言葉の国
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
人が死ぬような描写があるから注意!
とある曇りの草原でのこと。
「ねぇ、メル〜。」
「なに?」
「権力と言葉ってどっちが強いと思う?」
「いきなりだねシド。変なものでも食べた?」
「酷い!それに自転車はなにも食べないよ!」
「うーんそうだね。じゃあ言葉だね。実際王様を説得して国を動かすことだってあるわけだし。」
「ふーん。」
「人に言わせてその態度〜?」
シドが意地悪そうに笑い、言った。
「うわー権力を持った言葉が襲いかかってくる〜。」
それに答えるようにメルも笑い、
「そんなに言うなら泥沼に捨ててやろう!これはメル国王の決定じゃ!」
と言った。
国に入ると、盛大な声が聞こえた。
どうやら、1人の女性が高台に立ちそこで話をしているようだ。
「今こそ、立ち上がるべきです!我々の国全体が動き、この国を、いや、この世界を変えるべきなのです!」
そこに集まっている沢山の野次馬は感心しているように野次を飛ばしている。
「なにあれ?」
「さぁ?演説とか?」
そこに1人、老人が話しかけてきた。
「おぉ、お嬢さん。旅人かね?」
「はい、今さっきこの国に来ました。あれは…なんの演説ですか?」
「さあ?わしにもさっぱりわからん。動こうだのなんだのを王女陛下が言ってるのじゃよ。」
「へぇ〜王女だったんですね。」
シドがボソリと
「伏線回収ってことろだね。」
と言ったが、誰にも聞こえなかったようだ。
「近頃隣の国に押しかけてデモに行くらしいぞ。」
「王女自らなんて珍しいですね。」
「隣国に入った瞬間銃をぶっ放されたりして。」
「まぁ〜そうならないために今護衛を集めてるんだろうな。」
老人の目には野次馬が写っている。
宿に泊まった早朝のこと。
「──を全ての──に!」「自由を──の物に!」
「なに?朝から騒々しいなぁ。」
「どうやらデモ隊が動き出したようだよ。おはよう、シド。」
「おはよう、メル。どうする?一緒について行ってみる?隣国がどこにあるのかわかりそうだし。」
「本音を言うと?」
「面白そうだし退屈だからついていこう。」
「よしわかった。とりわけこの国に用はないしね。」
宿を出るとすでにデモ隊は城門の前にいた。
「ゆっくり進んでるね。」
「そんなもんだよシド。でもあのペースだと何日もかかりそうだね。」
「世間知らずのお嬢様なんじゃない?地図でしか世界を見たことがないとか。」
「あっ、国から出るよ。追いかけよう。」
メルとシドが国から出てもなお、デモ隊はゆっくりと進み、そして掛け声を挙げていた。
全員が国から出て、士気を高めようと王女が振り向いた時。
沢山の玉に体を貫かれた。
「……あーあ。」
「人が死んだのにあーあは失礼だよシド。まあ予想はできたけど。」
その玉を撃った野次馬は笑い合って国に戻っていく。
「やっと殺せたぜ。」「この後一杯やるか。」「法律さえなければ国の中でぶっ放せたのによぉ。」など談笑しながら。
「ねえ。シド。」
「なに?」
「二つに絞らないなら……力だね。」
「それもそうだ。」
言葉は権力に強く。
権力は力に強く。
力は全てより強く。




