傍にいる理由
「私に任せろ」
4本の巨大な水柱が向かってくるのにも動じず、司令官は俺にも身に覚えのある技を放つ
「地よ砕け… 天よ、我に力を!! "天華乱舞"!!」
滝と同じ技だが、技のスケールが違う 司令官の技のほうが明らかに竜巻の量が多い 屋上だからよかったが、能力者施設を1面覆い尽くす程の大きさだった
「引け!!」
そのスケールの大きさに驚いたのか、敵はあっという間にテレポートで退散してしまった
「凄い…司令官…あっという間に…」
しぐれも圧倒されていた
「司令官、その技、滝と同じ技ですが?」
司令官はしばらく辺りを見渡し、敵がいないかどうか確認し安堵をすると
「はあ…… あ、これか? 私の技なんだ、元々はな 蒼山家に技を伝授したのはこの私だ」
司令官は微笑みながらこちらに近寄る
「司令官の技をあの、滝が…」
「貴明にこの技を伝授したところ、私よりはるかに強い、強すぎる竜巻が発生してしまってね 貴明の技で、沢山関係ない人達まで巻き込んでしまった…、いや、誠に申し訳ない」
司令官は改めて俺たちしぐれ、親父に頭を深々下げた
「シルヴァ、やめてくれ、今更悔い改まったところで、敵を倒さなきゃいけないのは変わらないぞ?」
親父は変わらず堂々としていた
「そうです、その為に、もう巻き込まないために、俺たちはいるんです 」
「そう、だな… 私としたことが… あっ、いかん、滝を忘れてた もうお前達は休憩していいぞ」
そういうと、司令官は急いで持ち場へ戻った
俺は一息つこうと、屋上の柵から景色を眺める
「……ずっと戦ってたから、空を見ることさえ、余裕が無かったな…」
「お前は元暗殺者だったから、余計だろ」
しぐれも俺に近づく
「しぐれ、滝さんを殺そうとしたんだぞ?俺は まだ親友でいるつもりかよ?」
柵に気だるげにもたれながら空を仰ぐ
ずっとしぐれに聴きたかった事を正直に問う
「お前の様子を見たくて俺はここに入った 高校時代、急に飛び出したその日から、お前は変わってしまったな」
低い声でそれでもハッキリと重々しく話すしぐれ
「ああ、親父はずっと蒼山家と戦っていたのは知っていたけど、まさか、命懸けの喧嘩やってるとは思わなかったんでね… 親父」
傍で聞いていた親父は振り向いた
「蒼山家…確かに強いな 想像していたより、はるかに強い あのカルテー二の技を食らっても、立ち上がれる程の強さ… 今あの子がやめてしまっては、大打撃だろう」
「親父…」
そういうと親父はスタスタ踵を返した
「滝くんを、しっかり守るんだぞ、陽仁、しぐれくん 」
「親父、帰るのか?」
「お前はまだまだ成長できる、父さんがいなくても」
そしてそのまま、実家に帰ったようだ……――
(親父… 俺は、ずっと戦えるのかな…このまま…)
一方、司令官は司令官室で滝がいないことに驚愕した
寝室のカーテンを勢いよく開けると
ジャラッ!!
「なに…?滝とゆうみがいない?あいつ、大人しく寝てると思っていたのに」
すかさず滝に通信した
「おい、滝、私だ、司令官だ!!どこにいる!!」
滝がいる道場では、武器庫に新しい武器を探していた
「ん、通信機が… あ、司令官?すいません、今武器庫にいます」
「司令官だったのね」
『今いくから、待っていなさい!』
司令官は慌てた様子だった
「ったく、新しい武器、やっぱ俺じゃ分からないな」
滝たちは頭を抱えていた
「滝さん、私そろそろ仕事があるから戻るわ」
「あ、ああ、ありがとな」
ゆうみさんは少し顔を赤らめながら、足早に退散していった
(俺…ゆうみに、なんであんなこと…)




