智嬉、純、それぞれの弱音
「くそっ…この俺が滝を守れなかった…」
それぞれ解散した後、智嬉さんは道場にいた
「滝を守るために、能力者になったのに…!!」
悔しさのあまり、智嬉さんは道場の壁を拳で殴った
ドンッ!!
(リメンバーズチーム結成後から早4年…俺も純も、やはり大分力が衰えてきている…修行はしたが、やはり勝てない…)
俺は見回りをしていると、智嬉さんの光景を目の当たりにした
「智嬉さん…?智嬉さん!!」
俺が大声で智嬉さんを呼ぶと彼はハッとした
「あ、ああ…陽仁、お疲れさん、お前も今回は疲れただろ、あんな一戦で」
<挿絵>
「智嬉さん…拳に、血が…」
よく見ると、殴った拳に血が少し痛々しく垂れていた
「あっ今ので切れたのか!! 」
「滝が心配しますよ、戦い以外の怪我は…」
「陽仁…お前も、滝も、守れなくてごめんな…」
「智嬉さん?」
智嬉さんはゆっくり座った
「俺は滝を守りたくてリメンバーズチームに入った 滝は両親を早くに亡くしている だから親友である俺が戦闘員になって滝を守るために能力者になったのに、今回はまるで役に立てなかった…」
すっかり肩を落としている
俺もしゃがんで、智嬉さんの目をじっと見る
「智嬉さん、アジトに入った時、真っ先にルードの足を止めたのは、あなたですよ それだけでも十分俺たちの役に立ちましたよ」
「でも俺は倒せなかった!!俺の力は…確かに弱くなってるんだ…結成時より…」
智嬉さんは突然勢いよく立ち上がって、俺に背を向けた
「本当に、お前達の時代がくるだろうな その時は、滝をしっかり守ってくれ そうじゃなきゃ…」
智嬉さんは俺に向かって振り向き、勢いよく俺の顔の目の前に拳を突き出した
「なにっ!?」
「お前がしっかり滝を守ってくれなきゃ、俺が真っ先にお前を殺すからな 」
「…は、はい」
本当に、殺されるかと思った
「もう何回も一緒に戦ってんだ、俺のことは智嬉って呼んでくれ、あーあ、血が出ちまった…」
「大丈夫か!?」
俺は慌てて智嬉に駆け寄る
「救急箱取ってくるわ じゃ、おつかれさん」
智嬉は軽く手を振りながらそのまま去っていった
(俺も強くならなきゃ…)
道場を去った後、純さんはいないかと2階のサロンへ向かった
「あっやっぱりいた…」
純さんはサロンの椅子に座りながら、パソコンを使って真剣に作業をしている
「純さん?」
カタカタ…
純さんを呼んでも、キーボードの押す指が止まらない
「純さん!」
タン!
やっと押す指が止まった
「あ、ああ陽仁か、すまん、ちょっと仕事でな カウンセラーの仕事で…仲間の悩みを聞いてたんだ」
「純さんは確か、医者でしたよね」
「ああ、能力者専門の精神の担当だ 主に悩みを聞く仕事だけどな」
純さんはそう言いながらメガネを外す
「今司令官からメールが来ていた、新しい敵が現れたみたいだぞ」
「分かっています ルインと言うやつです」
「知ってたんだな 俺は…正直、今回の敵に勝てる気がしない」
純さんも智嬉も、力が弱くなっている、智嬉がそう話していたのを思い出した
「純さんがいてくれなきゃ困ります」
「陽仁… 俺たちも大分長く戦ってきた、ルードの戦いで俺たちも、大分能力を吸い取られた 俺は…滝を守れない…」
「純さん…」
リメンバーズ1の怪力を持つ純さんも、弱音を吐いていた
「あなたは滝の事が好きなんでしょう? しっかりしてください!」
今まで黙っていたが、俺はついに純さんに言ってしまった
「な、なに!?」
「俺は分かっていましたよ、好きなんでしょう、あなたがしっかりしなきゃ、滝はまたきっと自殺未遂を起こしますよ」
純さんは普段冷静なほうだが、この時ばかりは慌てて俺の顔を見た
「……何もかもお見通しか、ああ、そうだよ そうだな、俺がしっかりしなくちゃな」
パソコンを閉じて純さんは椅子から立ち上がった
「また戦いが始まるんだな カルテー二を倒しても、戦いは終わらない…」
「純さん…」
「司令官のメールで、お前は司令官室へ集合だとよ、じゃあな」
「分かりました、それでは」
俺は小走りに司令官室へ向かっていると純さんに呼び止められた
「陽仁! サンキューな」
「…はい」




