親友の嘆き
「ちくしょう…ちくしょうちくしょうちくしょう!!!」
智嬉はどんなことがあっても普段は冷静なんだが、滝が攫われると取り乱していた
ロビーにある階段の手前の大きい柱をガンガン拳で殴りまくっている
「智嬉!!悔しいのは分かるけど、それ以上殴るのはやめてくれ!柱が倒れる!!」
司令官は半ば呆れながらも智嬉を説得した
「司令官…」
「あいつは1人でカルテー二と戦えば、真っ先に死ぬことを考えるだろう、戦いは自分が巻いた種だとずっと考えている奴だからな」
智嬉は司令官に言われて少し冷静になったのか、俺に真剣に話した
「貴明は未だ現れんな、滝が敵に攫われたっていうのに、今回は見放すのか?」
そうだった、貴明さんは滝がピンチになった時、必ず現れるとそう言っていた
「貴明さんは亡霊として現れるんです、そう毎回毎回現れるわけが…」
俺は智嬉の拳を握りしめながら司令官を見つめた
貴明さんは現れないけれど、予想だにしない人物が玄関から現れた
「蒼山家のピンチだっていうのに、黙って見てられるわけないよ」
「その声…!!」
俺は聞き馴染みのある懐かしい声に、思わず振り向いた
「陽仁、久しぶりだね 元気してた?」
「あんたは…!!」
「"佐々本純一" 陽仁の親父です 皆さん陽仁がお世話に」
金髪で天然パーマ、少し無精髭を生やした俺の親父…
「親父…来てくれたんだ!?」
親父はかつて蒼山家のライバルだったそうだ
蒼山家と深い親交があった
「ああ…蒼山家を今、深く知っているのは私とシルヴァしかいないんでね」
「滝はどうしてこんなにもカルテー二に恨まれるんです、本当に力の強さの影響だけですか?」
「滝くんを助ける今、蒼山家を知る必要があるな…シルヴァ?」
親父は司令官に首を傾げて尋ねる
「ああ、みんな地下の作戦会議室に来てくれ」
「了解!!」
その頃、アジトでは、
滝は縄で縛りつけられて、カルテー二の技、幻影呪縛にかかり、戦意喪失になっていた
「カルテー二…何故俺を早く殺さない!!」
「早く死んでしまえばつまらないだろう? こうしている間にも、あいつらは作戦会議を始めたようだな お前の家について説明しているようだ ククっ…無駄な事を」
滝は頭を下に下げ、ギリギリ歯ぎしりをして悔しがっている
「みんな…俺を助けにこないで…来たら…こいつにやられる…」
「滝!!まだ諦めるな!!」
「!!?」
現れたのは、丸い球体の姿で現れた、蒼山貴明さんだった
「親父…!?」
「貴明、貴様天国へいったんじゃ無かったのか!?」
カルテー二は滝の隣で戦いの構えをする
丸い球体から透明だが生前の頃の姿に戻った貴明さん
「この子に与えた力は私の全ての力…この子を信じているから託した力だ、カルテー二になど渡さぬ!!」
「親父…」
貴明さんは滝の縄を解きながら滝に強く言い放つ
「滝!!私の力を与えてまだ間もない、今諦めて死んだら、その力は放出されて、この世界諸共滅ぶ力があるんだ!!」
「……っ!!?」
作戦会議室でも、その事を親父に伝えられた
「滝にそんなに強い力があるなんて…」
「今死なれては困るのだ、力がまだあるうちに死なれては!!」
司令官が嘆いている時、智嬉は静かに口を開く
狭く冷たい部屋だが、智嬉の声が十分に響いた
「……なら、戦うしかないでしょう? 滝を助けに行かなきゃ」
俺たちも同じ気持ちだった
そして、圭介さんもずっと座って聞いていたが立ち上がった
「司令官、俺のたった1人の兄です!親父や兄がいなくなったら俺は…っ!!」
「……そうだな 助けに行こう 純一、みんなを頼んだぞ」
司令官は待機するらしい 代わりに親父がリーダーになる
「わかった シルヴァ、お前も気をつけろよ じゃ、陽仁、みんな、行こう!!」
テレポートで一斉にアジトへ向かった
「私は滝の武器を最調整しなければな」
俺たちがテレポートでいなくなってしばらくして、司令官はふと呟いた




