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満願成就の一夜
主人公視点
歯車は――、動き出そうとしているのかも知れない。空を照らす夕暮れは、ゲームではただのエフェクトでしかないのに、この現実ではそうではないんだッ。
聖戦魔法ジ・ハード――。
支援魔法でありながら、被加護者は体力を失い続ける変わりに強力なバフを得る魔法でしかなかった。でも、ゲームが現実になったとき、魔法は本来の意味を超えて映る。
歓声が響き渡る熱気もさることながら、失う体力は精神を高め、得られるバフが昂揚感を掻き立てる。それは、神に許されているかの様ですらあって、夜ですら綺麗な夕暮れに戻る奇跡が目の前に実在する。
『ここで死んでもいい』
不意に厨二な言葉が次々によぎる。
世界を救い、大切な仲間を守りたい。救われた命に、仲間との約束に報いたい。冒険者にそれがどれだけ、満願成就の一夜に映るのか想像するに堪えない。
無理だと言う思いとは裏腹に、足が一歩前に踏み出してる俺に俺は気付いたんだ。




