増えるのか。

便利っすね。


さらに、画面の中の魔栗鼠が別のボタンを指さす。

「こちらがダンジョン改造メニューです。トラップ配置や魔物配置もできます。ポイントを貯めれば区画を増やすこともできますよ。がんばてダンジョンを広げましょうね。」


そのあと、メニューを一通りチュートリアルで試してみた。

もうなんていうのかな、そこそこ面白いWEBゲームですよね、これ。

早くも課金したい。

課金して魔石を買いたいな。


すると最後に

「探検者の装備を奪い取ったり、持ち金を奪うことで収入を増やせます。そのお金で商人から必要な物を買えますが、課金はほどほどにね。」


やっぱ普通に課金ができるんだ。

まんまゲームだ。


でもゲームと違うのは、かなり現実と同じことが画面に表示されている。

画面内のデフォルメされた悪炎姫さんは、足を組んで優雅にお茶を飲んでいる。

横を見るとほぼ同じポーズの悪炎姫さんの姿がある。


つまりこの画面はリアルタイムの監視機能でもあるのか。

みていたら、一階の一番最初の部屋・1-1部屋に、ポヨンとスライムが生まれた。

マウスオーバーでチェックすると


スライム lv1

体当たり、酸攻撃


と出た。


「魔栗鼠、1-1の部屋にスライムがいるか見てきてくれる?」

「はい、フジキー様」


魔栗鼠は瞬間移動でその場から消える。

それと同時に、こっちの画面でも魔栗鼠は1-1に現れる。

そして、画面の魔栗鼠から吹き出しが出た。

『うわあ、スライムが生まれてる』


そのままチャットモードでメッセージを打つ。

『さっき作ったモンスターを配置するから確認してもらえる?』

『あ、フジキー様?はいわかりました。』


倉庫から、ドラッグ&ドロップでさっき作った一角ウサギを1-1の部屋に配置した。

するとヒョコリと1-1の部屋に一角ウサギが配置される。

画面上の魔栗鼠の表示が驚いた顔をしている。

『フジキー様、一角ウサギが魔法陣から出てきました!このダンジョンすごいですね。』

『おっけい。確認できたら戻ってきていいっすよ。あざっす。』


すると瞬間移動で魔栗鼠が戻ってきた。

「フジキー様、確認してきました。いきなりフジキー様っぽい声が響いて驚きました。」


なんか興奮してきた。

これ面白いかも。



お読みくださりありがとうございます。

フジキー「押忍!ダンジョン頑張るっす。」

デル魔女「ワタクシが入り口の最初の試練を受け持たせていただきますわ。」

ナガミーチ「おい、入り口を入ったらいきなり裏ラスボスとか、どんなクソゲーですか。」

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